
合格時短&若返りを進める試験では、初学ワンチャンを超優遇し、意地になって受け続けるベテなオジほどアッチに逝ってポイ。そこで隣のノウハウのパクリは不要とわかる、2次事例の進化を綴る超ガイドラインを用意しました。
診断士「2次」はここ10年で度々進化を重ねる。過去問をR2→R6の順に解き進んでその意地悪さを知ると、今年の「2次」でさっさと試験卒業を決めるカギになります。
隣のD社は過去問をR6→R2へと遡る
その理由は、「前年の合格者がそうしている、そう言ったから」の思考停止です。
そこで「2次」過去問はR2→R6へと解き進む
すると「前年合格者の言い分」を通用させじと、翌年の作問採点が再び変わる。その進化を実感できます。
かつては診断の手順習熟を重視した問題が中心でしたが、現在では与件企業(ケース)の物語性が強く、まるで ケーススタディ(事例研究)のような総合分析力が求められています。
本記事では、各時代ごとの出題傾向・答案作成法・必要とされた能力の変化を詳細に分析し、2025年の受験生(特に初学者)にとって最適な学習行動 を導き出します。
具体的には、(1)診断実務手順重視の時代、(2)与件企業ストーリー化の時代、(3)ケーススタディ化による難化の時代に分けて特徴を整理し、ストーリー/ケーススタディ型事例への対応力の育て方、スコアランダム化(得点のばらつき戦略)の意義と対策、初学者と再受験者それぞれに望ましい学習行動、そして最後に2025年試験に向けた具体的な学習指針と直前チェックリストを提示します。
【超初心者用】2次事例進化のガイドライン / 4つの時代に分けて詳細解説

第1世代:診断手順の教育手段 (~2010年代前半)
その当時は「事例とは禅問答のようにわかりにくいもの」とされ、悪名高いTACメソッドが爆誕したのもこの頃。周囲が全くデタラメで、隣のD社が得意なノウハウ・パターンが通用した時代です。
中小企業診断の 基本手順(情報整理→課題抽出→助言提案)に沿った設問が中心でした。与件文(ケースの設定文)もオーソドックスで、要求される解答は具体性の高い実務的提案です。当時は 暗記型のパターン回答 が有効で、「この状況ではこの解答を書く」といった決まり文句を蓄積することで効率よく対応できました。
事例企業の課題も比較的典型的で、定型的なフレームワーク(例えばSWOT分析や3C分析など)を当てはめれば回答の骨子を作りやすい傾向にありました。
上記のような傾向から、過去問分析による パターン学習 が合格の鍵でした。例えば、「強みと弱みを問う設問にはSWOT分析から導入する」「生産現場の課題には5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を絡めて回答する」といった暗黙知が共有されていました。実際、2010年前後の事例問題では第1問に毎回SWOT分析を要求するパターンが見られ、受験生はあらかじめSWOTの切り口を準備して臨むことができました。このような定型パターンへの習熟が高得点答案につながり、長年受験しつづけるおベテもまだ救われた時代です。
基本的なフレームワーク活用と、中小企業診断士テキストに載っている 定石知識の暗記 が重視されました。与件文を深く読み込むというよりは、問われているテーマに対して「対応する知識を書けているか」がポイントとされています。
極端に言えば、与件企業固有の事情よりも一般論的な解答でも減点されにくく、手順通りに漏れなく回答を埋める正確さが評価されていたのです。この時代の試験委員の意図としても、「診断士に必要な基礎的実務能力を教育する」目的が強く、受験者に誠実に手順を踏んだ回答を書かせる構成でした。
第2世代:ストーリー化と知識の時代 (2017年~)
今も昔も受験者が「Ⅲ」を苦手にするのは同じで、H28以前の「Ⅲ」は似通った事例ばかりのベテ有利だった。その流れをスト組有利に一変させたのが、このH29「Ⅲ」です。
2010年代後半になると、従来のパターン暗記頼みの受験対策に揺さぶりをかけるような出題が増え始めました。特に2017年(平成29年)前後から顕著になったのが、一次試験知識の応用重視と与件設定のドラマチック化です。試験委員は「パターン通りに書くだけのおベテをそのまま合格させない」という意思を見せ、与件文に新しい視点や初見のテーマを盛り込みました。具体的には、一次試験で学ぶ知識を活用しないと解けない設問や、従来とは異なる切り口のケースが現れています。
例えば2017年の事例III(H29)では、これまで頻出であった生産現場の5Sや定型的な工程改善ではなく、「生産管理(計画と統制)」というテーマが突如重視されました。この年のケース企業C社は従来型の下請製造業から自社製品(CNC木工加工機)への新規事業転換に挑むストーリーであり、設問も生産管理のみならずマーケティングや販売チャネル開拓など多面的な視点を要求しました。従来の知識や準備だけでは太刀打ちできない内容で、新しいテーマへの対応力 や柔軟な思考が評価の中心となったのです。このように、ひとつの事例の中に複数領域の論点を盛り込み、受験生の対応力を試す傾向が芽生えました。
また2018年の事例III(H30)では、与件文中の根拠対応をわざと錯綜させる 「コンタミ(設問混合)」 という罠が仕掛けられました。これは第2問で使うべき情報を第4問にも登場させ、受験生が誤って一方の設問で使ってしまうと連鎖的に両方で失点するような巧妙な出題です。さらにこの第2問では「マン・マシン・チャート」を用いた解答が求められており、一次試験の運営管理知識 を知っていないと正解に辿り着けない内容でした。実際、解答解説では「あの問題は『一次』知識を使ってこう解くぜ」と示されており、一次と二次の垣根を超えた総合力が要求されています。
このような知識重視の出題によって、長年のパターン暗記に慣れたベテラン受験生が苦戦し、一方で基本に忠実な初学者が台頭するという逆転現象も見られました。実際、「ベテがさっぱり受からない試験をアタシがスト合格!」とスト合格したある初学者が大はしゃぎする一方、既存ノウハウに固執した受験生が不合格に沈むケースが話題になります。試験委員はまさにこの転換を狙っており、事前に準備されたフレーズの羅列では対応できない問題 を増やしていったのです。
過渡期には、時代の変化を敏感に察知した受験生が成功しました。2017~2019年頃に合格した人たちは、単なる暗記に頼らず一次知識の復習や最新トレンドのインプットを怠りませんでした。また、与件文を細部まで読み込み、与件の新視点に基づく独自の解答を工夫した人が高得点を得ています。
一方、依然として「ふぞろいな合格答案」シリーズに代表されるようなキーワード並べ替え型の回答だけを練習していた層(いわゆる「ふぞろい教」)は伸び悩みました。試験委員は与件文に直接書かれていない知識のひけらかしや、テンプレ通りの解答を嫌うため、受験生側も画一的なノウハウからの脱却を迫られたのです。
この時期から問われたのは、応用力と読解力のバランスです。依然として一次試験レベルの知識が土台として重要でありつつ、それをそのまま書くのではなく「与件企業の状況に合わせて応用できるか」 が問われました。さらに、与件文に散りばめられた事実やストーリーを丹念に拾い上げ、論理的に因果関係でつなげて答案を組み立てる読解力・思考力が重視され始めます。つまり、パターン暗記から脱し、自ら考えて書く力 へのシフトが本格化したのがこの過渡期と言えるのです。
第3世代:知識よりもその場の与件 (令和初期、2019年~)
もとからそうですが、「2次」事例は80分手書きの制約があり、受験者はその年の題意全てをカバーできない。そして点差をつけやすい、「与件の長文化」「80分では解けない無理ゲー化」が加速します。
令和に入る頃、事例問題は一段とストーリー性を帯びるようになりました。与件企業の設定が詳細かつドラマチックになり、試験問題が 「一つの企業の物語」 として展開される傾向が強まったのです。たとえば 2019年(令和元年)以降、実際の中小企業の実話に基づくようなケースが登場しました。2020年(令和2年)の事例I では、岐阜県の老舗酒蔵「舩坂酒造店」の事業承継ストーリーが題材となり、与件文を読んだ受験生からは「あまりにもリアルだ」「モデル企業があるのでは?」と話題になりました。
実際、舩坂酒造店の有巣社長が自身のFacebookで「なんと舩坂酒造店の事業承継の歴史が、中小企業診断士の試験問題文になっておりました(汗)。」と驚きをもって投稿したほどです。このようにケースのモデル企業が実在するような臨場感あふれる設定が増え、受験生はまるでビジネスドラマの登場人物になったかのように問題文を読み解くことになります。
ストーリー性が高まったことで、求められる答案作成法も 「物語を踏まえて一貫性のある提案をする」 方向に変化しました。事例企業の歴史や背景、経営者の思いといった情報が詳細に描かれるため、それらに即した オーダーメイドの解答 を作る必要があります。成功した受験生は、与件文からキーワードを抜き出して並べるだけでなく、「この企業だからこそ意味がある提案」にこだわりました。例えば、創業家のビジョンが強調されるストーリーではその意図を汲み取り、提案にもビジョンの実現につながる着眼点を盛り込む、といった工夫です。与件文の読解量も飛躍的に増大したため、大量の情報から本質的な課題と解決策を素早く抽出するトレーニングを積んだ人ほど有利でした。一方、依然として事前に覚えた汎用フレーズを使い回すだけの答案は、「与件と無関係な解答」とみなされ大きく減点されるようになりました。
ストーリー化時代の成功事例としては、過去問分析よりも 与件文分析に重きを置いた 学習をした合格者が挙げられます。ある直近合格者は、「過去問よりも毎年ケースが違うのだから、読解力を鍛えることに注力した」と語り、実際に与件文の事実を丁寧につなげて論理展開した答案で高評価を得ました。試験委員も「与件文を基に現状分析しつつ具体策を立案する読解力」を強く求める採点基準へとシフトしています。そのため、ストーリーからブレない一貫性と説得力のある答案を書く力が、この時代には合格者の決定的な差別化要因となったのです。
こうやって進化した事例では、読解力と論理構成力の総合力が問われます。特に重要なのは、与件企業の物語を踏まえて「なぜその課題が生じ、何を解決すべきか」を自分の言葉で整理する力です。また、ケースごとに論点が大きく異なるため、フレームワーク適用力よりも ケースに応じたオーダーメイドの分析力 が必要でした。2020年の事例Iはまさにその象徴で、創業者ビジョン→他社M&A→組織再編→外国人材活用…と 論点がジェットコースターのように次々展開 する内容でした。
これに対応するには、一つひとつの論点の背景や目的を的確に押さえ、それらを関連付けて全体像を俯瞰しながら解答を構成する力が求められます。つまり、広範囲な経営課題を短時間で整理・統合し、自分なりのストーリーとして解答にまとめ上げる力が、このストーリー化時代の合否を分けるカギでした。
第4世代:本格ケース・スタディに (2024年~)
仮に30万円課金しスクールに1年通った所で、翌年の新作事例はそれと全く異なる初見問題に。これを「試験主催者による意図的な合格者層の入れ替え」と解釈するのが勝ち筋です。
2022年以降、試験はケーススタディの色彩を一層強め、同時に意図的な難化=スコアのランダム化が進んだされます。ケーススタディ化とは、単なる物語風の与件というだけでなく、経営全般にわたる統合的な問題解決能力を問うケースとして設計されているという意味です。具体的には、一つの事例企業について複数のテーマ(戦略・組織・マーケ・生産・財務等)が複雑に絡み合い、受験生がその場で優先順位を判断しながら解答を組み立てることが求められます。
また採点においても、毎年解答パターンを変えることで受験生の対応力を試し、確実な合格を約束された者以外は一種の“運試し”な状況になってきました。試験関係者の間では「2割ガチャ(2割しか受からないガチャポン)」という辛辣な表現で、この不確実性を伴う選抜を語る向きもあります。
実際、東大卒・外資コンサル・公認会計士といった 上位5%の超高速思考層 以外は、直感や場当たりの勝負に賭けるしかないケースもあるという指摘です。それほどまでに難化を進める背景には、「ふぞろい解答」やスクール指導から流出した受験テクニックが広まりすぎることへの試験委員側の危機感があり、毎年出題傾向を変化させて受験テクニックの市場支配を崩す狙いが考えられます。
2022年(R4)以降では、解答が受験生ごとに大きく割れる問題が増えました。たとえば R6「Ⅱ」では、与件企業の提供価値を問う中で「感覚価値」「観念価値」といった高度なブランド論の概念が突然出題されました 。これらは一次試験「企業経営理論」で出題例が2回あるだけのニッチな知識であり、上位層以外はほとんど答えられず、正答率5%程度もない難問となりました 。
結果的に、この“穴論点”を的中させたとしても大きな加点がなく、できてもできなくてもこの年に限れば合否を左右しない没問となったとされますが、ケーススタディとしての奥深さ(ブランド戦略の本質を問う)であると同時に、採点上 意図的に得点差を開かせる 仕掛けだったと言えます。
ここまでの各事例の難化と突如大ボーナスを繰り返す歴史から、穴論点ばかりを狙って不要な知識を追いかけるベテ勉への規制を強めつつも、R6「Ⅳ」のようにその伏線を繰り返してある程度認知が広まった時に、一気に大ボーナス事例となることが予想されます。
ケーススタディ化時代では、毎年のように採点基準が微調整・シフト しています。試験委員は前年に受験生が工夫した解答パターンやSNS上で共有された解答例を分析し、それを逆手に取るような問題を翌年に投入してきます。そのため、前年まで有効だった解法テクニックが突然通用しなくなることもしばしばです。
さらに 事例I~IIIと事例IV間の得点配分のバランス も年によって変動します。直近の例では2024年試験(令和6年)において、事例IV(財務会計)の配点で驚くべき現象が起きました。事例IVで90点台を連発し、ついには100点満点の合格者まで現れました。これは過去に例を見ない高得点乱発で、受験界も騒然となりました。同時にその年は事例I~IIIの得点差が付きづらく、ベテラン勢が得意とする理論暗記のアドバンテージが打ち消されたとされます。
このように年による得点の偏重・緩和が起こるのは、試験委員が意図的に合格者層の入れ替えを図っている兆候と言えます。つまり、特定の科目だけ飛び抜けて高得点を与えるワンチャン試験化には、新規合格者(初学者)の台頭を促し、従来型受験テクニックへの依存度が高い層を相対的に不利にする狙いが考えられます。
ケーススタディ化時代において受験生に求められるのは、総合的なビジネスセンスと言えます。知識面では一次試験各科目の横断的な素養が必要で、いつ突飛な知識を問われても対応できるよう幅広く準備することが重要です。
思考面では、未知のケースに即興で対応する アドリブ力 やクリティカルシンキングが不可欠です。与件文の情報量が非常に多いため、短時間でポイントを取捨選択して整理する情報処理能力も試されます。さらに、毎年変化する採点の着眼点に適応する 柔軟性 と、他の受験生が書かないような 独自性のある切り口 を見出す力も重宝されます。
要するに、パターンに頼らず自分の頭で考える力、そして広い知識を背景にそれをやってのける総合力が、理想の合格者像と言える時代がやってくるでしょう。
今日のまとめ
試験評論歴16年のウチのサイト主が監修とはいえ、この論説は明らかにAI作成だから「Deep Research」⇔「Deep Fake」のどちらと捉えるかはあなた次第。そしてその判断は、続く後編を読んでからでも遅くありません。