もしあなたが8月の「1次」を受ける初学者なら、この先5~7月の「1次」暗記で脳に適切な負荷を掛けることで、10月の「2次」を150hの効率学習で確実合格を十分狙える。その説明の根拠になるのが認知負荷です。
R1以降の「1次」ド易化と反比例して「2次」は与件の文章量が増え、過去問の答を覚えてしまうと誤答に誘導へ。「その場で考えさせて認知負荷を高める」作問姿勢に対し、ノウハウとパターンで決めつけて「その場で考えることを避けよう」とド勘違いしたのが隣の同友館の末路の始まりです。

認知負荷とは
情報を処理・判断・記憶する際に脳が消費する“作業メモリ”の使用量を指し、過剰になると理解や学習効率が低下します。
望ましい困難とは
認知負荷に対する処理能力を上げるため、あえて適切な負荷を掛ける学習環境を用意することを指し、俗に「脳トレ効果」と呼ばれます。
【5月特集】難化が続く「2次」と認知負荷 / おベテが8割落ちる試験で8割合格
「その場で考えさせる」試験に、「ノウハウ&パターンで決めつけて思考を避けた」ド勘違いが隣のD社の末路の始まり? こりゃ仮説にしても出来すぎだから、みんなの力で加速しような。
Step-1:上位5% vs. ふぞろい~自ら考えるかノウハウ志向か

自力型の受験者は、初見の事例にも臆せず自分の頭で考える姿勢を持っています。過去問や参考書の解答パターンを鵜呑みにせず、「なぜその解答に至るのか」「他にどんな解法があり得るか」を深く検討します。場合によっては生成AI(ChatGPTなど)を活用して議論相手やアイデア出しの補助とし、自分なりの仮説思考を磨いています。
彼らは認知負荷を厭わず、むしろ思考に負荷がかかるプロセスを通じて問題の本質を理解しようとします。知識を企業の状況に関連付けて活用し、重要なポイントは自分の言葉でまとめるなど、深い処理を行う学習方略をとっています。こうした深い学習アプローチを取る受験者の方が、表面的な暗記に頼る受験者よりも高い成績を収める傾向があることが研究でも示されています。
ノウハウ型の受験者は、過去の模範解答や予備校の解答テンプレートといった「ノウハウ集」に頼りがちです。事例ごとに用意されたフレームワークやキーワードを暗記して再現することで、認知負荷をできるだけ軽減しようとします。要するに、「考えるより覚えて対処したい」タイプです。一見すると効率的ですが、問題文に少しでも予想外の展開やパターン外の問いが出ると対応が難しくなります。
ノウハウ型は表面的な学習で済ませてしまうことが多く、与件文のキーワードと暗記したパターンを機械的に結びつける傾向があります。そのため、学習中は理解したつもりでも本番で応用が利かない、いわゆる「知識のフレキシブルな運用」が苦手です。「学習者は安易な方法を好むが、実はそれでは知識の保持や応用には不十分である」という指摘もあり、ノウハウ型の学習だけでは合格ライン上で伸び悩む原因になり得ます。
自力型は敢えて負荷の高い深い学習に取り組み、ノウハウ型は負荷の低い暗記に頼ると言えます。結果として、前者は新たな問題にも柔軟に対応できるため安定して高得点を狙えますが、後者はパターンを外した途端に失点しやすいです。
Step-2:作問採点が変わる試験とベテループ

「2次」は「正解が1つに決まるⅣ」を除き、毎年“正解”が変わり得る構造を持っています。これは、与件企業の状況や試験委員の出題意図によって重視される論点が毎年異なるためです。前年度に高評価だった解答パターンが、次年度も通用するとは限りません。実際に二次では「模範解答」を公表せず、試験委員は毎回ケースごとに受験者の応用力を採点していると考えられます。
言い換えれば、「このケースでは何が最善策か」を自分で考え抜く力が問われており、安易に前年の焼き直し解答を書くと的外れになるリスクが高いのです。
この構造は、とくに長年合格に届かず受験を繰り返しているベテラン受験生にとって落とし穴になりがちです。いわゆる「ベテループ(ベテランのループ)」とは、前年の出題パターンに合わせて勉強し、今年の試験に臨むものの、試験がまた新たな方向にシフトしていて対応しきれない…という負の循環を指します。
例えば、「昨年は財務戦略が重視されたから今年もそれ中心で書こう」と準備していたら、今年は一転して非財務の組織改革策が肝だった、というようにです。パターン学習だけに頼っていると、このように試験の変化に後手後手に回ってしまい、毎年「準備と出題のズレ」に悩まされることになります。試験委員は意図的に出題傾向を固定化しないように工夫していますから、ベテラン受験生ほど「自分のやり方」を見直し、本当にケースの状況に即した思考ができているか自省することが重要です。
特に「事例Ⅰ~Ⅲ」では、どんなに有名なフレームワークや定石も、状況に合っていなければ得点に結びつきません。おベテが嫌なら「覚えた解答パターンを当てはめる発想」から「その企業ならではの問題点と解決策を考える発想」への転換がマストです。
Step-3:正解が1つに決まる「Ⅳ」を使って負荷トレ

事例IV(財務・会計の事例問題)は、診断士二次試験の中でも比較的客観的な数値計算が中心となるパートです。この事例IVを上手に活用することで、認知負荷に対する耐性を鍛えるトレーニングが可能です。財務計算問題は解法パターン自体は定番化している部分もありますが、試験では「一見すると簡単な定番問題」にあえて大量の計算を盛り込んで差がつくようにしているケースが多いと指摘されています。
つまり、誰もが解けそうな問題でも分量や手間を増やし、時間内に正確に処理しきる力を試そうとしているのです。これは受験者に相当の認知負荷(集中力と計算処理能力)を強いるため、日頃からの練習が欠かせません。
逆に言えば、事例IVの計算問題を通じて意図的に負荷の高い練習を積むことで、脳の「処理耐性」を高めることができます。具体的には、試験直前までの期間、毎日30分~1時間程度の計算トレーニングを継続することが推奨されています。過去問や予想問を用いて日々計算練習を行えば、累計20~30時間の演習量となり、計算スピードと正確性の向上を実感できるでしょう。
ポイントは週末にまとめてやる他に、なるべく毎日コンスタントに継続することです。これは分散学習(Spacing)の効果もあり、日を置いて繰り返すことで記憶や技能が定着しやすくなります。
「Ⅳ」の計算問題では、本番同様に制限時間内で解く練習を重ねることで、認知負荷が高まった状態でも焦らず手順を進めるメンタルも鍛えます。これを脳の認知負荷への耐久力と適応力を伸ばすトレーニングと位置付けるのが良いでしょう。
Step-4: 2割で受かるか、不合格を2割にするか

同友館の受験ノウハウが必要以上にムダ拡散することで、原則全員2割のガチャになった「2次」。認知負荷を高めて確実8割合格するか、そこを避けたノウハウの思考停止で運ゲー2割を目指すか2択が出来ます。
自律型8割合格への学習ガイド
「自力型」を目指す受験者、あるいは既に自力型の学習姿勢で臨んでいる方に向けて、さらに認知負荷を活かす学習戦略を提案します。ポイントは、意図的に学習に程よい困難を組み込むことと、与えられた時間やリソースを最大限活用することです。
単に長時間勉強するのではなく、頭を使う勉強を心がけましょう。具体的には以下のような取り組みが有効です:
- 深く考える学習: 新しい知識や与件の情報を暗記する前に、自分の既存知識と関連付けるよう意識してみましょう。例えば事例企業の状況を自分が知っている他企業の事例と比較したり、知識の背景にある理論を思い出したりします。こうした関連付けによって理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。
- 自分の言葉で説明: 学んだ理論や自分の立てた仮説を、誰かに自分の言葉で説明するつもりで整理しましょう。ノートに要点を書く、友人や同僚に説明してみる、あるいは生成AIに自分の理解を解説してみるのも良い方法です。自分の言葉でアウトプットすると、あやふやな部分が浮き彫りになり、理解が確実になります。
- 現実の状況で適用: 抽象的な知識は、具体的なケースに当てはめて練習することで使える知恵に変わります。過去問演習では毎回違う業種・課題の企業が登場しますが、それを「もし自分がこの企業のコンサルタントならどうアドバイスするか?」とリアルにシミュレーションしてください。実際の状況を想定して考える習慣が、未知の事例にも対応できる柔軟さを育てます。
近年はChatGPTに代表される生成AIが学習ツールとして注目されています。自力型の受験者にとっても、AIは上手に使えば「考えるためのパートナー」となり得ます。例えば、与件文を読んで自分なりの解答方針を立てた後、ChatGPTに「別の視点で考えられる要因は?」と問いかけてみると、自分が見落としていた視点を提示してくれるかもしれません。
また、自分の書いた答案の要約や論理チェックを依頼し、論理の飛躍や抜け漏れを検証するといった使い方もできます。ただし、生成AIの提案を鵜呑みにするのではなく、必ず自分の頭で取捨選択し検証することが重要です。AIはあくまで補助輪であり、最終的に解答を作り上げるのは自分自身であることを忘れないでください。
自力型の強みを本番で最大限発揮するには、時間配分と当日の環境適応にも習熟しておく必要があります。どんなに深く考える力があっても、時間内に解答を書ききれなければ得点にはなりません。日頃から過去問演習では時間を計り、各設問に何分かけるか配分を決める訓練を積みましょう。難問に時間を取られすぎず、平易な問題から確実に点を取る戦略もシミュレーションしておきます。
また、本番環境(試験会場の雰囲気や緊張感)に対応するため、模試や勉強会など疑似本番の場を経験しておくことも有効です。普段と違う環境でも平常心で思考できるようになると、当日どんなハプニング(難易度の変化や想定外の設問)があっても落ち着いて対処できるでしょう。
これらは一見手間がかかりますが、これが試験委員の考える「望ましい負荷」と考えると見方が変わります。隣のノロマにパクられないうちに、さっさと情報格差を見せつけます。
朱と赤は交わらない~同友館のノウハウ合格ガイド
例え隣のふぞろいの格安ノウハウ合格であっても、ワンチャン2割の魅力は見逃せない。そこであのパターン学習自体を全否定する必要はなく、せめてこれ位やっておけば? を生成AIがアドバイスします。
まず大事なのは、ノウハウ頼みの学習法の限界を認識することです。「過去問の解答を暗記すれば安心」「有名な解答パターン集を全部覚えれば受かるだろう」と思っている場合、それは短期的に楽なだけで効果的な方法とは言えないと知りましょう。
学習科学の研究でも、安易な反復だけの学習は学習者にとって心地よい分、実際の応用力には繋がりにくいことが示されています。まずは「自分は考える訓練を回避しすぎていないか?」と振り返ってみてください。長年合格できずにいるなら特に、その原因が学習アプローチにある可能性があります。
ノウハウ型の方は、これまで蓄積してきた知識パターンを活かしつつ、少しだけ「負荷」を増やす練習を取り入れてみましょう。例えば、重要な定型表現やフレームワークを覚える際に、ただ見て覚えるのではなく一度隠して自力で思い出してみるというステップを加えます。これは想起練習(リトリーバル・プラクティス)といい、記憶を強化する望ましい困難の一種です。
「解答手順を頭の中でシミュレートしてから解答解説を読む」「過去問の設問を見て、自分の頭だけで答えを組み立ててから模範答案と照合する」といった練習も有効です。最初はうまくできず歯がゆいかもしれませんが、そのもどかしさこそが認知負荷であり、学習効果を高めてくれます。
ノウハウ型学習では「考えるプロセスを飛ばして答えを暗記する」場面が多くなりがちですが、本番では完全に同じ問題は出ません。そこで、学習時に最低限の思考プロセスを挟む工夫が重要です。例えば、テンプレート解答を覚えるときも「この解答はなぜこの企業に有効なのか?」と理由をセットで考える習慣をつけます。理由づけをしながら覚えれば、試験当日に状況が変わっていても「使えるパターン」かどうか判断しやすくなります。
また、「他に別解はあり得るか?」と自問してみるのも良いでしょう。自分で答えを出せなくても、一度考えてから模範解答を見れば理解が深まります。ポイントは、答えをそのまま暗記するのではなく、一度頭を経由させることです。これにより記憶にも残りやすくなり、応用も利くようになります。
どうしても不安な論点や不得意分野は、最初はパターン暗記に頼っても構いません。しかし、徐々にで良いので自力で考える領域を広げていきましょう。例えば事例IIIの生産管理が苦手であれば、まず典型パターンを覚えて合格点ギリギリを狙いつつ、得意な事例IIでは自分なりの分析を深掘りして高得点を狙う、といったハイブリッド戦略もあり得ます。
全部を自力型にシフトするのが理想ですが、一朝一夕には難しい場合、得点戦略上リスクの低い部分から自力思考を試してみるのです。このように少しずつ考える訓練を組み込むことで、ノウハウ型の方でも徐々に認知負荷への耐性と応用力が養われ、安定して合格ラインを超える実力に近づけます。
今日のまとめ
難化を続ける「2次」に対しイマの「1次」は簡単すぎるから、420点などと寝言を言わず500点が普通と捉えて適切な暗記の負荷を掛ける。すると「認知負荷」すら知らない隣のおベテが大量に滞留する「2次」を、150hで8割確実合格できます。