I事例Ⅱ

【写経シリーズ(Ⅱ)】出題の趣旨、与件文、受験校解答

スケール感が半端ない。

「事例Ⅱ」が2次名物たる所以とは、一企業の診断に留まらないスケールのデカさ。

※2019年注記:スケールがデカかったのは、H27のクソショボい商店街事例以前の話です。H27以降は誰でも当たるダナドコ事例に。

  • 商店街振興、町おこしなどは朝飯前。
  • 介護やCSRに興味を示すと思えば、
  • インバウンドを超え、宇宙進出すら企てかねない勢い。

つまり、B社長の経営資源は自社だけではない。そんなB社を診断する時は、STPで誰に売るかに加え、提案先がB社か商店街かの違いの意識が欠かせない。

【出題の趣旨】事例Ⅱの要求能力

H29事例Ⅱ
第1問 (20点)

B社の強みと、競合する大型スーパーや百貨店の現状を分析する能力を問う問題である。

第2問 (25点)

データベースに登録された購買履歴や住所などを活用しながら新たな予約会を成功させる施策について、助言する能力を問う問題である。

第3問 (30点)

地域内の需要の変化を踏まえて、中小建築業と連携しながらターゲット層の顧客生涯価値を高める施策について、助言する能力を問う問題である。

第4問 (25点)

地域内の人口構成を踏まえて、新たなターゲット層を設定し、ターゲット層のニーズに応じた施策について、助言する能力を問う問題である。

H28事例Ⅱ
 第1問(20点)

B社のこれまでの製品戦略について、マーケティングの基本的視点から分析する能力を問う問題である。

第2問(30点)
(設問1)しょうゆ市場全体を取り巻く環境変化から製品ラインアップに関する適切な製品戦略と顧客ターゲットを提案する能力を問う問題である。(設問2)
B社製品の顧客となるべき消費者層に製品価値を訴求するプロモーション戦略と販売戦略を提案する能力を問う問題である。
第3問(20点)

メーカーであるB社が川下(飲食店経営)に参入することにより、製品開発や営業施策の点でどのような可能性があるかについて、分析力・課題解決力を問う問題である。

 第4問(30点)
(設問1)B社が、直接、最終消費者に対するインターネット販売に乗り出すために必要な施策について、ブランド戦略の観点から問題解決力を問う問題である。(設問2)顧客のリピーター化促進のためには、インターネット上でどのようなマーケティング・コミュニケーション施策が必要かについて、提案力を問う問題である。
H27事例Ⅱ
第1問(40点)
(設問1)B商店街周辺の環境変化に基づき、今後のターゲットを分析する能力、提案する能力を問う問題である。(設問2)B商店街周辺の今後のターゲットの特徴に基づき、誘致すべきサービス業を分析する能力、提案する能力を問う問題である。(設問3)B商店街が誘致するサービス業とのテナントミックスの効果を最大化するために、今後のターゲットの特徴に基づき、飲食店が採るべきマーケティング戦略を分析する能力、提案する能力を問う問題である。
第2問(20点)

B商店街が実施する物産市当日の来街客のニーズを推測し、物産市の内容と連動しながら非食品小売店が採るべきマーケティング戦略を分析する能力、提案する能力を問う問題である。

第3問(40点)

(設問1)

B商店街が低価格志向の総合スーパーと差別化するために、環境変化に基づき、誘致すべき食品小売店とそのマーケティング戦略を分析する能力、提案する能力を問う問題である。

(設問2)

B商店街代表理事の長期的なビジョンを踏まえつつ、環境変化に基づき、誘致する食品小売店が長期にわたり商店街に定着するための新規イベントとその効果を分析する能力、提案する能力を問う問題である。
H26事例Ⅱ
第1問(25点)

2時点におけるB社の各商品の位置づけを、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームにもとづき、整理・分析する能力を問う問題である。

第2問(25点)

B社が保有するコンテンツを活用し、新規顧客となり得る高齢者やその家族に対する、適切なメディアを通じたコミュニケーション活動を助言する能力問う試験である。
第3問(30点)
(設問1)顧客データベースを活用したデシル分析結果から、現在のB社の売上を支える重要顧客層を特定する(分析)能力を問う問題である。(設問2)デシル分析結果から上位顧客の特徴を特定し、そこから、既存顧客に限らず今後、B社が狙うべきターゲット顧客のイメージを抽出する(分析)能力を問う問題である。
第4問(20点)

効率的にB社の介護ツアーの客単価(1世帯1回あたりの平均利用金額)向上を実現する、新商品開発・既存商品改良を提案する能力を問う問題である。

H25事例Ⅱ
第1問(20点)

副社長着任以前のB社が、小規模企業でありながら継続的な顧客の維持に成功してきた複数の要因を整理・分析する能力を問う問題である。
第2問(20点)

B社新商品のパッケージとシールを有効に活用し、X市の地域ブランド価値の向上および原材料農産物の高品質訴求を実現するための助言能力を問う問題である。

第3問(30点)

(設問1)

YスーパーのPOSデータを分析し、これらの数値に基づきB社からみたブランドレベルのイベント・POP効果を評価する(分析)能力を問う問題である。

(設問2)

YスーパーのPOSデータを分析し、これらの数値に基づきYスーパーから見た部門・カテゴリーレベルのイベント・POP効果を評価する(分析)能力を問う問題である。
第4問(30点)
(設問1)通信販売の比率拡大に伴う収益構造変化に関する注意点を整理し、マーケティングにおける対策を助言する能力を問う問題である。(設問2)
オフラインの施策を活用し、B社販売サイトへの誘導を実現するための助言能力を問う問題である。

受験校答案を採点:H27事例Ⅰ

解答の引用先
H27受験校模範解答(O社、A社)

第1問(設問1) 難易度:易

O社

ターゲットとすべき顧客層は、人口増加が見込まれる高層マンション街の住民である。特に、比較的所得の高いファミリー世帯(0歳から10歳の子供を持つ、30歳から40歳代)をメイン・ターゲットとすることを助言する。

A社関西

ターゲットとすべき顧客層は、高価格の高層マンション街や住宅街に住み、こだわりの商品の買い物や落ち着いた雰囲気で飲食を楽しみたいと考えている、20歳代後半から40歳代までの小さな子供を抱える夫婦である。

A社東京

30代の若いファミリー層をターゲットとすべきである。具体的には、線路を挟む2つの工場街跡地の高価格な高層マンションに住み、低価格志向ではなくこだわりや本格志向を持ち、小さな子供がいる共働きの世帯である。

一口メモ
・3社の回答がピタリ揃う通り、問題本文やグラフから確実に根拠を抜く問題。これで配点20点だから、後は100字の編集力を磨く。

第1問(設問3) 難易度:中

O社

子供連れでも利用できる店舗の改装とファミリー世帯向けのメニュー開発とテイクアウト商品開発を助言する。

A社関西

戦略は、子供を預けた夫婦に、こだわりの食材を使用した料理を、落ち着いた大人の雰囲気の中で提供すること。

A社東京

小さな子供を預けられる託児所と連携して「家族連れが落ち着いて食事ができる食事処」という趣の店にする。

一口メモ
・最早知らぬ人のいないSTP=「誰に・何を・どのように」を50字10点で問う、編集力問題。答案そのものの評価が狙いではないが、3要素をカバーしているA社関西に軍配。

第2問 難易度:高

O社 家具店

こだわりのある家具の展示会を実施することを助言する。具体的には、実際に展示家具に触れてもらいながら、ライフスタイルやニーズにあった家具を提案することで、にぎわいの創出と総合スーパーとの差別化を図る。

A社関西 食器店

助言は、物産市でこだわりのある農水産物および加工品を購入する人に対し、購入した食材を使用した料理を見栄え良く食卓に並べるのに適したこだわりの食器を、実際の料理を盛り付けて店頭で提案し販売することである。

A社東京 家具店

助言内容は、①総合スーパーが扱う低価格商品ではなく県内産の木材を使用したオリジナル品を目玉商品にする、②他店購入商品の修理の受付や手入れ方法などアフターサービスに関する相談会を実施する、ことである。

一口メモ
・100字20点もあるが、ロクに根拠も与えず、売上向上に向けた「将来の」内容を「助言」させる難問。少しでも問題本文根拠の表現を使いつつ、STPまたは4Pの切り口で配点要素を思い浮かべ、後は編集力。「A社東京」だけ少し触れているが、「売上向上」を聞かれた以上、「単価の上昇」に配点があるのは想像できる。

第3問(設問2) 難易度:高

O社

誘致した食品小売店の食材を使用したメニュー開発をB商店街内の飲食店に依頼し、商品化と親子料理教室などの実施をすべきと助言する。食材の安定的な売上が食品小売店で見込まれ、併せて飲食店の売上も期待できる。

A社関西

新規イベントとして、食品小売店の食材を使用し家庭で調理した料理の写真コンテストを実施すべきである。期待される効果は、写真を通じて顧客と店主、店員が顔見知りになり親しく会話を交わすようになれることである。

A社東京

顧客と店主、店員が顔見知りとなり親しく会話を交わす食のイベントを実施すべき。具体的には、組合の若手理事が各店主と共同で県内産食材を使ったご当地グルメの祭典を定期的に企画し商店街活性化の効果を期待する。

一口メモ
・「新規イベント」を100字で助言せよと言われても至難、ひたすら何か書いても点はまず来ない。【第10段落】が対応してると気づき、長期的課題たる「顔見知りとなり親しく会話」に言及できれば、まるっと高得点。

写経の作法(例)

(1)道具を揃える
・問題文、問題本文
・・PDFでダウンロード可
・模範解答、解説 ・・手持ちの過去問題集で可
・Excel、Word

(2)手順
①問題文を写経
・・Excelを使うと、後で属性・配点などの分析が可能
②問題本文を写経 ・・Wordが好適
③模範解答から、問題本文の該当根拠にマーキング
※今回の参考として主に「速修2次過去問題集」(山口正浩他、早稲田出版)を使用
④そこから先の自問自答
※時間ないときは、問題本文はPDFコピペ、問題文のみ写経、などのショートカットOK。でもショートカットするほど効果が半減。

写経例:H27事例Ⅱ

設問文

第1問 (100字、50字、50字、40点)
(設問1) (現在、「ターゲット」助言、難易度:易)
今後、B商店街はどのような顧客層をターゲットとすべきか。代表理事への助言内容を100位字以内で述べよ。

★いかにもな「図2」や根拠からもターゲットはうっすら絞れるが、ここは「解答の一貫性」が決め手。つまり、設問2や3につながるため、あえて設問2→3→1の順に埋める手がある。100字もあるので、根拠の「抜き」で確実に加点。

(設問2) (現在、「誘致業種」助言、難易度:易)
設問1で解答したターゲット顧客層向けに、新たにどのようなサービス業の業種を誘致すべきか。代表理事への助言内容を50字以内で述べよ。

★事例Ⅱの特徴として、「何を売る」かを必ず類推。社会常識一般論で「保育・託児施設」までは浮かび、あとは50字のマスに入れる修飾語のセンス。直接使える根拠が薄く、図1から「駅に至近」「通勤途上」あたりを導くか?

(設問3)(現在、「テナント・ミックス戦略」助言、難易度:中)
設問2で解答した業種の店とB商店街の主力である既存の飲食店とのテナント・ミックス(店舗の組み合わせ)の効果を最大化するために、個々の飲食店の店主達はどのようなマーケティング戦略をとるべきか。助言内容を50字以内で述べよ。

★マーケティング戦略ときたら、要素は4P。Product(乳幼児向けメニュー)、Place(託児施設の帰り道)、Promotion(遊具の設置)あたりの要素が浮かべば、あとは編集力。

第2問 (100字、20点、将来、「売上向上」助言、難易度:高)
物産市当日における非食品小売店の売上向上を実現するためには、非食品小売店の店主達へどのような助言をすべきか。B商店街の主な非食品小売店である家具店、食器店、スポーツ用品店の中からひとつの業種店を対象に選択し、(a)欄の該当する業種店の番号に○印を付けるとともに、(b)欄に助言内容を100字以内で述べよ。

★100字、20点もあるが、「助言」として直接抜ける根拠がほとんどない。助言内容そのものは「助言するフリ」して最小字数に抑え、STPや4Pの切り口で、「物産市に来る」「こだわりを求める客」への「やや高価格」をどう提案するか。個人的には「宅配サービス」推しながら、「ボクがその場で思いついたステキなナイスアイデア」でマス目浪費はリスク大。

第3問 (100字、100字、40点)
(設問1) (将来、「誘致」助言、難易度:中)
代表理事は、B商店会の魅力向上に向け、食品小売店の誘致が必要であると考えている。B商店街はどのような食品小売店を誘致すべきか。当該食品小売店のマーケティング戦略と併せて、代表理事への助言内容を100字以内で述べよ

★ここも、マーケティング戦略ときたら4P。「低価格の総合スーパー」との棲み分け目指し、Product(物産市の県内製品)、Price(やや高め)、Place(駅近くの空き店舗)、Promotion(対面、夜遅くまで)あたりを上手に並べて高得点?

(設問2) (将来、「新規イベント」助言、難易度:高)
代表理事は、設問1で解答した食品小売店が長期にわたり商店街に定着するための誘致と連動した新規イベントを実施したいと考えている。どのような新規イベントを実施すべきか。期待される効果と併せて、代表理事への助言内容を100字以内で述べよ。

★第3問(1)(2)は、結果として【第10段落】の診断士への相談内容、①イベント(短期) ②業種誘致(中期) ③顔見知りの会話(長期)をどれだけカバーするかが点差。どうしても時間足りなくなるから、イベント内容を考えることに時間ロスせず、③顔見知りの会話に言及できたか否かで点差。

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問(1)青色 第1問(2)水色第1問(3)緑色第2問黄色第3問(1)桃色第3問(2)紫色

【第1段落】

組織概要B商店街は、ローカル私鉄のX駅周辺に広がる商店街である。B商店街域内の総面積は約4万㎡(店舗、街路、住宅、公園を含む)であり、約10店が出店している。商店街運営はB商店街協同組合が行っており、約8割の店舗が組合に加盟している。組合には加盟店から選出された理事13名、専従職員2名が属している。組合運営費(専従職員給与、街路灯保守費、イベント実施費など)は、月数千円の組合費、各種補助金、組合事務所のイベントスペース収入、駐車場収入などから賄われる。

【第2段落】 代表理事

現在の代表理事は商店街で寝具店を営む50歳代男性である。代表理事が先代から寝具店を引き継いだ頃、後述する総合スーパーの出店により、経営は厳しいものであった。しかし、購入者向けのアフターサービスに注力した結果、経営が安定し始めた。現在は後継者に店舗経営を任せ、自分は組合活動に軸足を移している。

【第3段落】 組合運営の活性化

現在の代表理事も以前は、持ち回りで選出された他の理事と同じように、運営に対して消極的な理事の1人であった。しかし、寝具店の後継者が決定後、県が主催したセミナーで全国の商店街活性化事例を目にした。このセミナーをきっかけに、後継者が将来にわたり寝具店を経営し続けるためには、商店街全体の活性化が必要であると感じ、以降は積極的に組合運営に関与するようになった。その後、代表理事に就任し、10年後を見据えた組合運営という方針を打ち出した結果、志を同じくする若手店主数名の賛同を得るに至った。現在はそれらの店主達が理事に立候補し、理事の平均年齢は低くなり、逆に運営への関与度は高くなりつつある。この動きを受けて、県や市、商店街の店主、土地・建物の所有者も組合に協力的になりつつある。

【第4段落】 商店街の由来と工場撤退による客層の変化 1⃣

B商店街の誕生は、明治中期に現在のB商店街周辺に数千人の工員が勤務する大規模織物工場が建設されたことに起因する。その後、当該工場の周辺に関連工場が多数建設され、工場街が形成された。結果、工員を対象とする飲食業、小売業、(狭義の)サービス業等で構成される歓楽街が周辺に形成された。昭和初期にはX駅が開業し、駅と工場街の間に現在とほぼ同面積の商店街が完成した。第2次世界大戦時の空襲により、工場街は炎上し、商店街も大きな被害を受けたが、戦後、工場街が再生したのに伴い商店街も復興を成し遂げた。昭和後期に入り、公害問題から工場の移転が始まり、工員の来店が大幅に減少した。娯楽施設の大半が撤退し、周辺住宅街に住む住民を対象とした商店街へと変化していった。主力の飲食店も、かつては"工員が疲れを癒す居酒屋"という趣の店が多かったが、"大人が落ち着いて食事ができる食事処"といった趣の店に変わっていった。

あれ、ここまでほとんど与太話(ダミー)?
作問者
「さて、ここから本気だすか」ぼそり。

【第5段落】 総合スーパーとの非食品分野の競合 1⃣

同時期に食品販売を得意とする大手総合スーパーチェーンによる織物工場跡地への出店計画が立ち上がった。総合スーパーは4階建てであり、延床面積は商店街の延床面積に比べて小規模なものとなっている。組合は商店街と総合スーパーを一体とする商業集積としての魅力向上を期待し、出店を歓迎した。なお、B商店街は元々歓楽街としての側面が強く、食品を扱う小売店はほとんどなく、周辺住民は主に遠方の別の商店街で食品を購入していた。当時の組合は総合スーパー出店を機に「食品販売を提供する総合スーパー」と「飲食、非食品販売、サービスを提供する商店街」という補完関係による商店街来訪客の増加を将来像とて描いていた。しかし総合スーパー出店後、そのもくろみは大きく外れた。総合スーパーの低価格のNB商品やPB商品が、低価格志向にある周辺住民の非食品需要も吸収し、多くの非食品小売店が廃業した。また、総合スーパーに低価格を売りにする外食チェーン店が入店したため、外食需要もそれらに吸収され飲食店の売上もそれほど伸びなかった。

【第6段落】 高層マンション開発による住民の入れ替わり 1⃣

2000年以降、B商店街周辺の環境にも変化が起きつつある。それは工場街跡地の再開発である。空き地となっていた工場街跡地に高価格で販売される高層マンションが多数開発され、高層マンション街が形成されつつある。そして2015年以降も高層マンションの建築が計画されている(図1はB商店街周辺の概略図である)。同時に近年は高層マンション開発を契機とする地価の値上がりを受けて、住宅街の中高年層が土地・建物を売却し、他地域へ転居する例も増えつつある。この傾向は当面続くものと見込まれている。現在は人口の流入分が流出分を超過し、周辺人口は増加傾向にある。同時にB商店街の周辺住民の構成も変化しつつある(図2は2015年と2005年の商圏の年齢別人口である)。

【第7段落】 空き店舗率増加への危機感 3⃣

この間におけるB商店街の空き店舗率(店舗物件における空き物件の割合)は2005年時点で約3%、2010年時点で約5%、2015年時点で約7%となっている。この傾向に代表理事は強い危機感を抱いており、B商店街が生き残る道を模索し始めている。

【第8段落】 業種構成と営業時間

現在、B商店街の業種構成は店舗数ベースで飲食業約65%、サービス業約20%、非食品小売業約15%で、食品小売業はほぼない状況となっている。なお、店舗ごとの床面積は極端には変わらないので、延床面積もほぼ同様の比率である。一方、総合スーパーの売場構成は延床面積ベースで食品、非食品、飲食、サービスがそれぞれ約25%となっている。なお、商店街の各店舗の営業終了時間は、総合スーパーの対応する売場の営業終了時間に合わせている場合が多い。それは総合スーパーに対抗する意味合いもあるが、B商店街が元々歓楽街であったため、当初から営業終了時間が遅かったことの名残でもある。

【第9段落】 物産市の効果と不満 2⃣3⃣

代表理事は手始めに、比較的短期間で成果が出やすい取り組みとして、周辺住民に商店街との接点を持ってもらうイベントを開始した。月に1回、県内の農水産物および加工品を組合事務所周辺の街路で販売する「物産市」を実施している。食品小売業がほぼない商店街の弱みを補いつつ、低価格食品販売を主とする総合スーパーと差別化しながら周辺住民を商店街に呼び込むことを狙っている。代表理事は、イベント業者任せにせず、自らが県内を回って、大手チェーンにはない、こだわりの商品を販売する小売店に物産市への参加を説得して回った。結果、当該イベントは集客力を持つイベントに成長している。しかし、イベント当日は飲食店、サービス業の売り上げは大幅に増加するが、非食品小売店の店主からは「売上増加効果が現れていない」といった不満の声が挙がっている

【第10段落】 中小企業診断士への相談 3⃣

代表理事は短期的な課題としてイベントの改善を実現したいと考えている。また総合スーパーに対して劣勢にあるB商店街の立場を改善するため、総合スーパーとのすみ分けが重要であると考えている。そのために中期的には環境の変化に対応した業種誘致が必要だと考えている。また長期的には、顧客と店主、店員が顔見知りとなり親しく会話を交わすような状態になることが理想であると考えている。これらの課題解決のため、代表理事は、組合および商店街店主への助言を求めて中小企業診断士に相談することにした

図1 B商店街周辺 概略図 1⃣3⃣

図2 年齢別人口分布 1⃣

写経例:H26事例Ⅱ

設問文

第1問(40字、60字、25点 過去、「PPMフレーム」判定、難易度:易)
B社は創業以来、複数の商品を展開しながら今日まで存在し続けている。「2004年時点」と「2014年時点」のそれぞれにおけるB社の各商品が、下図のプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのフレームのどの分類に該当するかを当てはまる分類名とともに記述せよ。「2000年時点」については(a)欄に40字以内で、「2014年時点」については(b)欄に60字以内で、それぞれ記入すること。なお「相対シェア」は、市場における自社を除く他社のうち最大手と自社のシェアの比をとったものとする。また、市場の範囲はX市内とする。

★事例ⅡでPPMは既にお約束。時制×商品のマス目を書き、【第2、3、4、8段落】から「市場シェア」「市場成長率」の根拠を拾う。PPMのフレーム名を度忘れしここで出鼻を挫かれる=心が折れることで作問者がニンマリ。

第2問(100字、25点 過去+将来、「戦略」助言、難易度:中)
B社は現在、介護付きツアーにより、一度離反した顧客を再び顧客とすることに成功しつつある。現社長は次に、介護付きツアーの新規顧客獲得を目指している。そのためのコミュニケーション戦略として、SNSサイト上で介護付きツアーの画像や動画をプライバシー侵害のない範囲で旅行記として紹介している。しかし、要支援・要介護の高齢者本人にはあまり伝わっていないことが明らかになった。この状況を勘案し、新規顧客獲得のための新たなコミュニケーション戦略を100字以内で述べよ。

★定番のSTPフレーム「誰に」「何を」「どのように」、の3つが回答要素。

  • 誰に→【第5段落】出かけなくなった高齢者。
  • 何を→【第5段落】好きだったB社さんのツアー+【第2段落】全社長の知識や話術を吸収した新入社員。
  • どうやって→【第2段落】口コミ、【第7段落】ダイレクトメールあたり。

これらを根拠にもっともらしく書けばOK。

第3問(100字、120字、30点)
以下の表は、顧客データベースから算出された介護付きツアーのデシル分析の結果である。これは、顧客リストからランダムに抽出された100世帯の3年分の利用実績データを集計したものである。集計は1世帯単位で行われている。商品は3泊4日の国内ツアーのみであり、支援・介護レベルもほぼ同一の顧客を対象としている。
デシル分析結果をもとに、下記の設問に答えよ。

(設問1 現在、デシル分析、難易度:中)
デシル分析結果から、B社の売上の構造はどのような状態にあるか、数値を用いて説明せよ。その上で現在の重要顧客層を特定し、併せて100字以内で述べよ。

★「デシル」が不明でも「ABC分析」ならわかる。③客単価が同じ、③1世帯あたり金額の違いを、(制約条件を逆手に)【第7段落】喜びの声と多数の参加申込書 →「好評でリピート回数増」「上位顧客集中」「介護付きツアーの比重増」までつなぐ。

(設問2 現在、デシル分析、難易度:中)
デシル分析結果から、上位顧客と下位顧客の総利用額金額の差がどのような原因によって生じているか、数値を用いて説明せよ。その結果から導かれるB社が戦略的にターゲットとすべき顧客増と併せて120字以内で述べよ。

★120字→4センテンス。③上に行くほど客単価微増、④世帯利用額激増だから、支援・介護レベルの高い方ほどリピート回数が多い、までは指摘可。ターゲットを上位⇔下位顧客どちらにするかの根拠が薄いので、一般知識「高すぎる上位集中度→下位顧客を伸ばす余地あり」で吉。

第4問(80字、20点 将来、「新商品」助言:難易度:中)
現社長は、介護付きツアーの客単価を高くすることを目指している。そのためには、どのような新商品を開発すべきか、もしくは既存商品をどのように改良すべきか。助言内容を80字以内で述べよ。
ただし、B社が単独で提供し、X市内の顧客に対して展開する商品に限定する。

★80字20点では、根拠を選ぶ精度を高め、確実に稼ぐ。設問文の制約条件から【第2段落】一般向けツアーの顧客に、【第3段落】(研修でなく)歴史狙いの海外ツアーあたりでまとめる。

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問水色第2問緑色第3問(1)黄色第3問(2)桃色第4問紫色

【第1段落】 B社の来歴と地域住民の高齢化

B社は、資本金1,500万円、従業員12名(パート含む)の旅行業者である。創業以来、X市内の商店街に1店舗を有している。X市は中小製造業とベッドタウンが混在する街である。現在は高齢者比率が高まっているベッドダウンの高齢化対応が地域課題の1つとなっている。B社の創業は1990念、創業者は前社長である。前社長はもともと県内の大手旅行会社Y社の社員であった。史学科出身の前社長は歴史に関する豊富な知識と話術で、Y社在籍当時から、添乗員付きパック・ツアーのガイドとしてツアー参加者から高く評価されていた。やがてY社の方針に縛られずにツアーを企画したいと希望するようになり、Y社を退職しB社を創業した。

【第2段落】 1⃣ 2⃣ 4⃣創業1990年代の成長と顧客支持

創業当時の主力商品は前社長が得意とする、国内外の添乗員付きパック・ツアー(以下、「一般向けツアー」という。)であった。当時は知名度の低さから顧客獲得に苦戦する時期がしばらく続いたが、商工会議所主催のX市名所巡りでガイドをボランティアで担当したことをきっかけに新規顧客の獲得に成功した。やがて高い評価が口コミで広まりX市内を中心に顧客が増大した。顧客増大と平行して根気強く社員教育にも力を入れ、新入社員をツアーに同行させ、前社長の知識や話術を吸収させた結果、前社長が添乗するツアー以外でも高い評価を獲得し、組織として高いリピート率を得ることに成功した。創業5年後に調査会社を通じて実施したX市内消費者に対する市場調査では、添乗員付きパック・ツアーの市場シェアがそれまでシェア1位であったY社を上回るに至り、2000年頃までその地位を維持し続けた。

【第3段落】 1⃣ 4⃣海外研修ツアーの好調

創業直後の1990年代前半は一般向けツアーで高い評価を得たB社であったが、創業時点で既に一般向けツアーの市場は徐々に縮小しつつあった。その中にあって新商品を模索する必要に迫られていたが、1990年代後半に企業からの要望に応じた添乗員付きの海外研修ツアー(以下、「海外研修ツアー」という。)を主力商品に加えることに成功した。きっかけは、一般向けツアーに参加したX市内の中規模小売業チェーンの人事部長から依頼された米国の小売店視察ツアーであった。前社長は当初「小売ビジネスに役立つようなガイドはできない」と難色を示した。それに対する人事部長の反応は「視察とバス内の意見交換だけでは時間が持たない。海外で見聞を広めたいという社員の本音もある。研修の時間以外はバスで歴史の話をして欲しい」というものであった。このように始まった海外研修ツアーは社員から高い評価を得て、口コミを通じてX市内の中小企業を中心に依頼が増加した。2000年頃にはX市内における中小企業の海外研修ツアー市場でシェア1位を獲得するに至った。

【第4段落】 1⃣ 環境変化と社長交代

このように創業からの10年間は順調に成長を続けてきたB社であったが、2000年を過ぎた頃から状況は徐々に変化し始めた。まず大手旅行会社によるパック・ツアーの低価格化、インターネット利用による宿泊先やチケットの予約の簡易化が進み、一般向けツアーの業績が悪化し始めた。さらに2008年9月のリーマンショック後には、それまでグローバル化の流れの中で海外研修を拡大させていたX市内中小企業の研修予算が大幅にカットされ、海外研修ツアーの依頼も減少した。両商品共にX市内市場における市場シェアで価格競争力に勝るY社を下回り、さらに市場規模の縮小が商品販売の悪化に拍車をかける結果となった。この結果を受け、自身の経営に限界を覚えた前社長は引退し、B社社員であった現社長に経営者の座を譲るに至った。

【第5段落】2⃣ 4⃣ 出かけなくなった高齢者

現社長は経営の見直しを模索し始めた。その中で、現社長はかつて高いシェア、リピート率を誇った一般向けツアーがなぜ苦戦し始めたかを調査した。先述の低価格化、簡易化で若年層離れが起きたことは感じ取っていたが、長期に渡りB社の顧客であった高齢層の離反について現社長は理由を理解しかねていた。かつての顧客に対する調査の結果、高齢層顧客は他社の低価格ツアーを利用したり、自分で宿泊先やチケットを予約しているわけではなく、第力的な問題でそもそも旅行に出かけづらくなっているという実態が明らかになった。一方で「行けるものなら好きだったB社さんのツアーにまた参加したい」という声も多数寄せられた。

【第6段落】 1⃣ 2⃣ 3⃣介護付きツアーに取り組み

これらの調査結果に基づき現社長はB社商品の見直しに着手した。一般向けツアーに関しては将来的な廃止を念頭にツアー回数を削減し始めた。また市場規模が回復する兆しが見えない海外研修ツアーも現状の取引がある企業にとどめ、新規開拓は行わない方針を決定した。一方で、現社長が開発に取り組んだのは高齢者向け介護付きツアー(以下、「介護付きツアー」という。)である。このツアーは歩行、食事、入浴、トイレなどに関して支援・介護が必要な高齢者を対象にした国内旅行限定の添乗員付きパック・ツアーである。なお、対象となる高齢者だけでなく、家族も参加でき、要支援・要介護の高齢者の場合は、旅行代金の他に支援・介護レベルによって料金が加算され、家族の場合は一般向けツアーとほぼ同額で参加できるという商品である。

【第7段落】 3⃣ 4⃣周到な準備と好調な反応

まず現社長と社員1名の2名で、介護に関する資格であるホームヘルパー2級の資格を取得し、商品開発に着手した。はじめは要介護の高齢者を含む1家族の添乗から開始し、次に数組の要介護高齢者と家族によるツアーを開催し、ノウハウを蓄積していった。並行して他の社員にも関連資格の取得を奨励し、また新しい商品に適した社員を採用し、安定的な商品供給体制の準備を進めた。そして、開発着手から1年後の2010年、正式な商品として販売を開始した。当該商品の販売開始時からダイレクトメールを発送したところ、高齢となったかつての顧客から喜びの声と共に多数の参加申込書が送付された。

【第8段落】 3⃣ 4⃣中小企業診断士への相談

2014年現在、B社のトータルでの顧客数は2000年当時に比べて大幅に減少しているが、介護付きツアーは高価格商品であることから客単価は大幅に向上し、その結果、売上高や利益は2000年頃の水準に回復しつつある。また、X市内消費者を対象とした直近の市場調査では、需要の動きをうまくとらえ先行して介護付きツアーを開始した企業には及ばないものの、市場シェアが迫りつつある。このように業績は回復傾向にあるとはいえ、B社は介護付きツアーの新規顧客獲得や、導入したものの活用が進んでいない顧客データベースの活用などの課題を抱えている。現社長はこれらの課題に対するアドバイスを求めるため中小企業診断士に相談することにした。

今日のまとめ

「事例Ⅱ」は「Ⅰ」「Ⅲ」と違い、「提案」をして良い。

でも好き勝手な答え書いても点はくれないし、初学スト生が制限時間内に整理・提案するには80分では全く足りない。

さて、昨日B商店街の空き店舗対策をしたと思えば、今日はしょうゆB社のネット通販を立ち上げ。「事例Ⅱ」試験委員が想定する診断士とは、東奔西走、八面六臂に大車輪の活躍で、三度の飯よりマーケが好きでないと務まらない。

いやでもちょっと待て。こちとら2ヶ月半で勝負を挑むひよっこ診断士。作問者の期待を上回ろうなど不埒なコトを考えず、少なくともアイデア解答でマス目を埋めない様、与件の根拠を使って何か書く

それで合格点をくれる位、スケールがデカく気宇壮大。そう考えると「事例Ⅱ」を解くのは楽しくって仕方がないぞ。

わかりやすさがマスト、具体的ならベスト
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