99%のムダを捨てて1%の本質を捉え、周囲が驚く高パフォーマンスを叩き出す「エッセンシャル思考」。年明けの合格発表待ちのあなたも、これから試験対策を始める方も、ドッキドキで見逃せない大型連載(全5回)のスタートです。

キャリア&スタイル

【インハウス診断士の活躍】大企業と地方企業が互恵でコラボ! / ショボい「企業内」との差別化

試験後のキャリアの世界で一番ショボいのが、「企業内診断士の会」がある大企業様。本来有能だった社内人材のムダ使いで苦笑いされ、道を歩くと石を投げられます。

Q
7科目のビジネス知識に、100字マス目で鍛えた国語が加わり、デジタルが得意なコミュ強とあっては、世間の注目を集めるしかない診断士。ところが未だに評価がショボいのは、企業内にとどまり傷を舐めあうウンコが多いため?
A

診断士の受験/合格者の多くが大企業勤めのホワイトカラーであるのに、仮に診断士を取っても大企業では評価されにくい。かといって独立などしようものなら、給与と安定度が下がるWパンチです。

①資格が会社で役立たない②専門分化した大企業では評価されにくい③課外活動に注力すると低評価
実態) 診断士資格で得たスキルが社内業務に直結せず、成果を上げる場面が限定的である。資格取得後も専門分化が進む組織内では、診断士としての価値が十分認められない。資格取得後に社外活動に注力する姿勢が、社内では「業務外の趣味」と見られがちである。
その理由) 診断士のスキルは中小企業向けに汎用的な内容が中心で、大企業特有の課題に応用しにくい。大企業では個別の専門性や実績が評価基準であり、診断士の広範なスキルは目立ちにくい。社内業務への貢献が薄れると、組織内での信頼や期待が低下し、評価が下がる傾向にある。

【インハウス診断士の活躍】大企業と地方企業が互恵でコラボ! / ショボい「企業内」との差別化

要するにいい年こいたおじオバが大企業内で士業ごっこを繰り広げた所で、周囲は白い目でしか見ない。そうでなく現職でスキルをいかんなく発揮するのが「インハウス診断士」です。

Step-1:地方企業の発掘

Q
わが事例Ⅰ~Ⅲの出題傾向から、試験委員→試験合格者への期待は役立たずな受験ノウハウの伝播より、「新規事業」「地方の活性化」にある。
A

そこであなたが勤め先の大企業で一定以上の発言力があれば。以下の手順で周囲のみんなが喜びます。

①ターゲットなる業種・地域の選定

地方創生や中小企業政策に基づき、支援すべき業種や地域を慎重に選定します。具体的には、地域資源や産業特性を活かした特化型産業(農産物、観光業、地域ブランド品など)をターゲットとし、成長が見込まれる企業をピックアップします。また、地域ごとの経済特性や課題を理解し、その地域に最も適した業種や企業群を選ぶことが重要です。例えば、ITや製造業などの新たな産業分野が活発な地域を選定し、これらの産業の成長を支援する企業をターゲットにします。

②展示会等で情報収集

業界や地域の展示会、商談会、地域イベントなどに積極的に参加し、地方企業の最新動向や課題を収集します。展示会は、企業が自社の製品やサービスをアピールする場であり、そこでの情報収集は非常に重要です。展示会に出展している企業の中から、新たなビジネスチャンスや協業の可能性を持つ企業を見つけ出すことができます。また、直接企業担当者と面談することで、経営課題や成長戦略を把握し、その後の支援に役立てます。加えて、商工会議所や産業団体が主催するセミナーなども活用し、業界動向や競合企業の情報を集めることが有効です。

③現地訪問で関係づくり

情報収集後、ターゲットとなる企業に対して現地訪問を行い、経営者と直接対話することで、企業が抱える具体的な課題やニーズを明確にします。現地訪問は、企業の現状や成長のポテンシャルを把握するための重要なステップであり、地域独自の文化や市場特性を理解する機会にもなります。さらに、現地訪問を通じて地元の商工会議所や産業団体、地域の経済団体と連携し、地域内でのネットワークを構築します。これにより、他の地方企業とのつながりも生まれ、新たなビジネス機会を見つけることができます。地域との密接な関係を築くことで、地域経済全体の活性化にも貢献できるため、より広い視野で支援が可能になります。

Step-2:互恵対等なビジネスモデル

Q
確かに東京大阪の方が高スキルの新卒人材を集めやすいが、R6「Ⅰ」の題意は地元志向のローカル人材も活性化すること。
A

R6A社のように、都会⇔地方の賃金格差は大きい。よってビジネスの組み方次第では、地方に大きな雇用をもたらします。

①地域資源×先端技術コラボ

都心の大企業が持つ先進技術やノウハウを活かし、地方企業が誇る地域資源(農産物、特産品、観光資源など)を活用して新たな製品やサービスを共同開発します。大企業は自社の研究開発能力や市場アクセスを提供し、地方企業は地域に根差した情報やネットワークを提供することで、相互に補完し合います。例えば、大企業がIoTやAI技術を提供し、地方企業が地元農産物のデータ収集やトレーサビリティを高めるシステムを開発するなど、技術と地域資源を組み合わせた製品を生み出します。この協力により、大企業は新たな市場を開拓し、地方企業は製品の付加価値を向上させることができます。

②地方ブランド強化と都心部への販売チャネル

地元志向の人材を抱える地方企業は、地域の特産物や観光資源を活かしたブランドを構築しています。都心の大企業は、マーケティングや販売ネットワークの強みを活かし、地方企業の製品やサービスを都心市場やグローバル市場へ広めます。地方企業は自社の地域密着型のストーリーや文化的価値を提供し、大企業はそのブランドをデジタルマーケティングや流通チャネルで支援する形で協力します。このビジネスモデルは、地方の製品やサービスに都会的な販路を開くとともに、都市部の消費者に対して新しい価値を提供することができます。

③地方拠点でのイノベーションと人材育成

都心の大企業は、地方企業と連携して地方拠点で新たなイノベーションを創出することが可能です。大企業の研修プログラムやリソースを活用して、地方企業の地元人材を育成し、地域内でイノベーションを推進する人材を育てます。地方企業の地元志向の人材は、地域特性を理解し、現地での新しいビジネスモデルを作り出す能力を持っており、大企業はそのスキルを支援・強化することができます。さらに、地域内での共同研究開発や新規事業立ち上げに取り組み、地方企業の成長とともに都心企業も新たな市場や価値を享受することができます。

Step-3:プロジェクト管理と橋渡し

Q
しかし寸秒刻みで動くアーバンな大企業と地方企業では、そのスピード感や先端感の格差は隠せない。そこでプロジェクト管理と橋渡し役が必要になる。
A

これまでの大企業内のプロジェクト管理は、終身雇用を前提としたメンバー型の阿吽の呼吸で行われることが多かった。これからはダイバーシティに地方を巻き込むプロジェクト管理の挑戦が始まります。

①スピード感のギャップを埋める

都心にある大企業は、アジリティを重視して迅速な意思決定や行動が求められる一方、地方企業は地域特性やリソースの制約があるため、スピード感が遅くなる傾向があります。このギャップを埋めるために、中小企業診断士はプロジェクトの進行管理において、両者のペースを調整します。具体的には、大企業の要求を理解しつつ、地方企業が納得し、適応可能なスケジュールを設計します。さらに、進捗状況を定期的に確認し、遅れが生じた場合にはタイムラインの調整を行い、プロジェクト全体のバランスを保ちながらスムーズに進行させます。

②コミュニケーションエラーを埋める

都心と地方の企業では、文化的な背景や業務の進め方に違いがあります。これにより、情報の伝達ミスや誤解が生じやすくなります。中小企業診断士は、両者の間で円滑なコミュニケーションを促進する橋渡し役としての役割を担います。具体的には、定期的な会議を開催し、プロジェクトの目的や進捗状況を明確に伝えるとともに、両者のニーズや期待を調整します。また、異なる視点や価値観を理解し、翻訳することで、双方が納得できる形での意思疎通を実現します。このようにして、信頼関係を築き、プロジェクトのスムーズな推進を支えます。

③大企業⇔地方企業の力を合わせて橋渡し

大企業は豊富なリソースや技術力を持っていますが、その運用方法が地方企業にとっては新たな挑戦となることがあります。一方、地方企業は独自の市場知識やローカルネットワークを持っており、これを大企業に提供する価値があります。中小企業診断士は、このリソースと経験を双方で有効に活用できるように橋渡しを行います。例えば、大企業が提供できる技術的支援を地方企業が使いやすい形に調整し、地方企業のローカルマーケットの知識を大企業が理解しやすく伝える役割を果たします。これにより、双方の強みを最大化し、プロジェクトの成功に導きます。

Step-4:付加価値と生産性向上

Q
これまでの大企業の地方移転は、コールセンターなど労働集約型の仕事の分散が主だった。でもこれからは地方の力で付加価値や生産性向上を上げる時代?
A

突如話題になった賃上げブームで、大企業に比べた中小企業の付加価値率の低さ=労働分配率の高止まりと設備投資の不足が明らかに。ここを解決するのもインハウス診断士の大事な役目です。

①DXデジタル投資

地方企業は、労働集約型の業務が多く、効率化が遅れがちです。インハウス診断士は、地方企業の業務プロセスを分析し、デジタル技術や自動化を導入することで生産性向上を図ります。例えば、製造業ではAIを活用した予測保守や工程管理、農業分野ではドローンやIoTによる生産管理を導入することが効果的です。これにより、労働集約型業務の効率化が進み、作業者の負担軽減とともに生産性の向上が期待できます。また、ITツールを活用した営業やマーケティング業務のデジタル化も、地方企業が都市部市場にアクセスするための大きな武器となります。

②設備投資で高度化

地方企業の多くは設備投資が不足しており、これが付加価値の低さや生産性の向上を妨げています。インハウス診断士は、地方企業のニーズに適した最新の設備を提案し、その投資効果を高める方法を考えます。例えば、製造ラインの機械の更新や新しい加工技術の導入により、製品の品質向上とコスト削減を実現します。また、業務の効率化に加えて、地域資源を活用した製品開発や品質管理の高度化を推進し、地域ブランドの強化を図ります。これにより、生産性の向上とともに地域の競争力を高め、企業の持続可能な成長に貢献します。

③付加価値経営で生産性向上

地方企業の多くは、労働分配率が高いにもかかわらず、付加価値を生むための人材育成が不足しています。インハウス診断士は、地方企業の社員に対して必要なスキルや知識を提供するための教育プログラムを構築し、従業員のキャリアパスを明確にすることが重要です。これには、技能やマネジメントの研修を通じて労働者の生産性を向上させるだけでなく、地域内での人材定着やリーダーシップ育成を含みます。さらに、地方企業と都市部の企業との交流を促進し、先進的な業務のノウハウや管理手法を学べる機会を提供することで、社員が積極的に業務改善や生産性向上に貢献できる環境を作り出します。

Step-5:社内組織の変革と成長

Q
こうすると、組織と仕事が官僚制に出来上がった大企業の本社より、互恵対等な地方企業とのコラボの方が、政策的にあるべき企業の姿を描きやすい?
A

地方にあるのが資源やアイデアであるとすれば、不足するのが資金や上手なやり方。この大企業コラボを診断士が実現すると、資格の価値がおっきく上がります。

①地方企業との互恵なコラボでイノベーション

地方企業とのコラボレーションでは、地域資源や独自のアイデアが活かされるため、従来の大企業の枠を超えたイノベーションが生まれやすくなります。インハウス診断士は、地方企業とのコラボで得た新しい知見やアプローチを、大企業内の事業開発や新規プロジェクトに応用することができます。例えば、地方の特産物を活かした新製品開発や、地域のニーズに特化したサービスモデルの導入は、大企業が新たな市場に進出するためのきっかけになります。このようなイノベーションを組織文化として取り入れることで、大企業は柔軟で先進的なアプローチを重視するようになり、変革を促進します。

②地域資源を活用した付加価値向上

大企業の本社では、コスト削減や効率化が進みにくい場合がありますが、地方企業との協業を通じて、効率的な生産方法や資源活用のノウハウを取り入れることが可能になります。インハウス診断士は、地方企業の独自の生産プロセスや低コストで高品質を実現している事例を大企業に適用し、コスト構造の見直しや生産性の向上を図ります。例えば、地方企業の手法をベースにした製品のローカライズや生産ラインの効率化を進めることで、大企業は無駄を削減し、より効果的な資源配分を実現できます。このような改善は、大企業の競争力を強化する重要な手段となります。

③フラットでアジャイルな組織文化醸成

地方企業とのコラボにおいては、互恵的で柔軟なパートナーシップが求められます。大企業の官僚制的な組織構造と対照的に、地方企業との協業では迅速な意思決定やフラットなコミュニケーションが重要となります。インハウス診断士は、このようなアジャイルでフラットな組織運営の手法を大企業に導入することができます。たとえば、大企業内のプロジェクトチームが地方企業との連携を通じて、意思決定のスピードを上げ、ボトルネックを解消する方法を学び、結果としてより効果的なプロジェクト管理や社員間のコミュニケーションが実現されます。このように、地方企業との協業の成功事例を社内に反映させることで、大企業はより柔軟で迅速に変化に対応できる組織へと進化することが可能です。

今日のまとめ

Q
これまでの口先企業内診断士の地方活性施策といえば、祭りに屋台を出して焼きそば作る程度が精一杯。これからはそうでなく、インハウス診断士が大企業のリソースを活かして、地方の付加価値や生産性を本気で上げる時代に。
A

ショボい「企業内」を「インハウス」と言い換えるだけで、生み出す価値がこれだけ違う。大企業⇔地方企業が互恵でコラボする時代と気づけば、診断士としての第一歩もおっきく変わるでしょう。

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