H事例Ⅰ

【写経シリーズ(Ⅰ)】出題の趣旨、与件文、受験校解答

提案は要らないからさ、
ウチの分析をよろしく頼むよ。

「事例Ⅰ」最大の特徴は、現状把握と分析能力を強く求め、診断士に提案など求めていないこと。つまりA社長は、

  • 診断士に「相談」する気など毛頭なく、
  • 予め自分の腹案を持ったうえで、
  • 自分の考えの整理、または正しさを確認するため話をしている。

つまり、A社長が何を言いたいかを察する傾聴力の勝負。そんなA社を診断する時は、誤って見当外れの提案を書かない意識が欠かせない。

【出題の趣旨】事例Ⅰの要求能力

H29事例Ⅰ
第1問 20点

創業後わずかな期間で高い業績をあげるに至った要因について、経営環境を考慮した上で分析する能力を問う問題である。

第2問 20点

同業他社に比べて少数の正規社員による効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制について、分析する能力を問う問題である。

第3問 20点

事業活動拠点の移設に伴う事業展開上の戦略的メリットについて、分析する能力を問う問題である。

第4問 20点

地域ブランドとして優位性をもつ主力商品の全国市場への展開がもたらす問題を分析し、それに対して適切な助言をする能力を問う問題である。

第5問 20点

非同族支配の中小企業であるA社が、「第三の創業期」といわれる新しい時代に向けて、どのような経営課題に直面しているのかを分析する能力を問う問題である。

H28事例Ⅰ
第1問(40点)
(設問 1)
当初立ち上げた印刷事業が成長した要因について、分析する能力を問う問題である。(設問 2)
印刷事業関連以外の新規事業が大きな成果を上げることのできなかった要因を把握する能力を問う問題である。
第2問(40点)

(設問 1)
学校アルバム事業との事業展開の比較を通して、新規アルバム事業の事業展開において留意すべき点を分析し、適切な助言をする能力を問う問題である。

(設問 2)
新規事業を展開する上で、複数事業間で人材の流動性を確保する組織に改変した理由について、分析する能力を問う問題である。

第3問(配点20点)

業績低迷が続く地方都市の中小企業が、事業を継続していく上で必要となる人材をいかに確保していくかについて、適切な助言をする能力を問う問題である。

H27事例Ⅰ
第1問(20点)

創業以来、A社の経営を支えてきたスポーツ用品事業の市場特性について、基本的理解力・分析力を問う問題である。

第2問(20点)

従前、社内の一事業部門として運営してきたプラスチック成形事業を、関連会社に移管している理由について、分析力・課題発見力を問う問題である。

第3問(20点)

A社グループの売上の60%を占めるまでに成長した事業が、今後A社グループの経営に対してどのような課題を生じさせる可能性があるかについて、分析力・課題発見力を問う問題である。

第4問(20点)

A社グループが成果主義型賃金制度を導入しない理由について、分析力を問う問題である。

第5問(20点)

プラスチック製造を主力事業としてきたA社が、新規事業としてスポーツ関連のサービス事業をさらに拡大する際に、どのような点に留意すべきかについて、中小企業診断士としての助言能力を問う問題である。

H26事例Ⅰ
第1問(20点)

研究開発型企業として事業を展開しているA社のような中小企業が増加している今日の経営環境の変化に関する基本的理解力・分析力を問う問題である。

第2問(20点)

精密ガラス加工メーカーであるA社とA社をサプライヤーとして採用している取引先との関係に焦点をおいて、創業期からA社が長期間にわたって主力製品を確立することができなかった理由に関する基本的理解力・分析力を問う問題である。

第3問(20点)

2度のターニングポイントを経て研究開発型企業へと成長を遂げてきたA社が、事業領域の拡大に伴って、いかなる組織管理上の課題に直面することになったのかに関する分析力・課題発見力を問う問題である。

第4問(20点)

A社の現在の主力製品であるOEM製品の理化学分析用試験管の量産体制において、過去と比較して、近年その良品率が著しく改善されている理由に関する分析力・原因究明力を問う問題である。

第5問(20点)

研究開発型中小企業としての強みを強化するために採用した、専門性の高い研究職従業員のモラールおよびモチベーションを高め、継続的に雇用していくための方策に関する助言能力を問う問題である。

H25事例Ⅰ
第1問(35点)
(設問1)A社の主力事業である健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくための具体的施策について、現行の取扱商品や既存顧客との関係の点から、基本的理解力・分析力を問う問題である。(設問2)急速な事業拡大を遂げてきたA社の効率的な経営管理体制を今後も維持していく上での留意すべき点について、基本的分析、助言能力を問う問題である。
第2問(35点)
(設問1)A社が非正規社員を有効な戦略として活用する理由について、基本的理解力・分析力を問う問題である。(設問2)A社が雇用している非正規社員のモチベーションを今後も維持していいくための具体的施策について、非経済的インセンティブの面から、助言能力を問う問題である。
第3問(15点)

A社が大学新卒の正規社員に対して、どのような役割を期待していると考えられるかについて、分析力を問う問題である。

第4問(15点)

A社の顧客データベースが新商品開発に直接結びついていない原因がどこにあるのかについて、分析力を問う問題である。

受験校解答を採点 H27事例Ⅰ

聞かれたことに答える(含むオウム返し)加点要素①加点要素②加点要素③その他+α

 

問題及び解答編集方針
【写経やってみる】H27事例Ⅰ
第1問

T社

流行するスポーツは、人口の分布、認知度や人気によって移り変わるため、個々のスポーツ用品の市場規模は変動規模が大きいが、経済状況が一定以上の水準であれば、スポーツ用品全体の市場は安定した規模を有すことになる。

O社

A社を支えてきたスポーツ用品事業の市場特性は需要変動が大きく、また、ある程度健康で軽いスポーツができるシニア層が多く存在し、今後拡大の見込める事業分野への知識・経験、ネットワークを培える特性を持つ

A社

スポーツ用品事業の市場には、①いち早く流行の兆しをとらえることより市場シェアを拡大できる特性、②人気の陰りや安価な代替品の登場により売上高が激減するため次々と対象事業の模索が必要となる特性、がある

合格者再現答案
市場の特性は①ゲートボールの人気低下がある脅威があるものの、②少子高齢化でゲートボールやグラウンドゴルフのターゲットのシニア層の拡大や、③健康に関心のあるターゲットの拡大の機会がある。

一口メモ
・考えられる=類推要求ながら、根拠の抜きで対応できる易問。100字20点では、受験校解答のようにO機会⇔T脅威で切り分け2センテンスにするか、合格者再現答案の様に1文30字で3センテンスにするか、好みで判断。
第2問

T社

楽器収納用ケースの製造は依頼に基づいたものであり、運転資金の確保には貢献するものの、技術難度の高度化や自社ブランド力の向上につながるものではなかった。そのため、関連会社として独立させ、健康に関心のあるターゲットの拡大の機会主力事業とは棲み分けて展開するのが効果的だと考えたから。

O社
理由は、①新規事業と既存事業とは技術が異なること、および技術難度、事業に対する考え方そのものが異なり、既存事業・ノウハウとの相乗効果が得にくい、②新規事業の進出・撤退時において、自社ブランドで展開する場合よりも容易と判断したと考えられる。

A社
理由は、①自社開発し特許を取得したブロー成型技術とはいえ技術難度が高いため、専門性を発揮し技術を高度化するため、②自社ブランド展開してきた既存事業とは事業に対する考え方が違うため、営業活動を営む事業活動の責任範囲を明確にするため、である。

合格者再現答案
理由は、①関連会社として事業を分離することで事業に特化することができブロー成形技術の高度化を促進するため、②各事業の考え方等の違いから組織文化を守るため、③関連会社にすることで、採算性や利益責任を明確にするメリットがあるため。

一口メモ
120字20点。受験校模範解答は「技術の差」「新規事業の位置づけ」から2センテンス。合格者の安全回答では1文を短くし、3~4センテンス入る。
第3問

T社
技術の高度化と健康ソリューション事業の強化を図るため、関連会社で非正規社員を採用して収益性を高めることや、関連会社の正規社員をA社に異動させて人的資源を結集するなど、新たな人事政策を採る必要が生じる

O社
今後の経営の課題は、グループ全体の売上構成比においてプラスチック製容器製造事業が60%を占めることは、その構成比が変わらず業績もほぼ横ばいで推移する場合、当事業が高い利益を確保できることが必要である

A社
課題は、①A社よりも関連企業の売上比率が高くなることによるA社の目標達成意欲の低下を防ぐこと、②プラスチック製容器製造事業に売上依存するリスクを軽減するため、新事業を創出する人材を育成すること、である。

合格者再現答案
課題は、①台湾や中国等の海外の廉価製品や代替品に対抗し技術力を高め差別化を行い売上及び収益拡大を図ること、②各事業を強化しプラスチック製造事業の依存度を低下させ、経営危機に対するリスク分散を図ること。

一口メモ
「将来の」「可能性を」「類推」させる難問。内容をピタリ当てるのは至難で、受験校解答もバラける。根拠が薄い=解答内容がバラつく難問と判断したら、「課題は~」と受け、問題本文中の語句を引用し、「1次」一般論知識を使い、「答えたフリをする」ことで十分か。

※まだ不慣れなため、全5問中、第1~3問までを採点。

注:当記事は、Web上で無償公開されている受験校模範解答のみ用い、内容の評価や比較でなく、「どの問題で答えが割れるか」を紙上検証。無償公開=デファクトスタンダード競争とすれば引用歓迎と考えますが、引用不可であれば即時削除いたしますので、ご指摘お願いいたします。

写経の作法(例)

(1)道具を揃える
・問題文、問題本文
・・PDFでダウンロード可
・模範解答、解説 ・・手持ちの過去問題集で可
・Excel、Word

(2)手順
①問題文を写経
・・Excelを使うと、後で属性・配点などの分析が可能
②問題本文を写経 ・・Wordが好適
③模範解答から、問題本文の該当根拠にマーキング
※今回の参考として主に「速修2次過去問題集」(山口正浩他、早稲田出版)を使用
④そこから先の自問自答
※時間ないときは、問題本文はPDFコピペ、問題文のみ写経、などのショートカットOK。でもショートカットするほど効果が半減。

写経例:H27事例Ⅰ

設問文

第1問 (100字、20点 現在、「特性」考察、難易度:易)
ゲートボールやグラウンドゴルフなど、A社を支えてきたスポーツ用品事業の市場には、どのような特性があると考えられるか。100字以内で述べよ。

★「抜き」が基本ながら、本文根拠が多様なため、O機会・T脅威に切り分けて上手くまとめる。

第2問 (120字、20点 過去、「理由」考察、難易度:易)
A社は、当初、新しい分野のプラスチック成形事業を社内で行っていたが、その後、関連会社を設立し移管している。その理由として、どのようなことが考えられるか。120字以内で述べよ。

★第5段落に「事業に対する考え方そのものが異なる」と明示済。あとは「技術の差」「新規事業への専念」など、根拠を一般知識の枠で上手くまとめる。

第3問 (100字、20点 現在、「可能性」考察、難易度:高)
A社および関連会社を含めた企業グループで、大型成形技術の導入や技術開発などによって、プラスチック製容器製造事業の売上が60%を占めるようになった。そのことは、今後の経営に、どのような課題を生み出す可能性があると考えられるか。中小企業診断士として、100字以内で述べよ。

★課題は類推するしかない。当たらなくても、「課題に答えたフリ」が必要。

第4問 (100字、20点 現在、「理由」考察、難易度:中)
A社および関連会社を含めた企業グループで、成果主義に基づく賃金制度を、あえて導入していない理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ

★成果主義の一般的メリ・デメ知識を思い浮かべ、「短期業績は安定だが市場自体の盛衰に影響」「継続雇用を重視」などで無難にまとめる。

第5問 (100字、20点 将来、「留意点」助言、難易度:中)
A社の健康ソリューション事業では、スポーツ関連製品の製造・販売だけではなく、体力測定診断プログラムや認知症予防ツールなどのサービス事業も手がけている。そうしたサービス事業をさらに拡大させていくうえで、どのような点に留意して組織文化の変革や人材育成を進めていくべきか。中小企業診断士として、100字以内で助言せよ。

★将来への助言となる第5問は例年難しいが、第8~9段落に根拠が集中し、「サービスマーケ」「外部連携」「組織学習」「部門間人材交流」等のキーワードは浮かぶ。あとは時間と編集力の戦い?

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問水色第2問緑色第3問黄色第4問桃色第5問紫色

【第1段落】 概要 3⃣4⃣

A社は、1950年代に創業された、資本金1,000万円、売上高14億円、従業員数75名(非正規社員含む)のプラスチック製品メーカーである。1979年に設立した、従業員数70名(非正規社員含む)のプラスチック製容器製造を手がける関連会社を含めると、総売上高は約36億円で、グループ全体でみた売り上げ構成比は、プラスチック製容器製造が60%、自動車部品製造が24%、健康ソリューション事業が16%問である。ここ5年で見ると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。

【第2段落】 昔話 1⃣

A社単体でみると、その売上のおよそ60%を自動車部品製造が占めているが、創業当初の主力製品は、プラスチック製のスポーツ用品であった。終戦後10年の時を経て、戦後の混乱から日本社会が安定を取り戻し、庶民にも経済的余裕が生まれる中で、レジャーやスポーツへの関心が徐々に高まりつつあった。そうした時代に、いち早く流行の兆しをとらえた創業者が、当時新素材として注目されていたプラスチックを用いたバドミントン用シャトルコックの開発・製造に取り組んだことで、同社は誕生した。

【第3段落】 成長期 1⃣

創業当初こそ、バドミントンはあまり知られていないスポーツであったが、高度経済成長とともに、創業者のもくろみどおりその市場は広がった。その後、同社のコア技術であったプラスチックの射出成形技術(加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって、成形品を得る方法)によるシャトルコックの製造だけでなく、木製のラケット製造にも業容を拡大すると、台湾にラケット製造の専用工場を建設した。

【第4段落】 経営危機 1⃣2⃣4⃣

しかし、1970年代初めの第一次オイルショックと前後して、台湾製や中国製の廉価なシャトルコックが輸入されるようになると、A社の売上は激減した。時を同じくして、木製ラケットが金属フレームに代替されたこともあって、A社の売上は最盛期の約70%減となり、一転して経営危機に直面することになった。どうにか事業を継続させ、約40名の従業員を路頭に迷わせずに済んだのは、当時バドミントン用品の製造・販売の陰で細々と続けていた、自動車部品の受注生産やレジャー用品の製造などで採用していたブロー成型技術(ペットボトルなど、中空の製品を作るのに用いられるプラスチックの加工法)があったからである。そして、その成形技術の高度化が、その後、A社再生への道を切り開くことになる。

【第5段落】 A社社長の苦労話 2⃣3⃣

A社の経営が危機に陥った時期、創業者である父に請われてサラリーマンを辞めて、都市部から離れた生まれ故郷の農村に、A社社長は戻ることを決意した。瀕死状態のA社の事業を託されたA社社長は、ブロー成型技術の高度化に取り組むと同時に、それを活かすことのできる注文を求めて全国を行脚した。苦労の末、楽器メーカーから楽器収納用ケースの製造依頼を取りつけることができた。自社で開発し特許まで取得した新しい成形技術を活かすことができたとはいえ、その新規事業は、技術難度はもちろん、自社ブランドで展開してきたバドミントン事業とは、事業に対する考え方そのものが異なっていた。そこで、再起をかけてこのビジネスをスタートさせたA社社長は、当初社内で行っていた新規事業を、関連会社として独立させることにした。

【第6段落】 スポーツ用品事業の再生 3⃣

こうして本格的に稼働した新規事業は、A社社長の期待以上に急速に伸長し、それまで抱えてきた多額の借入金を徐々に返済できるまでになり、次なる成長事業を模索する余裕も出てきた。そこで、A社社長が注目した事業のひとつは、同社の祖業ともいうべきスポーツ用品事業での事業拡大であった。ターゲットにしたのは、1980年頃認知度が高まりつつあったゲートボールの市場である。ゲートボール用のボールやスティック、タイマーなどで特許を取得すると、バドミントン関連製品の製造で使用していた工場をゲートボール用品工場に全面的に改装し、自社ブランドでの販売を開始した。少子高齢化社会を目前に控えたわが国でその市場は徐々に伸長し、A社の製品が市場に出回るようになった。しかし、その後、ゲートボールの人気に陰りがみられるようになったため、次なるスポーツ用品事業の模索が始まった。

【第7段落】 業績の安定化 1⃣3⃣

もっとも、その頃になると、自動車部品事業拡大を追い風にして進めてきた成形技術の高度化や工場増築などの投資が功を奏し、バスタブなどの大型成形製品の注文を受けることができる体制も整って、A社グループの経営は比較的順調であった。また、新規事業を模索していたスポーツビジネスでは、シニア層をターゲットにしたグラウンドゴルフ市場に参入し、国内市場シェアの60%以上を占めるようになった。

【第8段落】 ドメインの再定義 5⃣

2000年代半ばになると、地元自治体や大学との連携によって福祉施設向けレクリエーションゲームや認知症予防のための製品を開発し、福祉事業に参入した。さらに、ゲートボールやグラウンドゴルフなどシニア向け事業で培ってきた知識・経験、そしてそれにかかわるネットワークを活用できることから、スポーツ関連分野の事業全体を健康ソリューション事業と位置付けた。健康ソリューション事業では、シニア層にターゲットを絞ることなく、体力測定診断プログラムなどのソフト開発にも着手し、サービス事業を拡大して、グループ売上全体の16%を占めるまでに成長させたのである。

【第9段落】 4⃣5⃣

こうして経営危機を乗り越えてきたA社では、A社社長が社長を務める関連会社を含めて、従業員のほとんどが正規社員であり、非正規社員は数名に過ぎない。グループ全体の事業別従業員構成は、プラスチック製容器製造が70名、自動車部品製造が35名、健康ソリューション事業が40名である。近年になってボーナスなどでわずかに業績給的要素を取り入れつつあるが、給与や昇進などの人事制度は、ほぼ年功ベースで運用されている。

写経例:H26事例Ⅰ

設問文

第1問 (120字、20点、現在、「環境変化」類推、難易度:中)
A社は、小規模ながら大学や企業の研究機関と共同開発した独創的な技術を武器に事業を展開しようとする研究開発型中小企業である。わが国でも、近年、そうしたタイプの企業が増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか。120字以内で答えよ。

★120字あるので、3~4根拠が欲しい。1次「技術経営」の知識を頭に浮かべ、【第1段落】OEM生産(技術革新が速く、内製化しにくい) 【第4段落】人脈や技術を通じた外部連携 【第8段落】ベンチャー社長のアイデア 【第11段落】官公庁による助成金制度、あたりを並べる。

第2問 (100字、20点、過去、「理由」類推、難易度:易)
A社は、創業期、大学や企業の研究機関の依頼に応じて製品を提供してきた。しかし、当時の製品の多くがA社の主力製品に育たなかったのは、精密加工技術を用いた取引先の製品自体のライフサイクルが短かったこと以外に、どのような理由が考えられるか。100字以内で答えよ。よ。

★類推が求められる問題ばかりの中、1問位は易しいはずなので確実に根拠を抜く。100字→3根拠と考え、【第2段落】営業が1人で代替品に負ける 【第8段落】受け身の受注、【第9段落】設備が外注→独自技術の遅れ、でまとまる。

第3問 (100字、20点、現在、「課題」類推、難易度:中)
2度のターニング・ポイントを経て、A社は安定的成長を確保できるようになった。新しい事業の柱ができた結果、A社にとって組織管理上の新たな課題が生じた。それは、どのような課題であると考えられるか。100字以内で答えよ。

★100字→3文構成。「課題は~」で切り出し、【第8段落】レーザー用放電管事業の売上成長→販売機能の強化、【第9段落】OEM受注量の増・内製化→品質管理機能の強化、【第10段落】研究開発機能の増加あたりで上手くまとめる。

第4問 (100字、20点、現在、「理由」類推、難易度:中)
A社の主力製品である試験管の良品率は、製造設備を内製化した後、60%まで改善したが、その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移した。ところが近年、良品率が60%から90%へと大幅に改善している。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

★100字→3文構成。【第9段落】で「高い製造技術」と受け、【第2段落】研究開発部門による技術蓄積、【第2段落】中途採用者が持ち込むノウハウ、と並べればそれっぽい。

第5問 (100字、20点、将来、「施策」助言、難易度:高)
A社は、若干名の博士号取得者や博士号取得見込者を採用している。採用した高度な専門知識を持つ人材を長期的に勤務させていくためには、どのような管理施策をとるべきか。中小企業診断士として100字以内で助言せよ。よ。

★これは難問。問題本文の根拠も薄く、時間をかけずに「発明報酬」「環境整備」「ビジョンによる中長期目標」「外部連携」「後進の採用と育成」など、それっぽい1次知識を並べる程度??

与件文
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問水色第2問緑色第3問黄色第4問桃色第5問紫色

【第1段落】 会社概要

A社は、資本金2,000万円、売上高約3億5千万円、従業員数40名(正規社員25名、非正規社員15名)の精密ガラス加工メーカーである。1970年代半ばの創業から今日に至るまで、A社社長が代表取締役として陣頭指揮をとっている。現在、A社の取り扱っている主力製品は、試薬検査などに使用する理化学分析用試験管、医療機関などで使用されているレーザー装置、光ファイバーなどに用いるガラス管などである。売上のおよそ半分をOEM生産の理化学分析用試験管事業が占め、あとの半分をレーザー装置事業とガラス管事業でそれぞれ同程度を売り上げている。

【第2段落】 2⃣ 3⃣ 4⃣組織構成と人材配置

現在、A社の組織は、生産、研究開発を中心にした機能別組織である。営業担当者は1名で、取引先との窓口業務にあたっている。研究開発部門には、研究室と開発室に計6名の社員が所属しており、工学博士号を持つ社員もいる。研究開発部門は、新製品開発や新技術開発のほか、製造装置の開発、レーザー装置の開発・販売を担当している。生産部門は、製造第1課、第2課、品質管理課の3つの課で構成されている。第1課は主に試験管製造を、第2課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。

【第3段落】 技術と製品

A社が開発・製造している製品に関連する精密ガラス加工技術とは、われわれが通常イメージするようなグラスや置物、工芸品を製造する職人的な工芸技術ではなく、絶縁性、透過性、外圧の統制などガラスの持つ特性を最大限活用する高度な加工技術である。かつてテレビに使われていたブラウン管や真空管、放電管なども、精密ガラス加工技術をベースにした関連製品である。

【第4段落】 1⃣

真空成型加工、特殊ランプ加工、ガス加工、延伸加工などの精密ガラス加工技術を活用したA社が取り扱う製品の開発・製造には、ガラス加工技術の知識や熟練技能だけでなく、物理学や化学に関する専門的な知識も不可欠である。A社社長が精密ガラス加工に必要な基礎技術や知識を習得し会社を立ち上げることができたのは、高校卒業後に10年ほど中堅ガラス加工メーカーに勤務し、そこで大手電機メーカーの研究所や大学の研究機関との共同開発のプロジェクトに深くかかわってきたからである。その時に培った人間関係や研究開発に関する技術や経験が、創業から今日に至るまで、A社の経営基盤を成している。

【第5段落】 1⃣2⃣ 新技術、新製品による取引継続

精密ガラス加工技術を必要とする製品分野は、技術革新のスピードが速く、製品ライフサイクルが短い。そのため、サプライヤーは、新しい技術や新しい製品を取引先に提案することができなければ、取引を継続させていくことは難しい

【第6段落】 2⃣これまでの存続と成長

小さな工場を借り、サラリーマン時代の人間関係を通じて、大学などの研究機関から頼まれる単発的な仕事をひとりだけでこなす体制でスタートしたA社も、取引先の要望を超えるアイデアを提案することによって存続と成長を実現してきたのである。その成長スピードは決して速いとはいえないが、精密ガラス加工技術の関連技術を広げながら、今日の研究開発型企業へと発展を遂げてきた。

【第7段落】 2⃣受け身の短命製品

創業から10年余り、依頼に応じて開発・製造した製品の多くは、技術革新や代替品の登場によって2~3年で注文がなくなり、なかなか主力製品に育たなかった

【第8段落】 きっかけ①自社開発のレーザー用製品

A社にとって成長に向けた最初のターニング・ポイントは、レーザー用放電管の開発であった。大学や大手企業の研究機関から依頼を受けて開発・製造に取り組んできたそれまでの製品とは異なって、A社社長のアイデアではじめて自社開発に着手したレーザー用放電管事業はひとつの柱となった。その後10年の時を経て、レーザー用放電管事業はレーザー装置そのもの製品化にもつながり、売上は大きく伸長することになる。

【第9段落】 4⃣ きっかけ② OEM生産と内製化

もうひとつのターニング・ポイントは、レーザー用放電管開発と前後して、現在の主力製品となる理化学分析用試験管のOEM生産を化学用分析機器メーカーから依頼されたことであった。もっとも、この事業がA社の利益に大きく貢献するようになったのは、5年ほど前からである。というのも製造依頼があった当初、分析用試験管の市場規模はまだ小さく、生産量も少なかったし、製造プロセスの多くが手作業であったことに加えて外注した製造設備を使っていたために、良品率が40%以下と著しく低かったためである。その後、試験管の需要増に伴って受注量も増えてA社の売上は少しずつ伸長したが、良品率が低く利益増にはなかなか結び付かなかった。試験管市場の成長を確信していたA社社長は、そうした事態を打破するために製造設備の内製化を決意し、段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた。着手から5年以上の年月がかかったものの製造設備の内製化を進めたことによって、製造プロセスの自動化を実現するなど量産体制を完成させた結果、良品率は60%程度まで改善した。その後、理化学分析用試験管の品質も向上し、よりコンパクトになったにもかかわらず、良品率60%前後を維持してきた。ここ数年、さらに高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

【第10段落】 3⃣ 5⃣ 4⃣ 研究開発も内製化

これらのターニング・ポイントを経る中で、A社社長は、以前にも増して、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めないことを痛感するようになった。それまでも、社内で解決できない技術的な問題や、新製品や新規技術に関連する問題が生じた場合には、顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた。工学博士号を持った社員を5年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。

【第11段落】 1⃣助成金による資金調達

とはいえ、A社のような売上も利益も少ない規模の小さな中小企業が研究開発型企業として生き残るためには、必要な研究開発費を捻出することがもうひとつの重要な経営課題である。レーザー用放電管の自主開発に取り組んだ時代のA社の売上高は1億円にも満たず、社員数も10名に過ぎなかった。そのような企業規模で新規事業のための多額の研究開発資金を捻出することは難しかった。A社が現在進めている新規事業の資金は、大部分が公的助成金によって賄われている。研究開発型中小企業にとって、官公庁の助成金の獲得は極めて重要な資金調達の手段なのである。

今日のまとめ

出題の趣旨など、当り前の内容ばかり。遥かその上空で戦う合格レベルの受験者は、誰も顧みないのが当り前。でもね。ボケッと眺めるだけでなく。

あえて数値化すると、時系列や他事例との比較が読み取れる。

「Ⅳ」じゃないので、A社長にこんな分析を見せたら蹴飛ばされるけど。腹にこっそりしまい、傾聴するフリする程度の芝居はやってもいいんです。

わかりやすさがマスト、具体的ならベスト
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