人類では解けないとされたR5第3問NPVを、なんとTACが見開き2ページで解説(P.122)。そしてエクセルを使って型を身に付け、電卓で実行すればスラスラ解けた。「事例Ⅳ」の全く新たな1ページが刻まれました。

J事例Ⅲ

【H30事例Ⅲ】ふぞ採点基準の「限界」

ふぞ採点が使えることは分かった。
同時に限界も見えてきた。

でもなぜ、ふぞは一発の3年遅れでその限界に気づいたの?

自分たちこそ正!とネットやセミナーで絶叫。 そのエコーチェンバーは出題側に嫌われることに、3年遅れで気づいたな。

ふぞ12採点基準に慣れると、H30「事例 Ⅰ」「Ⅱ」の様なオーソドックスな事例はお手のもの。 しかし同時にわかったふぞキーワード採点の限界とは、

具体性は評価できるが、わかりやすさ(キレイな日本語)は判定できない

そして「Ⅲ」の様に現場対応力を求められると一同慌てふためき、1年の努力を棒に振って8割ドボンにまっしぐら。では本当に限界か?詳しく見ていきます。

ふぞ採点基準の「限界」【H30事例Ⅲ】

1⃣ふぞ採点基準の「限界」

前回の「Ⅰ」に続き、今回の「H30Ⅲ」を採点した結果がこう。


KEC解答速報 (68点)
→当日公開と考えると、十分すぎる模範解答。
きゃっしいの事例解答 (73点)
→支持者も多い、前年280点ホルダーによる解答例。
③HAKS氏の上級者答案 (65点)
→「1次」知識はこう使え。診断士の役目は課題の発見・解決。
④当サイトのコピペ解答 (73点)
→「Ⅲ」はこんなものだろ。高を括った分アラが目立つ斬られ役。

くだらない記事ばかり書くお前のクソ答案が73点?

当サイトの解答例は「再現答案」でなく、「どこまで与件をコピペできるか」の検証用に、ワード打ちで伸縮自在に編集したものです。すると題意を多少外しても、キーワード採点だとスコアが伸びてしまう。

このFAR(False Acceptance Rate 他人受入率=間違ったものを正とする第2種の誤り)さえ知れば、今年の試験はいよいよイケそう。
画像:SE娘の剣

2⃣ふぞ採点はオーソドックスなH30「Ⅰ」「Ⅱ」では使える。でも「Ⅲ」に通用するかは慎重に。

では「Ⅲ」の採点です。

第1問 ABランク
顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C 社の業績は維持され てきた。その理由を 80 字以内で述べよ。 (20点)
採点結果&短評

【出題の趣旨】
C 社のこれまでの事業や立地環境の推移を把握し、顧客生産工場の海外移転などの経営環境にあっても業績が維持されてきた理由を説明する能力を問う問題である。

〇KEC ⓰点〇きゃっしい ⓰点〇HAKS ⓮点△当サイト⓰点
金型製作の一貫体制を作り技術力を強化する事で、❼理由は①金型の設計・製作から成形加工までの体制を構築し❸理由は①一貫生産体制を構築技能士取得やOJT加工技術強化を図り理由は、①金型設計・製作部門を新設し、❸
顧客企業の歩留まり向上等によるコスト低減ノウハウを蓄積できた事や工業団地組合共同受注等により❾②資格取得者養成、OJT技術力を強化コスト低減ノウハウを蓄積し❾工業団地組合と連携した製品で顧客のコスト削減に対応した高付加価値な製品で❺技能士などの養成やOJTによる加工技術力強化コスト低減を実現した他、❾
受注量減少を補填した。工業団地組合受注、開発等を助け合ったため。❹受注量減少に対応した為。工業団地内の企業と共同開発などで助け合ったこと。❹

H29で消えた「Ⅲ」第1問のSWOT問題の復活です。与件の強み根拠にマークして、素早く読みやすく80字にまとめる。「事例Ⅱ」で鍛えた編集力をまるっと転用し、確実に稼ぎます。

第2問 作業方法(IE) Eランク
C 社の成形加工課の成形加工にかかわる作業内容(図 2 )を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を 120 字以内で述べよ。
採点結果&短評

【出題の趣旨】
C 社成形加工作業者の一日の作業内容を分析し、作業方法に関する問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。

〇KEC ⓮点〇きゃっしい ⓭点〇HAKS ⓫点△当サイト ⓫点
問題点は、作業者の段取り作業成型機の手待ち時間が長く生産性が低い事である。❻問題点は①人・機械双方に待ちが多く問題点は段取作業の手順が悪く、作業者と成型機の待ち時間が多く発生している事。❻問題点は、①成型機の段取り時間の長さ2台持ちでの待ち時間が生じ、❻
段取り時間が長い点。❸②ジャストインタイムな生産に移行しにくいこと。
改善策は①時間を多く割いている作業中の移動作業を改善の上待ち時間の間に行い外段取り化する❺対応策は①成型機2の段取り作業を先に行い、製品Dへの段取り作業を昼休み前に行うことで、昼休み中も機械を稼働し、待ち時間を短縮し❹ 改善策は作業者の待ち時間に次の製品の金型を移動させ、成型機に取り付ける外段取りを実施し、 ❸対応策は、③加工時間の短い成型機2の段取りを先にして作業者の待ちを減らし、❹
②製品の加工順番を合理的に変更昼休み中も機械を稼働させる事で稼働率を上げる。❸金型の移動外段取り化することで段取り時間を短縮すること。❸昼休みの待ち時間等で自動で成型作業を行う事で、成型機の稼働率を高める事である。 ❷昼休み前に2回目の段取りを終えて成型機の待ちも減らす。❶

ここに挙げた解答者なら、①稼働順の変更による待ち短縮 ②金型移動作業の外段取り化をズバリ当てますが、本試験会場では与件文の国語読みトラップに被害者が続出しました。複雑なマン・マシーン図の読み取りも含め、「解答順を後回しにすることが題意だった」と気づけば、一歩成長です。

第3問 (生産計画) Cランク
C 社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図 1 )を分析して、C 社の生産計画 上の問題点とその改善策を 120 字以内で述べよ。 (20点)
採点結果&短評

【出題の趣旨】
C 社の生産計画策定方法と製品在庫量の推移を分析し、生産計画上の問題点を把握し、その問題を解決する能力を問う問題である。

〇KEC ❿点△きゃっしい ⓭点〇HAKS ⓬点〇当サイト ⓮点
問題点は、①ロットサイズが段取り時間と生産効率を基準に決定される事で大きくなり、製品在庫が過大な事である。❻問題点は生産ロットサイズが受注量より大きく計画され、製品在庫が過大な点。❹問題点はロットサイズが過大週間の出荷数量に対して過大な在庫を抱える事。❺問題点は、①週1回の生産計画と大きな生産ロットにより製品在庫が過大な他、❺
②短納期や小ロットでの顧客対応が遅れること。
改善策はロットサイズを受注量に合わせて適正化し、❸対応策は①段取り作業の効率化で段取り時間を短縮した上で②生産ロットサイズを小さくし❸+2⃣改善策はA製品は出荷量に合わせた最適ロットサイズにし、❸改善策は、③段取り改善を前提ロットを小さく、❸+2⃣
変動がある製品については安全在庫を考慮した生産計画を変動が少ない製品より先に計画する。❶生産計画を見直し、週1回の生産を改め1週間に複数回生産し在庫量を適正化すること。❹生産サイクルを一定化する事で他製品の生産計画を組みやすくし、 生産計画の見直しを実施する事で在庫量を適正化していく。❹④X社以外分の生産計画を日次化し在庫水準を下げて需要変動への対応力も高める。❹

4答案とも問題点=「在庫が過大」でピタリ揃いますが、過剰な在庫がなぜダメかを「1次」でしっかり学んだかどうかで、後半の改善策の具体性で点差が開く良問です。

第2問の段取り短縮→小ロット化→製品A以外の計画の精緻化でつなげれば、満点20点近くを狙えます。

第4問 (生産統制) Cランク
C 社が検討している生産管理のコンピュータ化を進めるために、事前に整備してお くべき内容を 120 字以内で述べよ。 (20点)
採点結果&短評

【出題の趣旨】
C 社の生産職場の状況を把握し、生産管理のコンピュータ化を進めるために必要な事前整備内容について、助言する能力を問う問題である。

△KEC ⓯点△きゃっしい ⓲点〇HAKS ⓱点△当サイト⓱点
準備内容は、①全ての金型について分類整理し社内の統一した識別コードを付与する❻内容は①データベース化のため、顧客からの支給品を含む金型と使用材料に社内で統一した識別コードを整備し❽整備する内容は①金型や材料に統一した識別コードを付け、使用する製品や成型機、標準作業時間との紐づけをし❻内容は、①作業者が効率よく金型、材料を使用できるデータベースである。❷
金型置き場及び材料倉庫の置き場所についてはレイアウトを改善した上で位置を明確に定め 5Sを徹底し作業の無駄を無くす❼段取り作業時間を短縮し生産現場で効率的に運用するため、❷定位置管理や保管地図作成をし❺②顧客からの支給品を含む金型の統一識別コードを作り、❻
コンピュータ管理者の選任と作業者の訓練である。❷金型や使用材料の置き場を決めた上で仕入れ先にも使用材料の納品位置を守らせること。❽5Sの徹底を図らせた上で❷③インサート成型で使う金属加工品を含む使用材料をデータ化し❷
④これら情報やこれまでの受注情報、在庫情報等を統合してデータベース化する事である。❹④段取り時間中に探す時間を省くよう置き場情報も整備する。❼

第4問はふぞ基準では与件キーワードのぶっこぬきで点が入りますが、実際はPDM(「運営」H29第2問出題済)の知識を聞いているので、その方向で具体的に並べないと大幅減点になるはず。具体的には、「生産統制レイヤーだ!」→シゲヨ(進捗・現品・余力管理っ)と一般論で絶叫しても配点はなく、マス目の無駄遣いに。

PDMとは、商品の企画、設計、生産工程などの情報を一元管理するシステム・仕組みのことです。製造業や製造小売業で主に活用されています。PDMを活用することにより、商品品質を向上したり、サプライチェーンの効率化や各工程の期間(リードタイム)を短縮化したりすることができます。

出典: IT Koara Navi

第5問 ABランク
わが国中小製造業の経営が厳しさを増す中で、C 社が立地環境や経営資源を生かし て付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として 120 字以内で 助言せよ。 (20点)
採点結果&短評

【出題の趣旨】
C 社の経営環境と事業内容の現状を把握し、立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、助言する能力を問う問題である。

〇KEC ⓭点〇きゃっしい ⓭点〇HAKS ⓫点〇当サイト ⓯点
[ダナドコ][コピペ先行][ハイブリッド][結論先出し]
海外から戻りつつある国内家電製品企業等を対象に、❷戦略は①工業団地組合との連携を強化し❷戦略は工業団地組合の共同受注体制を強化し、組合企業の他の取引先からの高単価な受注数を増やす事。❹戦略は、インサート成型の受注拡大とする。❷
同じ工業団地に立地する金属プレス加工等の電気・電子部品に関連する中小企業と連携し、❷②習得した高度なインサート成型技術により顧客企業の工程数の短縮や納期の短縮コスト削減を図り、付加価値を向上させ❾具体的には顧客企業の低コスト要望に対し、自社の設計能力や組合企業と連携したインサート技術等でVE等の高付加価値な提案を実施する事で❼工場団地内の助け合いに加え金属加工部品を調達し、 ②国内に戻った家電製品の生産需要を捉える。❹
インサート成型技術を活かして顧客企業工程数や納期の短縮コスト削減を提案する❻③以前の国内生産品が戻り始めた機会を活かし❷③加工技術や低コスト短納期小ロット対応を加え、 ④顧客企業への工程短縮やコスト削減の ❻
差別化戦略を採るように助言する。❸顧客企業やそれ以外の企業からの受注の拡大を図る。確実に受注する事。付加価値提案を助言する。❸

第5問(新規や付加価値事業を提案するミラモン)は後回しにしがちですが、実際は「Ⅱ」で鍛えた根拠ぶっこぬきで編集できるので、第2問を後回し、第5問を先に解くRearrange(ECRSのR)が題意だったと、オチが付きました。 第2問マン・マシーンが問う通り、設問着手順の考慮は、これからの「Ⅲ」にマストです。

今日のまとめ

気合の入った新作「Ⅲ」は、「1次」知識ブームの火付け役。

H29で設問構成を大幅に入れ替え、受験経験者の多くをフリーズさせたと思えば。H30は「生産計画→生産統制→作業方法」のレイヤーを第2→3→4で逆順に出題し、経営トップダウンの上から目線でやってくる診断士受験者様を、現場目線で迎え撃ち。

木内先生は、①事例をノウハウ・キーワードで解こうとしたり、②過去問の答えを暗記するベテが余程嫌いなんだねっ。

受験側の手口の研究にかけては、本業そっちのけで熱心そうだね。

■■ここからテンプレ■■

ベテやふぞが過去問の答を必死に覚えてその小さなオツムを固くする隣で、柔軟な話題にさっと答えてタイムマネジメント力をダダ上げする【過去問RTA】。世間の誰も気づかぬ内に、今年R6の「2次」対策は既に春爛漫の満開モードです。

-J事例Ⅲ

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