良問:工場新設を機に作業標準化と生産性向上を狙う熱処理業者【コピペ時代の得点差(Ⅲ)】

与件のコピペで素直に因果
(今年の「Ⅲ」は教育的良問)

今年の「Ⅲ」は難しかった。再現答案も作りにくい?
試験直後はそんな声も漏れ聞こえたけれど。それは「Ⅲ」の特徴である、①与件にない表現を知識で補い ②因果でつないで ③長文マス目を埋める必要があるため。
今年は前年までの嫌がらせやひっかけがなく、かつ見慣れた「自動車部品の孫請け」ギョーカイ
当日再現答案を見る限り、①天から降ってきた知識で勝手に補わず、②なるべく与件をコピペすると、③意外とすんなり点が入る答案が多そうです。

でもそれは、80分で現実的に書けるコピペ答案が前提だな。スクール解説会では80分では書けない超絶理論が飛び出すから、そこと見比べるのも面白いぜっ。

【コピペ時代の得点差(Ⅲ)】良問:工場新設を機に作業標準化と生産性向上を狙う熱処理業者

1⃣設問解釈~全社+生産管理レイヤーまで。「生産現場」がなく今年は解きやすかった。

第4問は「最後の応接室」「ブーメラン問題」と言い、第3問までを無事解き終えて現場から応接室に戻ってC社長とご対面。ミライ戦略を熱く語る、サービス問題です。

2⃣当サイトのコピペ答案例

では論より証拠でコピペ答案例を。今回はちょっとズルして、自分で答案を作った後に再現答案の使えそうな言い回しをイタダキした、改良版です。

第1問 【SWコピペ】
強みは、①熱処理業は設備や特殊技能の必要上外注されやすいこと、②設計や機械加工部門を持ち依頼を受けやすいこと、③ベテラン作業者による品質の高さである。(75字)
第2問
効果は、機械加工部門生産量が約2倍になる他、システム構築以外にもX社の支援を受けて各種の改善も期待できること。リスクは、加工能力不足による品質不良や、量産加工技術への移行が滞ること。(97字)
第3問(設問1) 【レイアウト、工数計画】
新工場では、量産加工対応として作業、レイアウト、工数を見直し、段取りが長い汎用旋盤を減らすなど、最適設備を選ぶ。次にレイアウトやIE工程分析を通じ工作機械の配置変更やセル生産を検討し、作業方法教育により多能工を育成して一人当たり生産性を高める。(120字)
第3問(設問2) 【日程+調達計画】
生産管理上は日程と調達計画の検討が必要になり、X社向け製品については機械加工部門も受注ロット生産から後工程引取に改めて工程間の仕掛在庫を無くす他、3ヵ月前内示、月次見直し、3日前確定の管理方式に揃える。また通信回線による交換データを活用し、材料商社に協力を求めて材料在庫を減らす。(139字)
第4問 【応接室ポエム】
C社の戦略は、X社向け自動車部品以外の量産機械加工の受注を強化し、新工場の稼働を高める。そのために現在各部の関係者が参加する検討チームを発展的に改組し、X社以外の販路開拓、後工程引取方式の全社への拡大、ベテラン技能の承継などを、全社横断的に進める。(120字)

「Ⅲ」を解くときは、与件コピペで埋まらないマス目をどの知識で補うか。第3問(1)と第4問は、初々しさを狙って「事例Ⅰ」っぽく書きました。

3⃣設問ごとのマーカー塗分け

第1問
第2問
第3問(設問1)
第4問(設問2)
第5問

【企業概要】


【第1段落】熱処理+機械加工の2事業がメインのC社
C社は、輸送用機械、産業機械、建設機械などに用いられる金属部品の製造業を顧客に、金属熱処理および機械加工を営む。資本金6千万円、従業員数40名、年商約5億円の中小企業である。組織は、熱処理部、機械加工部、設計部、総務部で構成されている。
【第2段落】特殊技術と設備を要する熱処理業 1⃣
金属熱処理とは、金属材料に加熱と冷却をして、強さ、固さ、耐摩耗性、耐食性などの性質を向上させる加工技術である。多くの金属製品や部品加工の最終工程として、製品品質を保証する重要な基盤技術である。金属材料を加熱する熱処理設備など装置産業の色彩が強く、設備投資負担が大きく、また素材や形状による温度管理などの特殊な技術の蓄積が必要である。このため、一般に金属加工業では、熱処理は内製せず熱処理業に外注する傾向が強い。C社は創業当初から、熱処理専業企業として産業機械や建設機械などの部品、ネジや歯車など他社の金属製品を受け入れて熱処理を行ってきた。
【第3段落】熱処理の前工程としての、設計+機械加工部門 1⃣
その後、熱処理加工だけでなく、その前工程である部品の機械加工も含めた依頼があり、設計部門と機械加工部門をもった。設計部門は、発注先から指示される製品仕様をC社社内の機械加工用に図面化するもので、現在2名で担当している。機械加工は、多品種少量の受注生産で、徐々に受注量が増加し、売上高の増加に貢献している。
【第4段落】自動車部品X社との取引が機械加工に広がる 2⃣
約10年前、所属する工業会が開催した商談会で、金属熱処理業を探していた自動車部品メーカーX社との出会いがあり、自動車部品の熱処理を始めた。その後X社の増産計画により、自動車部品専用の熱処理工程を増設し、それによってC社売上高に占めるX社の割合は約20%までになっている。さらに現在、X社の内外作区分の見直しによって、熱処理加工に加え、前加工である機械加工工程をC社に移管する計画が持ち上がっている。

【生産の概要】

【第5段落】バッチの熱処理工場と、多品種少量機能別レイアウトの機械加工工場 3⃣
C社の工場は、熱処理工場と機械加工工場がそれぞれ独立した建屋になっている。熱処理工場は、熱処理方法が異なる熱処理炉を数種類保有し、バッチ処理されている。機械加工工場では、多品種少量の受注ロット生産に対応するため、加工技能が必要なものの、切削工具の交換が容易で段取り時間が短い汎用の旋盤、フライス盤、研削盤がそれぞれ複数台機能別にレイアウトされている。
【第6段落】中小製造業あるある:両工場ともにベテランの技能に依存 3⃣
熱処理は、加熱条件や冷却条件等の設定指示があるものの、金属材料の形状や材質によって加熱・冷却温度や速度などの微調整が必要となる。そのため金属熱処理技能検定試験に合格し技能士資格を持つベテラン作業者を中心に作業が行われ品質が保持されている。また、機械加工も汎用機械加工機の扱いに慣れた作業者の個人技能によって加工品質が保たれている。
【第7段落】
生産プロセスは、受注内容によって以下のようになっている。
・機械加工を伴う受注:材料調達→機械加工→熱処理加工→出荷検査
・熱処理加工のみの受注:部品受入→熱処理加工→出荷検査
【第8段落】かんばんを意識する前の日程+調達計画 3⃣(2)
生産計画は、機械加工部と熱処理部それぞれで立案されるが、機械加工を伴う受注については熱処理加工との工程順や日程などを考慮して調整される。両部門とも受注生産であることから、納期を優先して月ごとに日程計画を作成し、それに基づいて日々の作業が差立てされる。納期の短い注文については、顧客から注文が入った時点で日程計画を調整、修正し、追加される。機械加工受注品に使用される材料の調達は、日程計画が確定する都度修正し、加工日の1週間前までに納品されるように材料商社と契約しており、材料在庫は受注分のみである。

【自動車部品機械加工の受託生産計画】

【第9段落】X社からの受託生産が機械加工に拡大 2⃣
C社では、自動車部品メーカーX社から生産の移管を求められている自動車部品機械加工の受託生産について検討中である。
【第10段落】生産方式/レイアウトの一から見直す新工場は5つの工程 3⃣(1)
その内容は、自動車部品専用の熱処理設備で加工しているX社の全ての部品の機械加工であり、C社では初めての本格的量産機械加工になる。受託する金属部品は、寸法や形状が異なる10種類の部品で、加工工程は部品によって異なるがそれぞれ5工程ほどの機械加工となり、その加工には、旋盤、フライス盤、研削盤、またはマシニングセンタなどの工作機械が必要になる。この受託生産に応える場合、機械加工部門の生産量は約2倍になると予想され、現状と比較して大きな加工能力を必要とする
【第11段落】ホワイトカラーのオトウサンのためのかんばん初心者講座 3⃣(2)
また、この機械加工の受託を機会に、X社で運用されている後工程引取方式を両者間の管理方式として運用しようとする提案がX社からある。具体的運用方法は、X社からは3ヵ月前に部品ごとの納品予定内示があり、1ヵ月ごとに見直しが行われ、納品3日前にX社からC社に届く外注かんばんによって納品が確定する。これら納品予定内示および外注かんばんは、通信回線を使用して両者間でデータを交換する予定である。
【第12段落】後工程引取方式の構築と運用のための生産管理見直し3⃣(2)
外注かんばんの電子データ化などのシステム構築は、X社の全面支援によって行われる予定となっているが、確定受注情報となる外注かんばんの社内運用を進めるためには、C社内で生産管理の見直しが必要になる。この後工程引取方式は、X社自動車部品の機械加工工程および自動車部品専用の熱処理工程に限定した運用範囲とし、その他の加工品については従来同様の生産計画立案と差立方法で運用する計画である。
【第13段落】新工場計画の社長方針=マスト 3⃣(1)(2)
生産設備面では、現在の機械加工部門の工程能力を考慮すると加工設備の増強が必要であり、敷地内の空きスペースに設備を増強するために新工場の検討を行っている。C社社長は、この新工場計画について前向きに検討を進める考えであり、次のような方針を社内に表明している。
1.X社の受託生産部品だけの生産をする専用機化・専用ライン化にするのではなく、将来的にはX社向け自動車部品以外の量産の機械加工ができる新工場にする。
2. これまでの作業者のスキルに頼った加工品質の維持ではなく、
作業標準化を進める。
3.
一人当たり生産性を極限まで高めるよう作業設計、工程レイアウト設計などの工程計画を進め、最適な新規設備の選定を行う。
4. 近年の人材採用難に対応して、新工場要員の採用は最小限にとどめ、
作業方法の教育を実施し、早期の工場稼働を目指す。

「社長の思い」がこれだけ具体的に書かれることは珍しい。
①260点まとめ派→レイヤーから設問根拠の紐付けに
②240点ふぞ派→とにかくコピペでマス目に詰め込めっ
すると、当日の手応え以上にスコアが伸びそうです。

【第14段落】部門横断検討チームによる、C社のこれから 4⃣
現在C社社内では、各部の関係者が参加する検討チームを組織し、上記のC社社長方針に従って検討を進めている。

今日のまとめ

うは、昨日はイワサキクニヒコに馘宣言と思えば、今日は「Ⅲ」作問者をヨイショしまくりっ?

そう、試験当日集めた再現答案を眺めると。みな「難しかった~」と仰る割には、設問指示に従って与件の根拠を使い、「聞かれたことに答えている」答案が目立ちました。

3年連続の「Ⅲ」難化を受け、受験側が真面目に対策してきたってコト?
そう。第3問は「新工場の在り方」だから、クソベテ流の「今起きた問題点の裏返し」な常套テクニックは通用しない。
そして(設問1)→【レイアウト+工程計画】、(設問2)→【日程+調達計画】に割り付ければ、120~140字の長いマス目にコピペで、なんとかそれっぽい合格答案に。
終末(親近)効果=「事例Ⅲ」対策の標準化と学習生産性UP
超エリートなホワイトカラーが畑違いの生産管理を学ぶ「Ⅲ」では、全問完答狙いや業界知識でドヤ顔するより、設問ごとに素直に答える初々しさでスコアが伸びます。
画像:オトウサンの大好きな矢作萌夏(ミラモンMC)

こりゃアカンと思った答案に70点前後のハイスコアがつき、無事診断士登録を済ませると、苦手だった生産管理に親近感を持つ方が増えるはず。
真面目に考えると奥が深いから、これからの「Ⅲ」をどう学ぶと良いか、今後の学習生産性UPにまで配慮した、教育効果の高い歴史的な良問と言えそうです。

素直に答えるとスコアが伸び、余計なコトを書くからスコアが下がる。この都市伝説を実証する、歴史的瞬間がやってきた?

わかりやすさがマスト、具体的ならベスト
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