悪夢のような「2次」から早く離れようと願っているのに、再現答案や当日の成功失敗を思い出してはついクヨクヨするあなたのために。今年のスクール選びの参考に、AI試験委員による仮採点基準でスクール解答を比較します。
一つの方法が生成AIに採点基準を作らせ、各校の模範解答を採点して、気に入ったスクールを選ぶこと。例えば合格ラインを20点中12点とし、キーワード15点、読みやすさで+5点、減点△5点にすると、ふぞろいよりは確からしい採点基準になりました。
①キーワード加点(15点) | ②構造的加点(+5点) | ③減点要素(△5点) |
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答案に与件の必須キーワードや重要概念をどれだけ網羅し、正確かつ適切な文脈で使用されているかを評価します。 | 答案全体の文章構成や論理展開、因果関係の明示、そして読みやすさを評価します。 | 読みにくさ、無理な情報の詰め込み、題意を捉えていない、不適切または誤ったキーワードの使用、論理の矛盾など、答案の品質を下げる要素を減点します。 |
・キーワードが完全に記載され、その相互関係や意味が正確に表現されている場合、最大15点まで加点します。 ・部分的な表現や曖昧な記述は部分加点となり、必要なキーワードが抜けていると得点は低くなります。 | ・「起承転結」や「原因→結果→具体策」などの明確な構造を持ち、内容が整理され、理解しやすい流れで記述すると、最大で+5点加点する。 ・論理展開が不十分だったり、情報の並びが乱雑で読み手にとって理解しづらい場合は、加点が減少します。 | ・これらの問題が認められる場合、内容の不備に応じ最大5点減点され、全体の得点から差し引かれます。 |
【読者リクエスト】もしAIが採点すると / キーワード15点±加減点5点?
R6「Ⅳ」で確定した通り、事例スコアは恣意的に上げ下げするから、各採点サービスやふぞろい基準の如くキーワードの絶対数で一喜一憂するのはノロマ確定。そこで構造的(読みやすさ)に+5点、気に入らないと△5点する相対基準で、各社のR6「事例Ⅰ」を比較します。
※強み弱みの第1問は単純キーワード加点と考えられるため、今回のAI採点を省略。
第2問(20点)
なぜ、A社は首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。
200%AI答案 | KEC | 大原 | TAC |
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理由は、①県外輸送の引き合い増と首都圏の物流需要に向け、②新規開拓が弱い既存組織と分離するため。リーダー指名の狙いは、①営業経験のある長女が新市場開拓に適任で、②部下2名のマネジメントも経験させること。 | 理由は、A社は新規開拓力が弱く既存の組織体制では目的達成が困難であること、狙いは、長女の専門的な物流企画や営業の能力を発揮するとともに、後継者教育としてリーダーを経験させ円滑な事業継承を図ることである。 | 理由は、首都圏での物流需要に適したサービスを企画・提供するために適切な組織と判断したため。狙いは、長女の入社前の経験をチーム内で共有し、適切な物流企画により、増加する県外との輸送ニーズへ対応すること。 | 理由は、新市場の開拓である一方で組織は地元志向が強いため、県内事業と切り離し、少人数でスピード感をもって進めたかったから。狙いは、物流企画や営業経験を活かすことと、次世代経営者として経験を積ませること。 |
18点~19点 | 20点(満点) | 14点~15点 | 16点~17点 |
【キーワード】 主要な要素(県外輸送の増加、首都圏物流需要、新規開拓の弱さ、既存組織からの分離、長女の営業経験、部下マネジメントの経験付与)がほぼ網羅され、適切に記載されています(約14~15点)。 | 「新規開拓力の弱さ」「既存組織体制の限界」「長女の物流企画・営業能力」「後継者教育としてのリーダー経験」など、必須キーワードおよび概念が完全に網羅され、具体的に表現されています(15点)。 | 「首都圏の物流需要」や「適切な組織」という表現はあるものの、既存組織の新規開拓の弱さや、長女の役割として後継者育成の要素が十分に表現されていません。そのため、必要キーワードの一部が不足している(約11~12点)。 | 「新市場の開拓」「地元志向の組織との切り離し」「少人数でのスピード感」「物流企画・営業経験」「次世代経営者としての育成」と記載されていますが、【首都圏】という具体的表現が曖昧な点や、既存組織の新規開拓の弱さが直接的に表現されていないため、若干減点される(約13点程度)。 |
【構造加点】 「理由」と「狙い」が明確に区分され、因果関係も整理されているため、ほぼ満点の加点が得られています(+5点)。 | 理由と狙いが明確に分かれており、論理の流れも非常に整理されているため、加点項目も満点(+5点)。 | 「理由」と「狙い」の区分はされているものの、論点の展開がやや一般的で、具体的な事例とのリンクが弱いため、加点はやや低め(+3~4点)。 | 理由と狙いが明確に分かれており、文章自体も読みやすく整理されているため、加点は高め(+4~5点)。 |
【減点要素】 特に大きな読みづらさや題意逸脱は見受けられず、減点はほぼ無し。 | 減点対象となる読みづらさや題意からの逸脱は認められません。 | 内容が抽象的で、事例の本質(既存組織との分離や後継者教育)を十分に捉えていない点で、数点の減点が見受けられます(合計で△~2点程度)。 | 必須キーワードの明確性にやや欠ける点で、軽微な減点がある(△~1~2点)。 |
【短評】 必要なキーワードをしっかりと押さえ、理由と狙いの両面が明瞭に記述されています。全体としてバランスが良く、わかりやすい答案です。 | 答案全体が要求事項を完全に反映しており、論理・文章構成ともに優れた完璧な解答です。最も標準的かつ説得力のある答案と言えます。 | 基本の構成は整っていますが、必須のキーワードや具体性に欠けるため、回答内容がやや薄い印象です。もう少し具体的な事例要素の反映が望まれます。 | 答案は全体的に整理され読みやすいですが、キーワード面で【首都圏】などの具体性がやや不足しています。概ね良好な解答ですが、さらに精度を高める余地があります。 |
第2問(20点)
なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。
200%AI答案 | KEC | 大原 | TAC |
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理由は、①長男による物流システム提案に加え、②Z社進出地域の物流コーディネーター役として輸送サービスの質が高く、③外食Y社から得た効率的な受注処理や店舗在庫ノウハウを活かし円滑な県内進出を期待したため。 | A社は県内の協力業者等との深い関係性を持ち、自社倉庫を保有し保管業務や流通加工能力を持つことから、各店舗についての在庫管理や商品補充等の業務をA社に外部委託することで県内への円滑な進出を期待したから。 | 理由は、県内進出にあたり、①地域物流のコーディネーターとして、既に県内で物流機能を担った実績があったため、②首都圏で蓄積した受注処理や在庫管理のノウハウを活かした、高度な物流システムを期待できたため。 | 2代目の長男の営業によってA社が効率的な受注処理や各店舗の在庫管理のノウハウを有していると認識した上、新たな市場である県内にスムーズに進出するにあたって地域物流のコーディネート力に魅力を感じたから。 |
17点~18点 | 15点前後 | 18点前後 | 16点前後 |
【キーワード】 主要要素(長男による物流システム提案、地域の物流コーディネーターとしての輸送サービスの質、外食Y社由来の受注処理・在庫ノウハウ)がほぼ網羅され、適切な文脈で記述されています。 | 「県内の協力業者との関係性」「自社倉庫」「保管業務や流通加工能力」「在庫管理・商品補充」といった要素を提示しており、A社の強みを述べています。 | 「地域物流のコーディネーター」「県内での実績」「受注処理・在庫管理のノウハウ」「高度な物流システム」といった重要なキーワードが的確に盛り込まれ、理由として十分な内容です。 | 「2代目の長男の営業」「効率的な受注処理」「各店舗の在庫管理ノウハウ」「地域物流のコーディネート力」といった要素が提示されていますが、全体として他の答案と比べると、具体性や多角的な視点に欠ける印象です。 |
【構造加点】 複数の理由を①~③と番号立てしており、論点が明確に区分されているため、読みやすく整理されています。 | 一文でまとめられており、読みやすさは保たれているものの、理由の多角性(例えば物流システム提案やコーディネーターとしての役割など)が不足しているため、構造的加点は限定的です。 | 2点程度の番号付け(①と②)により、論理展開が明確で読みやすく、各要素間の関係が整理されています。 | 一文でまとまっており、読みやすさは確保されていますが、理由の切り分けがやや弱く、情報が一つの要素に偏っているため、構造的加点は部分的です。 |
【減点要素】 やや情報が詰め込みすぎの印象がある点や、回答全体が少し重厚な表現になっているため、軽微な減点が認められます。 | 必須となる他のキーワード(たとえば、物流システム提案や地域物流のコーディネーション)の記載がなく、説得力にやや欠ける点で減点されます。 | 情報の提示数は答案1に比べてやや少なめで、補完的な要素が不足している印象があるため、軽微な減点があります。 | 重要な視点(たとえば、物流システム提案や複数の実績の提示)が薄く、説得力が低下している点で軽微な減点があります。 |
【短評】 多角的な理由を示しており、事例文の各要素(物流システム、物流コーディネーター、受注処理・在庫管理ノウハウ)をしっかり捉えた答案です。若干の詰め込み感があるものの、全体としては高評価です。 | A社の保有する設備や関係性を強調している点は評価できるものの、複数の視点からのアプローチが不足しており、答案全体としての完成度がやや低めです。 | 必要なキーワードを漏れなく含み、シンプルながらも論理的な展開で説得力がある答案です。情報量はやや抑えめですが、要点は的確に捉えています。 | A社の強みとして受注処理や在庫管理に着目した答案ですが、理由の幅が狭く、他の観点が欠落しているため、全体としては平均的な完成度に留まります。 |
第4問(40点)
今後、A社が3PL事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
2024年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。
200%AI答案 | KEC | 大原 | TAC |
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狙いは、①県内事業部の旧態依然な管理を改め、②年功序列に不満な専門人材の処遇を見直し、③非一族経営幹部の下で2代目長男に協力会の運営を学ばせ次の承継に備えること。 | 県内事業部について経営幹部の専務取締役を置くことで長女による首都圏事業部との円滑な連携を図り、長男を統括マネージャーとすることで物流システムの具体的な改善を図る。 | 狙いは、両事業部の業務の連携を強化して相互にノウハウを共有し、地域の枠を超えた物流コーディネーターとなることで、3PL事業者として競合との差別化を図ることである。 | 非一族である経営幹部を経営層に入れ、2代目を支えるとともに県内事業部に配置する長男の上席者とすることで、組織の一体感を醸成しながら両事業部の連携強化を図ること。 |
20点 | 12+3−2 = 13点 | 11+4−2 = 13点 | 14+4−1 = 17点 |
【キーワード】15点 「県内事業部の旧態依然な管理」、「年功序列に不満な専門人材の処遇見直し」、「非一族経営幹部の下で2代目長男に協力会運営を学ばせる」など、必須の要素が盛り込まれている。 | 12点 「県内事業部」「専務取締役」「長男を統括マネージャー」「物流システム改善」などの要素はあるが、旧態依然の管理改善や非一族経営幹部による育成といった、創業経営者の助言の背景となるキーワードが不足。 | 11点 「両事業部の連携強化」、「ノウハウ共有」、「地域の枠を超えた物流コーディネーター」、「3PL事業者としての差別化」など、戦略的な視点は示されるが、配置転換特有の内部組織改革(例:旧態依然の管理刷新、専門人材の処遇改善など)の記述が不足。 | 14点 「非一族の経営幹部の起用」、「2代目を支える」、「県内事業部に配置する長男の上席者」、「組織の一体感の醸成」、「両事業部の連携強化」など、主要キーワードがほぼ網羅されている。ただし、若干の具体性に欠ける部分があるため満点には至らず。 |
【構造加点】+5点 項目番号付きで3点ずつ明確に分けられており、論点が整理され読みやすい。 | +3点 一文で記述されているため、構造は一応あるが、理由が一面的で論点の切り分けが不十分。 | +4点 2項目により論理展開は整理されているが、答案全体が戦略全般の話となっており、配置転換の具体策との関連が弱い。 | +4点 一文でまとまっているものの、論点が一文に詰め込まれており、やや読みづらさがあるため、完全な加点とはならない。 |
【減点要素】なし 特に読みづらさや題意逸脱は認められず。 | △2点 役割の記述に長女と長男が混在しており、事実関係がやや不明瞭な点が減点対象。 | △2点 題意である「配置転換の狙い」が抽象化され、内部改革の側面が薄いため、論旨のずれとして減点。 | △1点 |
【短評】 必要なキーワードを漏れなく盛り込み、配置転換の狙いを3点に分けて明瞭に記述。全体として非常にバランスが良く、説得力のある答案です。 | 配置転換の具体策としては記述されているが、創業経営者の助言で意図された管理刷新や非一族幹部の起用といった重要キーワードが抜け、また長女と長男の役割混同により、論旨がやや散漫になっています。 | 事業全体の連携や差別化という観点は示されていますが、創業経営者の助言に基づく具体的な内部組織改革の狙いが反映されず、やや広範な戦略論に偏っている印象です。 | 非一族経営幹部の起用と連携強化という点を的確に押さえ、配置転換の狙いを明確に示しています。やや文章が密集している点がマイナスですが、全体として非常に説得力があり、優れた答案です。 |
(設問2)
A社がZ社との取引関係を強化していくための施策を、100字以内で助言せよ。
200%AI答案 | KEC | 大原 | TAC |
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A社は、①首都圏の人手不足とZ社の県内進出ニーズを受け、②プロパー専門職を活用した店舗在庫の適正化と機動的な商品補充の実現により信頼を高め、③大手3PL事業者との競争を回避してZ社との取引関係を強化する。 | 施策は、多様な人材の処遇制度を改善のうえ、現場に詳しい専務取締役と専門知識のある統括マネージャーの協力により、適正在庫管理や機動的な商品補充など、Z社のニーズに応えるための県内事業部の改革である。 | 必要な施策は、①多様化した専門人材に適した人事処遇制度を構築して処遇面の不満を解消し、物流の多様化や複雑化への対応力を高めること、②協力会内で人材情報を共有化し、人手不足への対応力を高めること、等である。 | 人事処遇制度の適正化と事業部間の人事異動、首都圏における協力会の組織化により、物流の多様化や複雑化に対応可能な組織とし、県内事業部のきめ細かい対応力強化による受託範囲拡大と首都圏の案件受託を志向すること。 |
14+5−1 = 18点 | 12+3−2 = 13点 | 10+5−3 = 12点 | 14+4−1 = 17点 |
【キーワード】15点 Z社の県内進出ニーズ、首都圏の人手不足、プロパー専門職の活用、店舗在庫の適正化、機動的な商品補充、大手3PL事業者との競争回避、取引関係強化といった必須要素がほぼ網羅され、適切に表現されています。 | 12点 「多様な人材の処遇制度改善」、「専務取締役」、「統括マネージャー」、「適正在庫管理」、「機動的な商品補充」、「県内事業部の改革」など、内改革の視点は示されるものの、直接的にZ社との取引関係強化へ結びつく要素が不足している。 | 10点 「多様化した専門人材」、「人事処遇制度の構築」、「処遇面の不満解消」、「物流の多様化・複雑化への対応」、「協力会内での人材情報共有」、「人手不足への対応」など、内部施策の要素は示されるが、直接的にZ社との取引関係強化に結びつくキーワードが不足。 | 14点 「人事処遇制度の適正化」、「事業部間の人事異動」、「首都圏における協力会の組織化」、「物流の多様化・複雑化への対応」、「県内事業部のきめ細かい対応力強化」、「受託範囲拡大」、「首都圏の案件受託」といった重要要素を概ね盛り込んでいる。 |
【構造加点】+5点 番号付きの3点項目で論点が明確に区分され、読みやすい文章構成となっている。 | +5点 一文にまとまっており、論理の流れはあるが、理由の切り分けが不十分で読み手への訴求力がやや弱い。 | +5点 番号付きで2項目により整理され、読みやすさは確保されているが、内容が内部施策に偏りすぎており、説得力に若干欠ける。 | +5点 一文にまとめつつも各要素が順序立てられており、全体としては読みやすく論理展開も明確。 |
【減点要素】△1点 や情報量が詰め込みすぎな印象があり、読者に負担を与える可能性があるため、軽微な減点。 | △2点 内部改革に偏っており、Z社との直接的な関係強化策が明確でない点で減点。 | △3点 Z社との取引関係強化に必要な外部連携の視点が欠落しているため、題意からずれていると判断。 | △1点 文章が情報を詰め込みすぎており、やや密度が高く読み手に負担がある点が若干減点対象。 |
【短評】 複数の視点から具体的な施策を示し、キーワードも豊富。文章構成は明快ですが、情報密度が高いため若干読み手に負担がかかる点が惜しむところです。 | 内部体制の改革を通じた対応策を提案している点は評価できるが、Z社との取引関係強化に直結する視点がやや不足しており、説得力に欠ける印象です。 | 内部の人材施策に重点を置いた提案であり、構造は明快ですが、Z社との取引関係強化に直結する施策が不足しており、説得力がやや低い答案です。 | 内外の施策をバランスよく統合した提案で、組織改革と受注拡大の両面から狙いを示している点が評価できます。文章がやや密集しているため、読みやすさ面での改善が望まれます。 |
今日のまとめ
今日の採点に引用したのは、情報公開に比較的オープンなKEC、大原、TACの3校。片やベテ専EBAやヒヨコで知られるTBCはこの辺りに敏感なので、もし採点させたいなら生成AIを使って「自分でやること」。