猫の目よりクルクル変わる作問採点のため、底辺合格者のボクはこれで合格ちまちた!につい乗っかりやすい当試験。そこで「知識解答がなぜ禁止?」の流れを年表にして、前年のうっかりパクリがどう危険か可視化します。
「事例Ⅰ」過去問の知識解答度推移~ChatGPTでプロンプトし、Notebook LMに過去問を読ませて作成
| 年度 | 解答指示 | 知識 | 与件 | 具体・助言 | 短評 |
|---|---|---|---|---|---|
| H25 (2013) | 答えよ、助言せよ | 3 | 3 | 2 | 知識と与件のバランスが求められる。 |
| H26 (2014) | 答えよ、考えられるか、助言せよ | 4 | 2 | 3 | 知識や一般論による説明の余地がある。 |
| H27 (2015) | 述べよ、考えられるか | 3 | 3 | 3 | 知識と与件の状況分析が混在。 |
| H28 (2016) | 述べよ、考えられるか、助言せよ | 3 | 3 | 3 | 与件に基づく具体的な分析・助言の重要性が増す。 |
| H29 (2017) | 答えよ、考えられるか、助言せよ | 2 | 4 | 3 | 与件の詳細分析と具体的な助言が強く求められる。 |
| H30 (2018) | 答えよ | 1 | 4 | 4 | 与件ファーストへの強い転換。具体的助言が必須に。 |
| R1 (2019) | 答えよ、考えられるか | 2 | 4 | 3 | 与件の固有状況に根ざした具体的な分析が求められる。 |
| R2 (2020) | 答えよ、考えられるか | 2 | 4 | 3 | 与件の状況分析に加え、具体的な助言も一部問われる。 |
| R3 (2021) | 述べよ、考えられるか | 1 | 4 | 4 | 経営者の意図、事業変革の利点・欠点など具体的な分析と助言。 |
| R4 (2022) | 分析せよ、助言せよ | 1 | 5 | 5 | 具体的助言が複数問われ、実践的な提案が最高レベルで要求される。 |
| R5 (2023) | 述べよ、答えよ、助言せよ | 1 | 5 | 5 | 経営統合など具体的テーマで、実践的な助言が引き続き重視される。 |
| R6 (2024) | 答えよ、助言せよ | 1 | 5 | 4 | 組織・人事の具体的課題解決が中心だが、助言の直接要求はやや落ち着く |

受験者が机で参考書を開き、理論を答案に100字書き写す。今から8年前に試験を遡ると知識暗記の再現が中心で、与件より理論知識を並べることが評価されていた。
与件の根拠を使って自信を持ってペンを走らせる。与件ファーストで根拠を探し答案を組み立てる、設問要求が「知識」から「与件」に切り替わった転換点です。
仲間と議論しながら助言内容を確かめる。ここで、抽象的な分析や一般論を避け、経営者に役立つ具体的かつ実行可能な施策を提示することが求められる段階に入った。
資料を手に次々と施策の提案が続く。与件根拠に基づき、現場で実行できる具体的助言を行う姿勢が求められ、過去問を古い年から解き進んで作問変化を把握することが合格への鍵になる。
事例Ⅰにおける知識答案から与件ファーストの具体的助言への明確な転換点は、H30(2018年度)と推測されます。
H29までは、「~考えられるか」や「~どのような点にあると考えられるか」といった問いが多く、一般的な経営理論や知識に基づく説明が有効な側面も残っていました。しかし、H30になると、設問の命令語はほぼ「答えよ」に集約され、その内容も「競争戦略の視点から」「人員構成から考えて」「事業特性の違い」「組織改編の目的」「金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか」などに設問指示が変わります。
これは与件に描かれたA社の個別具体的な状況を深く理解し、それに即した具体的な理由や目的、施策を説明することを強く求め、抽象的な知識の羅列では不十分で、与件文から読み取れる因果関係に基づいた具体的な論述が不可欠となったと考えられます。
その後、この「与件ファースト」の傾向はさらに強化され、特にR4(2022年度)においては、5問中4問が「助言せよ」または「構築すべきか/行っていくべきか」という診断士としての具体的提案を求める形式となり、実践的な助言の要求度が最高レベルに達します。
R5も3問で「助言せよ」が用いられ、この傾向が継続しました 。R6では「助言せよ」は1問に減ったものの、依然として「狙い」や「理由」といった与件に深く根差した具体的な分析が求められています。
【知識から○○力へ(前)】100字訓練の勃興から衰退までをAIサーチ
100字訓練をやるなとは言わないが、それは8年も昔のお勉強であり、今の「2次」が求めるスキルは全く別物。つい間違えて100字訓練を踏まないよう、その勃興から衰退までをサーチしました。
| 年度 | 受験教材の動向 | 事例Ⅰ作問傾向の変化 | 合格時短と増加 |
|---|---|---|---|
| H25(2013) | 過去問を回転し、知識とノウハウが主体。 | 抽象設問や類推が多く、知識解答で得点できた。 | |
| H28(2016) | 要約練習や写経が直前期に流行する。 | ||
| H30(2018) | EBA設立。ベテ専用超絶知識で人気を博す。 | 「考えよ」出題がなくなり、与件ファーストに転換。 | |
| R1(2019) | EBAが「100字訓練」を開始 試験SNSがFB→twitterに移行し、キラキラ女子多数合格 | 「1次」が易化し合格者数前年比137%に | |
| R2(2020) | 学習不足のFラン層がスクールに殺到 拝金主義のスクール指導が上位5%に嫌われる | コロナ禍の中で「1次」決行し合格率42%に急伸 経済諮問会議で新浪議員発言 | |
| R3(2021) | 各スクールが「与件ファースト」を明確に打ち出す 同友館『全ノウハウ』に与件ナシ想定問答を収録 | 「1次」合格が過去最高の5,839名に 「2次」1,600名のバブル合格 | |
| R4(2022) | SNSでまさかの再現答案晒し祭り。EBA批判高まる | 助言が4問出題され、知識に基づく具体性を評価。 | 「2次」合格率18.6%で安定し、2割ガチャと呼ばれる |
| R6(2024) | 同友館『全ノウハウ』与件ナシ想定問答収録廃止 | 助言が1問に減り、戦略を聞く期待効果が3問に増加。 |
EBAに話を絞ると、設立当初は良かったが、SNS大はしゃぎの内輪受けで周囲の不興を買う。2018年に設立してその年作問転換し、2021年に全ノウハウが余計をやらかす→翌年助言4連発とは、偶然にするには出来すぎな。
~H29:知識解答の時代(100字訓練勃興期)
~H29までの事例Ⅰでは、設問文が「~と考えられるか」「~か、答えよ」のように抽象度が高く、知識で解答できる余地がありました。受験者は一次知識や理論のキーワードを並べ立てる知識解答で対応しがちで、ふぞろい答案分析でも「与件文からの引用」と「一次知識」を組み合わせれば「大事故」を起こさずある程度の点数は取れるとの声があります。
例えば、H29第3問で工業団地移転のメリットを問うと、多くの答案が用地拡大や物流効率化など教科書的メリットの知識解答になります。与件企業A社の具体的状況(「地元企業主体の工業団地への移転」等)への言及は薄く、知識そのものを解答させる出題と言えます。この時代では、理論の列挙や定型表現に頼っても多くの方が合格できたのです。
しかし、知識偏重の答案は事例企業の実態に寄り添った論理展開に欠け、「キーワードの羅列で事例企業に寄り添って論理的に書けていない」といった指摘や「社長が見たら知っていることを並べただけだと思うだろう」という批判が増えます。
当時は設問自体が抽象的だったため、与件から外れない範囲で教科書知識を要約し答案に盛り込めば合格ラインに達し得たのも事実です。例えばH27では「企業文化の刷新策」を問う設問に対し、多くの答案がPM理論や動機づけ衛生理論など一般論で埋めても及第点になっています(与件に明示的記述が乏しかったため)。このように知識解答にも一定の効果があった時期と言えます。
2019年頃から、受験指導校EBAによる「100字訓練」が開始されました。これは与件文を細かく読み込まずに設問文だけから想定解答を100字程度に短文化する練習法で、編集力向上を謳う教材です。実際、EBAの公式サイトには100字訓練専用ページが設けられ、短文解答のトレーニングが広く普及しました(2019年当時) 。
だが悪いことに2021年版の同友館『全ノウハウ』付録として「与件文ナシ!…想定問題集」が公開され、与件文を一切示さず想定設問だけを提示し、回答の骨子と参照すべき知識ページを示すという大胆な学習法も登場します 。この想定問題集は、「アウトプット力・編集力向上・知識定着」に役立つと銘打ち、与件を読まずにパターン答案を作成する手法を大胆に流布します。
特に事例Ⅰは組織人事論という定型化しやすいテーマであり、例えば人的資源管理の施策や組織構造の型など一次知識をそのまま100字に要約して当てはめる訓練が横行しました。これは受験者側に「与件よりフレームワーク暗記が有効」との誤認を生み、解答の論理根拠軽視を助長する結果となったのです。
EBAが流布する「知識解答」の前にあったのが、TACメソッドに代表される、与件根拠を盛り詰めしつつ結論をあいまいにボカすベテ答案。これを一掃する画期的な解答メソッドとして、ほんの一時期超絶な人気を博します。
H30~:与件ファーストに転換(〃成熟期)
転換点となったのはH30事例Ⅰです。設問指示が一新され、「~と考えられるか」の表現が姿を消して計4問が「答えよ」、ラス問が「助言せよ」に変わります。ここから答案には、与件企業に即した理由・目的・具体策を書くことが要求されるようになったのです。
【転換点:H30(2018)】出題趣旨の直接引用
H30以降、事例企業固有の文脈に根差した答案作成が強調され、スクール各社も「与件企業の具体的状況に即していない解答は得点が伸びない」旨を指摘し、知識のみを書き連ねた答案が排除される転機となりました。開示請求スコアから見ても、与件文の固有名詞や数字、経営者の発言など具体化トリガーを拾い上げ、それを因果関係で説明する答案が上位を占めたようです。一方で依然として知識暗記に頼った受験者も多く、H30~R2頃では与件ファーストで論理構成した答案が高得点に結びつき、与件に沿わない一般知識解答はは低評価に沈む二極化が進みます。
H30以降数年にわたる出題傾向を振り返ると、与件前提の分析・因果・具体性の重視が一貫して確認できます。R1以降の趣旨・講評にも「与件に即して答える」「事例企業の現状を踏まえた原因・対応策」といった意見が多く、同友館のテンプレ決めつけ解答では太刀打ちできない出題が続きます。
例えばR1Ⅰで人事制度改革案について問われた際に、与件企業A社の社風・従業員構成に合わせた施策提案が求められます。これは抽象的な人事施策(例:評価制度の導入等)を述べるだけでは不十分で、与件で描かれた課題(例:技術者偏重の人員構成や家族的社風)から100字解答を構成する必要があります。
H30に作問変更をしたにも関わらず、なんとR3から同友館『全ノウハウ』シリーズで「与件ナシ!想定問答集」なる、解答要求の時流と全く逆の付録が始まります。この手法は短時間で知識を定着させるメリットによりレイトマジョリティに歓迎される一方で、採点側から見れば与件無視の暗記答案量産になる心配を、同友館が全く考慮しなかった点がウケます。
実際、同時期のブログ等でも「“与件を読まず書きたいキーワードをマス目に入れる”禁則行為」の横行に賛否両論が巻き起こります。こうした状況を踏まえて試験委員は「与件根拠・具体性」重視の採点姿勢を強め、決めつけパターン暗記型の受験対策が広がれば広がるほど、100字マス目での施策の具体性や実現可能性を問う、最新の作問採点トレンドにつながっていきます。
100字訓練は自社教材でよせば良かったものを、同友館「全ノウハウ」に横展開して市場支配を狙う所がまずかった。「公開された出版物」である市販書籍にしたことへの不満が積み上がり、与件ファーストの動きが確定します。
※6年前に流行った教材を2024年5月時点で吹聴するノロマなふぞにも驚き。
R4~5:助言重視に大転換(〃衰退期)
R4事例Ⅰでは、設問5問中実に4問が「…助言せよ」の指示になり、その大半が具体的助言を要求します。公式の出題趣旨でも、「助言する能力を問う問題である」という文言が繰り返され、診断士として実践的な助言を書く力を重視する方針を明確にします。例えば第2問で「基盤事業における人材の採用と定着の方法について助言」、第3問では「主要取引先との関係強化と新分野探索について助言」を問うと明記されます。これにより単なる施策列挙ではなく、A社の課題を踏まえた具体策提示に転換したのです。
助言問題では、「与件事実(課題)→対応施策→期待効果」を一連の因果関係で示すことになり、「理由は①②③。以上により○○」のふぞろい構文は低評価になります。そこで、①まず与件から企業固有の経営課題を複数抽出し、②それを解決する具体策を提示して効果を挙げつつ、③その達成効果を複数の設問をまたいで展開します。
これを答案で示すと「与件XゆえにYという課題がある。したがってZの施策を実施し、Wの効果を得る。」という100字1文3節の論理展開になります。例えばR4第4問では、A社の後継者への権限委譲について「現経営者が職人気質で属人的経営となっている(課題)ため、組織的な権限移譲計画を策定し(施策)、経営ノウハウの円滑な継承を図る(効果)」となります。
以上の結果、直近の事例Ⅰでは「机上の空論」ではない本質的な助言力が試されます。R6では直接の助言問題こそ減ったものの、「狙い」「理由」の期待効果を深掘りする出題が続きます。
さらに第2問では、プロジェクトチームを組成した意義と長女をリーダーにした狙いが1問で同時に問われ、「A社の地元志向の社風を変革し新市場開拓力を高める」「後継者育成を見据えた任命理由」など、1問で複数の経営課題を同時に解決する「多元解答」が問われ始めます。このように事例企業の状況→狙いまで踏まえた助言という点では一致しつつ、「事例Ⅰ」の作問は年を追ってその複雑さを増しているのです。
こうやって過去問はR1→R6へと解き進み、Notebook LMを使って複数年度を同時に分析すると、作問採点進化がよくわかる。そして時代の要請を受けて作問が年々複雑に難化する分、8年も昔の知識解答をしている場合ではないと気が付きます。
今日のまとめ
今日の特集で、100字訓練のしすぎは有害と結論づけた。そのうえで「事例Ⅰ」は「Ⅰ~Ⅲ」の中で最初に時流を捉えて変化するため、私ならR7「Ⅰ」は全く別事例への進化に賭けます。
