【そうだ、「Ⅳ」を読もう】第2問対策~スッキリ1級CVP

2次「事例Ⅳ」は同じ論点が繰り返し問われる。だが出題側が本気を出すと誰も解けない。
「簿記」の試験ではないからです。具体的には、簿記の幅広い論点を網羅的に出題するのではなく、①赤字を避ける(←CVP分析) ②設備投資でもっと儲ける(←NPV)の2点を毎年出題します。
テストの点差をつけるとき、①計算難度を上げるのでなく ②計算条件の解釈をミスるような「文章ひっかけ」をするためです。つまり、③与えられた条件を計算する(←受身)のでなく ④その状況で必要な計算条件を自ら探す積極性が求められます。
CVP分析って何? からいま勉強中の方には物騒な話ですが、出題側の言い分はただ一つ。「今の診断士受験の指導法、学習法は全部間違ってるよ」です。
それなら話は簡単。
出題側が問題視している学習姿勢を観察し、その逆をやる。
そこで「計算ばっかしてんじゃねーよ」。来年の今頃叱られないよう、スッキリ1級を使い、本来無関係な所まで「読んで」おきます。
【そうだ、「Ⅳ」を読もう】第2問対策~スッキリ1級CVP
テキストを入手した方は、問題は解かずに、テキスト部分だけ「ふうん」と眺める。時間がない方は(S)を付けた項目の流し読みで十分です。
スッキリ1級のテキスト+エクセル解説はこちら。
A★★ 第1章 直接原価計算
簿記2級を学習済の方を除き、診断士受験者は「原価計算」などチンプンカンプンでOK。要は余程ザルな会社でない限り、年度決算とは別に月次の損益管理、予算管理位はやっている。それが「管理会計」です。
ガンバりました→儲かりましたでは、成り行き経営。この位の値段でいくら売れば、どれだけ儲かるか。それが「利益管理」です。
決算PL上の表示(売上原価+販管費)でなく、管理PL上の表示(変動費+固定費)にすると何ができるか。そう、ズバリ損益分岐点(SBEP=break even point)が求まります。
さらに、限界利益マイナス=採算割れの取引は中止に。この活動を積み重ねると、なんと赤字企業が黒字になるので、直接原価計算はとっても大事。
試験対策上は、例題レベルの「全部」「直接」原価計算PLを自力で作れるか。簿記未習の方は、エクセルを使ったカンニングが便利です。
簿記1級では「全部」「直接」を両方作りますが、診断士「Ⅳ」では掛け算と引き算で「直接原価計算PL」を作れば合格ライン。従い苦手な方はここから先は飛ばしてOKです。
簿記1級=決算PLを作る方は、「直接」→「全部原価計算PL」に作り替える「固定費調整」を理論と計算でじっくり学びます。診断士「Ⅳ」ではたまに理論が聞かれますが、ここの計算問題は出ないので飛ばしてOK。
診断士「Ⅳ」はここまで聞かれません。もし出題しても80分では解けません。ここはパス。
S★★★ 第2章 CVP分析
診断士「事例Ⅳ」では、固定費⇔変動費の分解は文章で与えられますが、簿記1級では実際に計算させる出題があります。当試験では高低点法以外は出ないし、高低点法ならいつもの方程式で解けるので、読み物程度に。
※問④⑤の最小二乗法は解答不要です。
簿記1級と診断士「Ⅳ」のCVP分析を比べると、簿記1級は計算を煩雑に、診断士「Ⅳ」は過去問の暗記では解けない初見パターンを問う傾向があります。
公式でなく方程式で解かせる出題は、パターン化しにくく、点差をつけやすい。そのためこの出題傾向は当面続きそう。
当サイトのエクセルもそうですが、「Ⅳ」のCVP過去問の多くは「SBEP=固定費÷限界利益率」の公式で一発で答えが出ます。
そこで時間はかかるが、当テキストの様に売上高=Sと置く方程式での解き方を練習しておくと安心。具体的には、目標営業利益「高」なら公式で解けますが、目標営業利益「率」になると方程式でしか解けません。
目標利益が「営業利益」でなく「経常利益」で指示された時の手順を眺めておく。「こんなのもアリ」と、いざ出題された時の安心感が違います。
販売価格、販売量、変動費、固定費をいろいろ変化させ、いくら儲かるかをシミュレーション。感度分析はCVPの必須論点ですが、診断士「Ⅳ」では、予想PLとして出題するパターンが多い様です。
組製品の考え方。知っておいても良いけど、あまり気にしなくて良い知識。
A★★ 第3章 最適セールス・ミックスの決定
最適セールス・ミックスは過去に出題例があり、「制約条件あたり限界利益額」の高い順に生産・販売します。
ただH26第3問は出題に凝り過ぎて誰も当たらない問題になってしまったので、ヘンな深追いは不要。
最適セールス・ミックスの制約条件が2つになると、簿記1級では「線形計画法(LP)」で解きます。1次「運営」で出題実績があり、「Ⅳ」でも出題可能ですが、一度も出ていません。
恐らく今年も出ないので、テキスト一読程度でOK。
B★ 第4章 予算編成
会社にはあるけど、試験に出ない。それが「予算管理」論点です。「財務」「Ⅳ」では「予想PL」まで出題実績があり、将来的には出題対象になるかも。
診断士「財務」の出題範囲に含まれ、実際ほとんど未出題の論点として「資金繰り」があります。
「資金繰り」とは、企業の予算編成の中の手順の一つで、販売利益予算→売掛/買掛予算→設備投資計画→借入計画(資金繰り)→利払い→経常利益、といった感じに簿記の論点山盛りで策定します。
例えばこの問⑪⑫は、診断士受験者が解けるレベルではありません。逆にこの問題を解ける方は、「事例Ⅳ」で問われる程度の資金繰りはラクラク正答し、点差の原因になります。
A★★ 第5章 事業部の業績測定
会社の中には大抵「赤字部門」「赤字製品」があるもの。そこでCVPで学んだ直接原価計算の知識を応用し、その存廃を考える。
簡単すぎて点差がつきませんが、H28第3問で出題実績があります。
診断士なら、ファイナンスでWACCをガッツリ学習済。ここはパスです。
セグメント損益の応用論点。さてウチの会社の事業部長の業績指標は、利益額、利益率、残余利益のさぁどれだ? そんなクイズ程度にどうぞ。
とはいえボーナスやクビがかかる事業部長本人達は大真面目。正確な計算手法を押さえておきます。
B★ 第6章 予算実績差異分析
売上や利益が予算より上振れ・下振れした。すると経理部門が腕まくりし、こんな管理資料を作ってくれます。
診断士試験ではここを深堀りするより、資金繰り(ファイナンス)の話が大事。チラ見程度でOKです。
経理部門の方たちが腕まくりする時の、分析手順のガイドライン。当試験ではここまで聞かないのでパスしてOK。
直接実際より直接標準の方がシンプルで、もし仮に試験に出るならこちら。出ないけど。理屈としては、以下に分解して説明すると、部長が納得。
売上高差異→数量差異+価格差異
変動売上原価/販売費差異→数量差異+価格差異
標準変動費差異→直接材料費・労務費・製造間接費別に
うん、こんな問題が「Ⅳ」で出るとは思えない。そう割り切って安心です。
タテヨコBOXの差異分析に慣れると、いろんな分析をしたくなる。試験上は、目先の変わった問題を出題したくなる。当試験では出ません。
セールス・ミックスで売上構成が変わると、差異分析の手法も変わるよね? はい、分析ニーズの多様化に試験出題を通じ標準セオリーを示すのが簿記1級の務めです。当たり前ですが、当試験では出ません。
今日のまとめ
簿記1級論点はこんなに沢山で、「Ⅳ」の出題範囲はそのごく一部。はいもう大丈夫。出題側が問題視している学習姿勢とは、
理論の流れをすっ飛ばし、CVP、NPVなど狭い領域の過去問の解き方をひたすら覚える勉強法。
出題側は簿記知識そのものは問わないけれど、難度を上げたい時は簿記がベースの捻りを入れてくる。それは診断士受験界に横行する「解き方を暗記する」勉強法・指導法では、実戦で使い物にならないからです。そう、
出題側はいっつもかってなことをゆう
うふふ。だから「Ⅳ」で出ない簿記論点は、計算問題を解かずに「読んでおく」と安心です。
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