J事例Ⅲ

【写経シリーズ(Ⅲ)】出題の趣旨、与件文、受験校解答

こんなC社があったら、とっくに倒産。

診断士の出番といえば、分析→課題把握→助言。ところがH28「事例Ⅲ」C社ときたら、普通の企業なら倒産済でおかしくない、おかしな所だらけの問題企業。

  • 社内の組織間にカベがあると思えば、
  • そもそも営業と生産の連携に問題があり、
  • まともな品質管理や原価計算が出来ているかすら怪しい。

「こんな企業がある訳ない!」「この事例はおかしい!」 そんな疑念を持つと負け。「事例Ⅲ」とは企業内部の生産プロセスの問題点を整理・分析・課題解決する診断手順。

だから、「事例Ⅱ」B社のターゲット候補が増えるのと同様、「事例Ⅲ」C社の問題点候補も加速度的に増えておかしくない。そこで「出題の趣旨」を使い、どの問題点から解決するかを探ります。

【出題の趣旨】事例Ⅲの要求能力

H29事例Ⅲ
第1問 (30点)

新規事業であるCNC木工加工機の生産販売を進めるために必要な生産管理上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。

第2問 (20点)

新規事業であるCNC木工加工機の生産について、現在の生産能力の向上によって対応するために必要な生産業務上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。

第3問 (20点)

新規事業であるCNC木工加工機の受注拡大に向けて、展示会での成功を参考とした潜在顧客を獲得するホームページの活用方法と、その潜在顧客を受注に結び付ける社内対応策について、提案する能力を問う問題である。

第4問 (30点)

経営資源の脆弱なC社が、高付加価値なCNC木工加工機事業を推進するための製品やサービスに関する方策について、提案する能力を問う問題である。

H28事例Ⅲ
 第1問(20点)

X農業法人時代の事業経過、およびC社の現在の事業内容を把握し、カット野菜業界におけるC社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。

 第2問(30点)

C社が収益改善を図るために必要な生産管理面での対応策を提案する能力を問う問題である。

 第3問(20点)

C社の生産現場の課題を把握し、クレームを削減する改善活動を最も効果的に実施する方法として、着目するクレーム内容とその解決策を提案する能力を問う問題である。

 第4問(30点)

C社の顧客動向など外部環境を把握し、今後野菜の加工事業を強化して収益拡大を図るために必要な戦略について、助言する能力を問う問題である。

H27事例Ⅲ
第1問(40点)
(設問1)鋳物工場として創業したC社の事業変遷、事業内容を把握し、自動車部品生産への新規参入の検討に際して考慮すべきC社の強みを分析する能力を問う問題である。(設問2)C社の事業内容を把握し、自動車部品生産への新規参入によって得られるC社のメリットを分析する能力を問う問題である。(設問3)短納期を要求される自動車部品生産への新規参入の検討を行っているC社の生産体制に関する課題を把握し、その改善策を提案する能力を問う問題である。
第2問(20点)

現在まで行ってきた設備投資によって生じているC社の生産工程に関する課題を把握し、解決する能力を問う問題である。

第3問(20点)

納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化を計画しているC社の課題を把握し、納期管理の方法を提案する能力を問う問題である。

第4問(20点)

C社の経営環境を把握し、国内生産を維持していくために必要な戦略と強化策について助言する能力を問う問題である。

H26事例Ⅲ
第1問(10点)

X社からの受注を拡大してきたC社の事業の変遷を把握し、C社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。

第2問(20点)

C社の切創工程の作業方法や設備メンテナンス方法の課題を把握し、問題視されている加工不良率を解決する能力を問う問題である。

第3問(40点)
(設問1)X社の国内調達先の集約と在庫管理業務および発送業務の移管が行われることによって得られるC社のメリットを分析する能力する能力を問う問題である。(設問2)X社からの在庫管理業務および発送業務の移管に対応するために必要となるC社の生産計画や資材調達計画の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。
第4問(30点)

X社1社への依存状態にあるC社の現状を把握し、今後C社がX社依存状態から脱却を図るために必要な戦略を提案する能力を問う問題である。

H25事例Ⅲ
第1問(30点)
(設問1)C社と競合する企業の現状を把握し、その市場に参入するために必要な競争優位性を分析する能力を問う問題である。(設問2)C社が首都圏への参入を実現するまえに必要な関東工場の役割と、その役割を実現するために必要な対応策を分析・提案する能力を問う問題である。
第2問(40点)
(設問1)C社の技術部内での課題を把握し、顧客問い合わせに対する迅速化と短納期化に対応するために、技術部内で共有化が必要な情報を分析する能力を問う問題である。(設問2)C社の技術部内での課題を把握し、顧客問い合わせに対する迅速化と短納期化を目的に業務効率化を図るための改善方法を分析・提案する能力を問う問題である。
第3問(30点)

C社の過去の新規事業開発の失敗要因を把握し、今後の新規事業開発の留意点を分分析・提案する能を問う問題である。

受験校答案を採点:H27事例Ⅲ

聞かれたことに答える(含むオウム返し)加点要素①加点要素②加点要素③その他+α

 

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第1問(設問1) 難易度:易

O社

鋳造工程から検査発送工程までの一貫生産体制を備え、中でも鋳造生産能力が高いこと。
②鋳造技術に精通した中堅エンジニアから構成された営業部は新市場の開拓ができること。

A社関西

1(1)

①積極的に生産能力を増強した鋳造工程から機械加工・塗装までの一貫生産体制を有する点。
②鋳造技術に精通した中堅エンジニアを選抜した営業部が新市場の開拓の経験を有する点。

A社東京

1(1)

①強みは、鋳物製品の鋳造工程から塗装工程までの一貫生産体制を確立している点である。
②強みは、営業部の人員が鋳造技術に精通した中堅エンジニアで構成されている点である。
一口メモ
・最近の事例は文字数からの配点推定が難しい。仮に(設問1)=6×2=12点とすると、確実に根拠を抜きたい。再現答案慣れした今の受験生なら、3社の解答を比べれば、自分の型はすぐ決まる。
第1問(設問2) 難易度:易

O社

メリットは、①売上増加が期待できること。主力マンホール蓋の受注量が減少する中、新分野の受注量は増加が見込めるため。②安定受注で年間生産量の平準化が図れること。主力マンホール蓋は季節変動が大きいため。

A社関西

メリットは、①産業機械部品の売上構成比が高まることで海外製品との競争激化による売上高低迷リスクが緩和できる点、②生産能力向上を目的とした改善活動が実施されることで製造部内の作業環境の整備が進む点である。

A社東京

メリットは、①売上構成比の少ない産業機械部品の売上が増加し、売上構成比の均等化が図れリスクが低減すること、②自動車部品は短納期対応が必要な製品であり、海外製品との競争が起こりにくいこと、である。

一口メモ
・一般に受験校解答は40~50字、合格者再現答案は少し短め30~40字で1センテンス。どちらがいい悪いでないが、解答根拠が【第4段落】鋳造技術の向上、【第7段落】受注変動の緩和 【第10段落】カイゼン、の3つあるため、100字編集力勝負で。受験校模範解答も案外ハズしてるから、やはり「合格者再現答案」の方が現実的な選択。

第1問(設問3) 難易度:中

O社

一般的に、自動車業界で要求される短納期に対応するためには、①生産方式を後工程引取方式に改善し、②レイアウトをフローショップ(多工程持ち)に改善する。そのために、③従業員を多能工へ育成する必要がある。

A社関西

改善策は、①散在する仕掛品置き場を整備することで安全にフォークリフトで製品の移動を行うこと、②多台持ちの機械加工工程の作業員の設備間移動をスムーズに行えるよう設備レイアウトの改善を行うこと、である。

A社東京

改善策は機械加工工程での加工時間を短縮することである。具体的には、①刃物、治具の交換を外段取り化することで、停止時間を短縮すること、②製品の着脱作業を標準化することで、空転時間を短縮すること、である。

一口メモ
・当問を仮に100字14点と仮定すると、やはり30字×3根拠で構成したい。受験校解答の根拠がバラける通り、当問はかつての「事例Ⅱ」を思わせる、根拠の選定+編集力勝負。「事例Ⅲ」で改善策と聞かれたら、「今起きている問題の逆」がお約束。解答批評の意図はないが、「一般的に」某社解答の如く、原因指摘をスルーしたナイスアイデア解決策を並べると、採点者の心証がすこぶる悪い事故答案。

第3問 難易度:中

O社

現状の納期管理は生産計画立案時のみであるため、受注から発送までのあらゆる時点で納期管理をする。そのために、POP導入を前提とした生産統制情報や受注処理情報、生産計画情報、在庫管理情報などを即時に収集・統合できるIT化された情報が必要となる。

A社関西

C社の納期管理は、①在庫状況を踏まえ、鋳造工程以降も生産計画を立案し加工順を決める、②顧客との仕様書の合意と同時に製造部が生産準備を開始する。活用すべき情報は、図面等仕様書、受注処理、前工程の生産計画と生産統制、見込生産の在庫管理、である。

A社東京

全工程の生産計画を立案し、工程ごとに計画に沿った生産と統制を行い細かく納期管理する。その際、営業部が持つ受注情報、設計部が持つ図面等仕様書、製造部が持つ生産計画・進度情報・余力情報、及び資材・仕掛品・完成品の在庫情報を活用していくべきである。
一口メモ
・あるべき納期管理は、現状問題点の裏返しで明快。情報項目の具体名は、受験校解答のブレが示す通り抜ける根拠ばかりではない。高得点や完答を狙わず、「1次」知識から連想して根拠を探し、見つからなければ適当に埋める程度が吉。

第4問 難易度:高

O社

海外製品との激しい競争に対抗するために、①鋳造技術のさらなる向上による製品の差別化、②鋳造生産能力のさらなる増強による価格競争力、③機械加工工程及び検査発送工程などの生産性のさらなる改善による短納期体制強化すべきである強。また、作業環境を改善し若手人材確保に取り組む必要もある。

A社関西

強化すべき点は、若手人材の確保と育成を行いベテラン従業員が保有する鋳造技術を伝承する点である。理由は、①顧客から軽量化や複雑形状化の要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められているため、②3K職場といわれる作業環境が影響して若手人材確保が難しく、高齢化が進んでいるため、である。

A社東京

C社は、鋳造技術力を向上する体制を強化すべきである。理由は、①一貫生産体制や鋳造技術に精通した営業部員を活他し、軽量化、複雑形状化等の既存顧客のニーズを捉えられるため、②高齢化が進む中で、作業環境を改善して若手人材を確保し、鋳造技術を承継できる体制を整える必要があるため、である。
一口メモ
・今後の「強化すべき点」、つまり解決課題の設定は高難度。ダメダメなC社の課題は①技術面 ②納期面 ③営業体制 ④人材育成面、と多様に切り分け可能。ここは自分で考える時間が足りず、いったんノウハウ依存で納期短縮。

写経の作法(例)

(1)道具を揃える
・問題文、問題本文
・・PDFでダウンロード可
・模範解答、解説 ・・手持ちの過去問題集で可
・Excel、Word

(2)手順
①問題文を写経
・・Excelを使うと、後で属性・配点などの分析が可能
②問題本文を写経 ・・Wordが好適
③模範解答から、問題本文の該当根拠にマーキング
※今回の参考として主に「速修2次過去問題集」(山口正浩他、早稲田出版)を使用
④そこから先の自問自答
※時間ないときは、問題本文はPDFコピペ、問題文のみ写経、などのショートカットOK。でもショートカットするほど効果が半減。

写経例:H27事例Ⅲ

設問文

第1問 (40字x2、100字、100字、40点)
C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。
(設問1) (現在、「強み」指摘、難易度:易)
C社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を2つあげ、それぞれ40字以内で述べよ。

★あからさまなS強みの根拠が、【第3段落】に2つ。ミスのないよう丁寧に編集。

(設問2) (現在、「機会」指摘、難易度:易)
自動車部品の受注獲得は、C社にとってどのようなメリットがあるのか100字以内で述べよ。

★100字ときたら30字×3要素で構成。【第4段落】鋳造技術の向上、【第7段落】受注変動の緩和 【第10段落】カイゼンで、ピタリ完答。

(設問3) (現在、「改善策」指摘、難易度:中)
自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100字以内で述べよ。

★問題点を3つ選び、その裏返しが改善策。しかしダメダメなC社は問題だらけ。問2~3を先に解き、残った問題点をここに使う。

第2問 (100字、20点、現在、「問題点と改善策」指摘、難易度:中)
C社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を100字以内で述べよ。

★100字=3文構成。満点を狙わず、問題点×2、改善策(のフリ)×1が安全回答。①鋳造工程のみの生産計画 ②加工工程ボトルネック+仕掛品増加、までは抜ける。解決策は後回し、使い残しの根拠でOK。

第3問 (120字、20点、将来、「情報システム項目」選定、難易度:中)
C社は、納期遅延の解消を目的に生産管理のIT化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120字以内で述べよ。

★120字=4文入る。①鋳造工程のみの生産計画(第2問とダブって) ②運搬されてきた仕掛品を見て ③段取り回数重視、あたりを裏返し。情報名は特定しにくいので、精度を追わず、それらしく放り込む。

第4問 (140字、20点 将来、「強化点」助言、難易度:高)
海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後もC社は国内生産を維持する考えである。そのためにC社が強化すべき点は何か、その理由とともに140字以内で述べよ。

★国内製造業の強み=短納期・高品質・開発営業・・あたりを想起し、根拠を探す。【第4段落】鋳造技術向上、【第9段落】開発営業 【第11段落】LT短縮あたりを並べ、最後に、【第13段落】機械加工工程の、停止・空転改善で締める。

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。

第1問(1)青色 第1問(2)水色第1問(3)緑色第2問黄色第3問桃色第4問紫色

[C社の概要]

【第1段落】 会社概要

C社は、建設資材を主体に農業機械部品や産業機械部品などの鋳物製品を生産、販売している。建設資材の大部分は下水道や、埋設された電気・通信ケーブル用のマンホールの蓋である。農業機械部品はトラクターの駆動関連部品、産業機械部品はブルドーザーやフォークリフト、工作機械の構造関連部品などである。取引先は、マンホール蓋については土木建設企業、農業機械部品や産業機械部品については各部品メーカーである。

【第2段落】組織構成

C社はマンホール蓋などの鋳物工場として1954年に創業した。会社組織は営業部、設計部、製造部、総務からなっている。現在の従業員数は50名、一般に3K職場といわれる作業環境が影響して若手人材確保が難しく、高齢化が進んでいる。年商は10億円である。

【第3段落】 設備+営業力の強み 1⃣

公共事業縮小や海外製品との競争激化などの影響を受け、マンホール蓋の受注量が減少し、売上高が低迷した時期があった。その対応としてC社では、中小鋳物工場が減少するなか、積極的に鋳造工程の生産能力の増強を進めるとともに、機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立することで、農業機械部品と産業機械部品の受注獲得に成功した。その際、鋳造技術に精通した中堅エンジニア3名を社内から選抜して営業部をつくり、新市場の開拓を行わせたことも大きな力となった。

【第4段落】 技術課題 1⃣4⃣

現在の売上構成比は、建設資材55%、農業機械部品30%、産業機械部品15%となっている。農業機械部品と産業機械部品の受注量は増加傾向にあるが、これらの部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。

【第5段落】 自動車部品の新規受注チャンス

さらに現在、自動車部品2次下請企業でもある産業機械部品の取引先から、C社としては新規受注となる自動車部品の生産依頼があり、その獲得に向けて検討を進めている。

[C社の生産概要]

【第6段落】 生産5工程

工程は図1に示すように鋳造工程、後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程の5工程である。

【第7段落】 見込+受注生産 1⃣

主要製品のマンホール蓋は、地方公共団体や通信会社などの事業主体ごとに仕様が異なるため品種が多く、さらにこれら事業主体の予算確定後、C社に発注が行われるため受注量の季節変動が大きい。このため、営業部で得ている顧客情報の予想を基に需要の多い規格品などについてはあらかじめ見込生産し、受注が確定すると在庫品から納品する。一方、農業機械部品や産業機械部品は取引先からの受注が確定した製品を生産している。

【第8段落】 加工順の調整不足による納期遅延 2⃣3⃣

生産計画は、鋳造工程の計画のみが立案される。その立案方法は、まず受注内容が確定した製品について納期を基準に計画し、さらに余力部分にマンホール蓋などの見込生産品を加えて作成する。鋳造工程以外の後処理工程、機械加工工程、塗装工程、検査発送工程は、前工程から運搬されてきた仕掛品の品種、数量を確認した上で、段取り回数が最小になるようそれぞれの工程担当者が加工順を決めている。1日4回(4ロット)の鋳造作業が行われているが、農業機械部品や産業機械部品の納期遅延が生じている。その対策の1つとしてC社では、受注処理、生産計画、生産統制、在庫管理などを統合したIT化の検討問を進めている。

【第9段落】 新規受注時 3⃣4⃣

新規受注の問い合わせがあった場合は、営業部が顧客と技術的な打ち合わせを行い顧客の要望を把握し、その内容を設計部に伝え図面等仕様書を作成する。その仕様書が顧客と合意されると、製造部に引き渡して生産準備し、生産計画に織り込んで、資材調達の後製造される。

[改善チームによる調査結果]

【第10段落】 生産能力向上へのカイゼン 1⃣

C社では現在、自動車部品の新規受注を目指して、製造部内に改善チームをつくり、生産能力向上を目的とした改善活動を実施している。

【第11段落】 仕掛品による問題 2⃣4⃣

それによると、製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に巨大なスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。またこの仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。

【第12段落】 機械加工工程=ボトルネック 2⃣

C社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。しかし、改善チームが行ったマンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図2に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。この結果は他製品の工程分析でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。

【第13段落】 機械加工工程の稼働率UPへ 4⃣

そこで改善チームは、機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図3に示す結果を得た。稼働率は48%と低く、非稼働として停止37%、空転15%となっている。停止は、刃物、治具の交換や加工前後の工程運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。また空転は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。

写経例:H26事例Ⅲ

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設問文

第1問(60字、10点、過去、「強み弱み」指摘、難易度:易)
C社の創業からの事業変遷を理解した上で、精密小型部品加工業界におけるC社の強みと弱みを60字以内で述べよ。

★60字→各30字で強みと弱み。【第1段落】→超精密・超小型に特化して一貫生産体制、【第3段落】→X社への売上・技術依存。「事例Ⅱ」バリの編集力でいけるが、10点なので時間かけない。

第2問(100字、20点、現在、「対応策」提示、難易度:易)
C社の切削工程で問題視されている不良品率の増加について、その改善を図るために必要な具体的対応策を100字以内で述べよ。

★100字→原因2つの根拠で稼ぎ、「必要な具体的施策」1つはそれらしく逃げる。【第7段落】→自動旋盤の精度に注目。【第5段落】→24時間稼働と併せ、「高稼働で更新計画もないまま老朽化、旋盤の精度低下」までは読める。まさか「設備を買い替える」発想がある訳もなく、「メンテナンスのマニュアル化、予防保全化」で締める。連続生産→計画的休止に触れても良いかも。

第3問(100字、160字、40点)
C社では、主要取引先X社精密部品事業部の国内部品調達および物流の合理化計画に対応するための対策が検討されている。この課題について、以下の設問に答えよ。

(設問1、現在、「メリット」指摘、難易度:中)
C社がX社の唯一の国内調達先となり、部品在庫管理および受注・発送業務の移管が行われると、C社にはどのようなメリットがあるのか、100字以内で述べよ。

★15点配点を予想し、3つのメリットを探す。【第11段落】から、①「品種別に分けて」→C社が受注できる品種の増加と、②「X社が行ってきた在庫管理、受発注業務の移管」→X社のノウハウ獲得と、C社の一貫生産体制をさらに磨く、③業務委託費収入の増、で埋まる。

(設問2、将来、「改革」提示、難易度:中)
X社からの業務の移管に対応するためには、C社の生産計画や資材調達計画を今後どのように改革していくことが必要となるのか、160字以内で述べよ。

★160字→5センテンス、25点の稼ぎ所。「Ⅲ」での改革とは「問題点の裏返し」だから、問題点が5つないかまず探す。

  1. 【第6段落】自社都合の生産計画、FAX受注、前工程終了後の加工計画、過剰な製品在庫
  2. 【第8段落】L/T2週間の材料在庫が2か月分 →定量、補充点発注方式への変更
  3. 【第7・8段落】高い原材料を旋盤の精度不良でムダ使い
  4. 【第10段落】X社に準じた品種ごとの在庫管理
  5. 【第11・12段落】業務移管を契機に、在庫管理・受発注業務のノウハウを吸収

切り分け力・編集力が必要だが、根拠と切り口をしっかり作れば160字長文マス目も怖くない。

第4問 (160字、30点、将来、「販路開拓方針」提案、難易度:高)
C社社長は、主要取引先X社で進められている国内部品調達先の集約化の動きに対応して、X社との取引を高める一方で、X社以外の販路開拓を行う方針である。この方針を実現するためには、中小企業診断士としてどのような提案を行うか、C社の経営資源に注目して160字以内で述べよ。

★160字→5センテンス。使い残しの根拠が少なく、第1~3問とダブらせ、とにかく使えそうな根拠を探す。

  1. 【第2段落】→一貫生産の強みを【第11段落】X社集約の品種増、業務幅増で強化
  2. 【第6+8+12段落】→原材料購入、生産計画の精度UPで短納期対応
  3. 【第7段落】→切削工程メンテナンス強化
  4. 【第12段落】→生産システム
  5. 【第3段落】→役員2名の営業体制

1~5の経営資源(強み)で字数を稼ぎ、「役員2名の営業体制」を
1)トップセールス効果
2)(事例Ⅰっぽく)トップ直々の新任営業者育成ぐらいを書くと、事例の枠を超えて「診断士らしい提案」に見えそう。

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問水色第2問緑色第3問(1)黄色第3問(2)桃色第4問紫色

<C社の概要>

【第1段落】 業容~超精密小型部品の製造、販売

C社は、世界市場で著名かつ高額な精密機器の構成部品となる超精密小型部品を生産、販売している。C社で生産される超精密小型部品の約90%は、主要取引先である大手精密機器メーカーX社の精密部品事業部を経由して国内外の精密機器メーカーに納品されて組み込まれている。

【第2段落】 1⃣ 超精密への特化と一貫生産体制

C社は、自動旋盤による精密部品加工業として1993年に先代の経営者が創業した。そして経営を継承した現社長が超精密加工と超小型加工技術に特化してX社との取引に成功し、新たに熱処理設備およびメッキ設備を加えて精密部品の一貫生産体制をつくることでX社からの受注を拡大してきた。

【第3段落】 組織構成

現在の従業員数は48名、近年の年商は7億円前後で推移している。組織は、製造部、総務部で講師されている。製造部は、顧客からの受注、生産計画、材料調達、精密部品生産、検査、出荷など受注・生産・出荷に関するすべての業務を担当し、管理スタッフ、設備オペレーター、製品検査担当で構成されている。新規受注などの営業業務については社長と専務の役員2名で対応している。

【第4段落】 1⃣ X社への経営依存

主要取引先であるX社には、売上面ばかりでなく製品設計や工程設計などの生産技術や管理技術についても指導を受けるなど、経営のかなりの面で依存している。

<C社の生産概要>

【第5段落】 2⃣ 工程と稼働時間

C社の生産工程は、切削工程、熱処理工程、メッキ工程、検査工程の4工程から構成される。自動旋盤による切削工程では、材料供給を行う設備オペレーターの監視下で24時間稼働による連続生産が行われ、その他の工程では、前日までに切削工程で加工された精密部品を昼間8時間稼働でロット処理している。

【第6段落】 3⃣ さぁここからいつものダメダメな生産計画

生産計画は、X社から受注する精密部品100品種の受注数量を基に、設備稼働状況や材料保有状況などC社社内の都合に合わせて1ヵ月ごとに前月末に作成される。X社からの確定受注数量は、X社顧客からの翌月1ヵ月の受注予想数量であり、C社へは毎月前月の中旬にFAXで送られてくる。C社では、X社からの確定受注数量を基に、精密部品の各品種1ヵ月確定受注分を切削工程の各自動旋盤に割り付け負荷調整し、生産計画がつくられている。その他の熱処理工程、メッキ工程、検査工程については、切削工程の加工終了後に各工程担当者の判断で加工順を決めている。X社への納品は月内あればよいことになっているため、生産完了後順次全品納入問している。

【第7段落】2⃣ さらにダメダメ、切削工程の加工不良

生産計画数は、最近増加傾向にある切削工程での加工不良率を加味して決めている。切削工程の加工精度は、自動旋盤の精度に左右される。現在の経営計画には自動旋盤の更新計画はないため、設備オペレーターが故障対応に主眼を置いて、それぞれの経験で行っている自動旋盤のメンテナンスについての対策が必要となっている。

【第8段落】 3⃣ 原材料仕入れも歩留まりもダメダメ

C社で生産される精密部品に使われている原材料は、特殊仕様品であり高額な材料が指定されている。納期は材料商社に発注後2週間であるが、月末の在庫数、翌月の生産計画数と翌々月前半の生産予測数を勘案してほぼ2か月分の必要量が確保できるよう毎月月末に定期発注問していて、在庫量の増加がみられる。C社のコストに占める原材料費の割合は高く、上述した切削工程での加工不良率の増加による歩留まりの低下傾向とともに問題視されている。

<C社の主要取引先X社の動向> 3⃣

【第9段落】 3⃣ X社は組立中心

主要取引先X社は、精密機器メーカーに精密部品を供給する精密部品加工専門企業として発展してきた。現在は精密部品事業と精密機器事業の2つの事業部を有し、創業時の得意分野であった精密部品の生産は外部に依存し、X社の工場では精密機器の組立、検査、出荷業務が中心となっている。

【第10段落】 3⃣ X社の生産計画と在庫

X社の精密製品事業部では、国内外顧客約50社から受注される約200品種の精密部品を取り扱っている。X社の主要な顧客からは、大日程生産計画に基づいた3ヵ月及び中日程生産計画に基づいた1ヵ月の発注情報の内示が毎月あり、確定発注は1週間ごとにある。X社では、納品リードタイム1週間に対応するために品種ごとに在庫を管理している。

【第11段落】 3⃣ 国内分X社業務ののC社への移管

X社の精密部品事業部は、売上高の約半数を海外に依存しており、近年生産拠点を海外にシフトし、部品も現地調達化を進めている。そのため、精密部品事業部の国内部品調達および物流の合理化計画精密部品事業部では国内発注量の減少が続いている。そこでX社では、精密部品事業部の国内部品調達および物流の合理化計画を進めている。これまで国内調達部品は品種別に分けてC社を含めた国内協力企業数社から調達していたが、この計画では超精密加工と超小型加工技術の評価が高く、必要な生産能力を有するC社1社に集約し、同時にX社の業務コストの削減を狙って、これまでX社が行ってきた精密部品の在庫管理および受注・発送業務もC社に業務移管することが検討されている。具体的には、X社が入手する顧客の3ヵ月、1ヵ月発注情報および1週間ごとの確定発注情報をC社とオンライン化し、C社から直接顧客に納品させるものである。また、この業務の移管に伴ってC社に支払う業務委託費についても検討されている。

【第12段落】 3⃣顧客直納による短納期対応

この計画が実施されると、受注情報はX社の顧客からの受注情報となり、C社の納品リードタイムは1.5ヵ月から1週間に短縮問され、各品種の1回の受注ロットはX社の各顧客からの1週間分の確定受注数量となり大幅に縮小される。このため、生産システムの大幅な見直しが急務になる。

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今日のまとめ

「事例Ⅲ」は分析・提案に加え、診断士自ら解決する姿勢まで要求。

「事例Ⅲ」C社長、自分はダメダメだけど、ひよっこ診断士にもすぐダメ出し。

  • 工場中にぶちまけられた問題点を整理できないとダメ。
  • の問題点の原因を分析できないとダメ。
  • 対応策をすぐ浮かべ、自ら乗り込み解決しないとダメ。

でもね、ヒトが相手の「事例Ⅰ」「Ⅱ」と違い、モノが相手の「Ⅲ」、数字を使う「Ⅳ」はドライに改善結果を出しやすい。受験技術が発展し、競争が高度化したイマの試験では、「Ⅲ」対策を先送りや苦手にしない。そこが欠かせない気がします。

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