B財務

企業財務論×ボックス【Ⅳ第4問対策】

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「事例Ⅳ」では、簿記や仕訳の知識は問われない。そこで注力するならファイナンスに。ところが、

「FCFの公式」はもう「Ⅳ」に通用しない。

元記事:CF3兄弟はここで見分ける

FCFの公式は「Ⅳ」で問われる各CFの説明に便利なので、つい公式代入で安易にCFを求めてしまいがち。しかしH30「Ⅳ」第2問が、FCF本来の目的である企業価値=FCF÷WACCを問うと、正答率がなんと5%未満に。

そう、ここでズバリと行きましょう。

診断士の「Ⅳ」受験指導は間違いだらけ。安易に公式に依存して、理論がお留守に。

今日は、「企業財務論」で活躍するボックスの計算パターンを。すると視覚で理論が頭に入り、「FCFの公式まっしぐら」を避けて、H30第2問企業価値がスラスラ解けます。

企業財務論×ボックス【Ⅳ第4問対策】

H30第2問 企業価値 が指摘する「盲点」

診断士の「Ⅳ」受験指導は計算に偏重しすぎ。すると設問1(WACC算定 ) 、設問2(FCF算定)はできても、設問3(企業価値)の知識が全員お留守に。

計算ばっかり練習し、理論がお留守になると「Ⅳ」の捻った問題は解けません。あの(設問3)は正答率5%未満で事実上の没問だからいいものの。もし正答率2割を超えると、この△10点が致命傷で、来年またいらっしゃい。

それはちょっと嫌だな? であれば、FCFの公式を使うことをやめればOK。では本題のボックスパターンへ。

良問:H25第14問 WACC+CAPM+β、Bランク

当問は①「企業財務論」の出題で正解は○ウ7.8%ですが、②WACC計算に必要な自己資本コストは「証券投資論」のCAPM、βを使って求める。 つまりこの1問で診断士ファイナンスのほぼ全域をカバーする良問です。

以下のデータからA社の加重平均資本コストを計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
有利子負債額:4億円
株式時価総額:8億円
負債利子率:4%
法人税率:40%
A社のベータ(β)値:1.5
安全利子率:3%
市場ポートフォリオの期待収益率:8%。
×ア 5.8%
×イ 6.7%
○ウ 7.8%
×エ 8.3%

まず当問をサラリと解き直して知識の再確認を。すると以下全ての過去問をスラスラ解けます。

企業財務論

H26第20問(3) 企業価値 Cランク

ファイナンスにおける企業価値は、まず株主価値+負債価値で。

企業価値評価に関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
企業価値評価では、一般的に①PBR や PER などの諸比率を用いた【      】に代表されるマーケット・アプローチと呼ばれる手法のほか、企業の期待キャッシュフローの割引現在価値によって評価額を推計する②DCF アプローチ、企業の保有する資産や負債の時価などから企業価値を評価するコスト・アプローチといった手法も用いられている。
(設問3)
文中の下線部②について、以下の問いに答えよ。
A 社の財務データは以下のとおりである。なお、A 社の営業利益は、利息・税引前キャッシュフローに等しく、将来も永続的に期待されている。A 社は負債を継続的に利用しており、その利息は毎年一定である。また、A 社の法人税率は 40 % であり、税引後利益はすべて配当される。負債の利子率が 5 %、株式の要求収益率が 9 % であるとき、負債価値と株主資本価値とを合わせた A 社の企業価値を DCF 法によって計算した場合、最も適切な金額を下記の解答群から選べ。
【A 社のデータ】(単位:万円)
営業利益 1,100
支払利息 500
税引前利益 600
法人税(税率:40 %)240
税引後利益 360
×ア 4,000 万円
×イ 6,000 万円
○ウ 14,000 万円
×エ 14,333 万円

当問は、①株主価値+②負債価値から企業価値を求めるタイプです。途中経過をすっ飛ばすと、①株主価値は配当割引(ゼロ成長)モデルより4,000、②負債価値は10,000なので、両者を足して〇ウ14,000に。

H26第15問 MM理論 (1)Cランク (2)Bランク ※参考問題

MM理論を深堀りすると、ノーベル賞級に海より深く。ここはスピテキ様の言う通り、結論の暗記で。

現在 A 社は、全額自己資本で資金調達しており、その時価は 10,000 万円である。 A 社は毎期 600 万円の営業利益をあげており、この営業利益はフリー・キャッシュフローに等しい。MM 理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。
(設問1)
A 社が利子率 2%の借入を行うことによって 2,000 万円の自己株式を買入消却し、負債対自己資本比率を 20:80 に変化させたとき、A 社の自己資本利益率は何%になるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税は存在しないものとする。
〇ア 7 %
×イ 8%
×ウ 22 %
×エ 24 %

正解○アは、営業利益=600-支払利息40(借入金2,000×年利2%)=560と計算します。ただこれは'とんち問題'で初見では解けないので、最初は×イを選んで構いません。

MM理論は、第一~第三命題までの結論暗記で。(設問2)の「修正命題 」 は海より深いので、スルーでOK。

MM理論の命題:IFRS経営会議
(設問2)
(設問1)のように A 社が資本構成を変化させたとき、法人税が存在する場合、資本構成変化後の A 社の企業価値はいくらになるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税率は 40 % とする。
×ア 9,960 万円
×イ 10,000 万円
×ウ 10,040 万円
〇エ 10,800 万円

正解○エの計算過程を書くと、こう。

借入後の企業価値V=借入前の企業価値V10,000+負債の節税効果(負債額2,000×税率0.4) =10,800。

なお下線部になる説明は、配当割引モデルと同じ無限等比数列です。数学が好きな方以外はスルーOKで、他の企業価値とごっちゃにする位なら、当問は捨てるか結論の丸暗記で。

H29第24問 WACC Aランク

WACC計算はBSのハコを描くだけのサービス問題。

負債と純資産の構成が2:1の企業がある。この企業の税引前負債資本コストが3%(税率は40%)、株主資本コストが12%であるときの加重平均資本コストとして、最も適切なものはどれか。
○ア 5.2%
×イ 5.8%
×ウ 6.0%
×エ 9.0%

当問を当てない人はさすがにいません。次。

H27第14問 WACC Bランク

簿価⇔時価のどちらを使うかで、一捻り。

以下の B 社の資料に基づいて加重平均資本コストを計算した値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、B 社は常に十分な利益を上げている。
株主資本(自己資本)コスト 10 %
他人資本コスト 5 %
限界税率 40 %
負債の簿価 600 百万円
負債の時価 600 百万円
株主資本の簿価 1,000 百万円
株主資本の時価 1,400 百万円
×ア 7 %
×イ 7.375 %
×ウ 7.6 %
〇エ 7.9 %

当問で悩むとすれば、簿価⇔時価のどちらを使うかだけ。簿価なんて信じないファイナンスの世界は時価一択なので、試しに計算して納得します。

H26第13問 FCF算定Dランク

FCFは公式で計算できるのにDランク。その落とし穴を避けるのが、運転資金のBSボックス。

以下のデータに基づいて、A社のフリー・キャッシュフローを計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
営業利益     200百万円
減価償却費     20百万円
☆売上債権の増加額  10百万円
☆棚卸資産の増加額  15百万円
☆仕入債務の減少額  5百万円
当期の設備投資額  40百万円
法人税率      40%
○ア  70百万円
×イ  80百万円
×ウ 120百万円
×エ 130百万円

当問をFCFの公式で解くと、運転資金3兄弟(☆)の±に悩んで×イウを選ばされます。そこで公式一つ覚えを止め、BSのハコを描いて視覚的に検算します。
※後で説明する「CF計算書」と同じ解き方。

ここでの盲点は、企業価値=FCF÷WACCはスピテキが数ページを割いて丁寧に説明しても、過去5年の1次「財務」で未出題だったこと。「財務」は計算問題の教育効果が高い反面、意識しないと理論がお留守になります。

間接法CF計算書

H27第9問 運転資本の増減 Aランク

FCFもCF計算書もハコの描き方は同じ。当問は「長期借入金」があり、FCFではなくCF計算書の問題と捉えるのがベター。

CF計算書→BSのハコを描く習慣をつければ、キャッシュの±は即答できる。
キャッシュフローの減少額として最も適切なものはどれか。
×ア 減価償却費
×イ 仕入債務の増加
○ウ 棚卸資産の増加
×エ 長期借入金の増加

タナオロシ資産の増加はキャッシュの減少。ここは呪文の様な暗記でOK。念のため、アウエがキャッシュの増加になる確認も。

H29第13問 運転資本の増減 Bランク

営業CF・投資CF・財務CFの違いも念のため。

※会計上は 、「貸倒引当金の増加」は運転資本でなく、非資金費用の増加として扱う。
キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローの区分(間接法)で増加要因として表示されるものはどれか。最も適切なものを選べ。
×ア 売上債権の増加
○イ 貸倒引当金の増加
×ウ 短期借入金の増加
×エ 有形固定資産の売却

貸倒引当金は直観的に選びにくいのですが、×アはキャッシュ減、ウエは営業CFではないので、自信を持って○イ一択に。

H28第9問 運転資本の増減 (1)Bランク

診断士のCF計算書は、BSとPLの足し算・引き算だけで作る。ウンウン悩む方は、自力のエクセル化でビジュアルにすると、一発で納得。

次の貸借対照表と損益計算書について、下記の設問に答えよ。
第9問図
(設問1)
キャッシュ・フロー計算書上の表示として最も適切なものはどれか。
○ア 売上債権の増加額 △35,000千円
×イ 減価償却費    △10,000千円
×ウ 固定資産の増加額  125,000千円
×エ 仕入債務の増加額 △20,000千円

当サイトは3問連続で同じエクセルのボックスを使って手抜きを。やり方は別として、公式ではなく正しい計算パターンが身につくと、常に同じ解き方ができるので計算が安定します。

※FCFの公式代入は、1次「財務」レベルの簡単な計算には有効。しかし「Ⅳ」レベルの複雑な条件の整理は、ボックス図の方が有利です。

FCFやCF計算書出題で点差がつくのは、「運転資本の増減」だけ。そこでCF計算書の正しい解き方を目で見ておきます。

分配可能額

H29第3問 分配可能額 Cランク

簿記未修の方は、企業会計原則は原則鉛筆コロコロ捨て論点に。ただ年1マーク出て必ず当たる「分配可能額」だけは取りたい。

画像:公認会計士有資格者jijiたん
1分では読めませんが、これぐらいくだらなく。
次の資料に基づき、会社法の規定に基づく剰余金の分配可能額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、のれん、繰延資産および自己株式の金額はゼロである。
×ア 180,000 千円
×イ 230,000 千円
○ウ 250,000 千円
×エ 340,000 千円

答えはいつも通りにエクセルで↓。これなら簿記苦手でも1マーク取れます。

H27第4問 準備金の積み立て Cランク

配当する度にその1/10を準備金にチャリンと貯金するイメージで。 貯金箱は 資本金の1/4で満杯に。

株主総会の決議により、その他資本剰余金を取り崩して600,000円配当することにした。なお、資本金は4,000,000円、準備金の合計は950,000円である。このとき積み立てるべき準備金の種類と金額の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【準備金の種類】
 a 資本準備金
 b 利益準備金
【金額】
 c 50,000円
 d 60,000円
○ア aとc
×イ aとd
×ウ bとc
×エ bとd

なぜそうなるかはテキストレベルでも、BSのハコで視覚化すれば一目瞭然に。

H28第5問 準備金の積み立て (1)(2)Cランク

簿記系問題のCランクとは、簿記未修の方には実質Dランクに。知っている方は目を瞑って当てるサービス問なので、ウンウン悩む位なら捨ててOKです。

次の資料に基づいて、下記の設問に答えよ。
期中取引(発生順)
1.増資にあたり、株式300株を1株当たり70千円の価格で発行し、払込金は当座預金とした。
なお、会社法が定める最低額を資本金とした。また、株式募集のための費用150千円を小切手を振出して支払った。  
2.株主総会が開催され、繰越利益剰余金の分配を次のように決定した。
① 利益準備金 会社法が定める最低額
② 配当金800千円
③ 別途積立金180千円
(設問1)
期中取引が終わった時点の資本金の金額として、最も適切なものはどれか。
○ア  90,500千円
×イ  90,650千円
×ウ 101,000千円
×エ 101,150千円
(設問2)
 期中取引が終わった時点の繰越利益剰余金の金額として、最も適切なものはどれか。
×ア 120千円
○イ 140千円
×ウ 184千円
×エ 220千円

分配可能額は簿記論点なので、「財務」「Ⅳ」の60点には不要。ですがBSが絡むと、ファイナンス同様に、計算パターンは必ずボックスになります。

連結会計

H30第4問 のれん、非支配株主持分 Cランク

連結会計は知識としてまずふうんと眺めて。仕訳を書くにはそれこそ毎日コツコツが要るので、時間がない方は後回し。

画像:RENKETSU.INFO
A社は、20X1年12月31日にB社株式の80%を85百万円で取得した。取得時のA社およびB社の貸借対照表は以下のとおりである。なお、B社の諸資産および諸負債の簿価は、時価と一致している。取得時におけるのれんと非支配株主持分の金額の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問4図
×ア 
のれん: 5百万円  
非支配株主持分: 8百万円
×イ 
のれん: 5百万円  
非支配株主持分: 16百万円
×ウ 
のれん: 21百万円  
非支配株主持分: 8百万円
○エ 
のれん: 21百万円  
非支配株主持分: 16百万円

簿記論点もファイナンスも、BSが絡んだら計算パターンはボックスに。その例として挙げましたが、連結会計の学習に(当サイトも含め)ネットを使ってはダメ。間違った知識を一度インプットしてしまうと、取り返しがつきません。

今日のまとめ

でも1次「財務」程度の易問なら便利な「FCFの公式」が、なぜ「Ⅳ」に通用しなくなったの?

便利すぎて、理論がお留守になるから。

そこで、「キャッシュフロー」と聞いてFCFの公式まっしぐらを避けるには。FCFや企業価値に夢中になる前に、CF計算書の正しい解き方だけ見ておきます。

だって、FCFや企業価値は簿記1級の出題範囲外CF計算書を解くにも、NPVを解くにもFCFの公式なんて使いません。ちゃんと専用の計算パターンが決まっています。

ボタンを押して今日もイタダキ↓。
試験の進化は待ったなしです。

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