簿記を問わない「事例Ⅳ」があれだけ難化するのは、「管理会計」のセンスを問うため。4/11にTACの解き方第2版が発売され、Ⅳを待ちきれないあなたのためにGWはマンガで特集です。

★To-Be目指す答案

【合否手応え】平均点は220、合格ラインは偏差値59

「事例Ⅳ」はなぜ素点ではなく、
下駄を履くのか?

果報を待ってフテ寝していちゃ8割落ちる。そこに気づいて合格予定者(仮)として行動再開すると、こんな噂に気が付きます。

  1. 受験校採点サービスは正直当たらない。
  2. 採点基準は毎回変わり、出題側の専権事項。
  3. 但し「Ⅳ」は素点ではなく、下駄を履く。
  4. 「2次」は5,000人全員に合格チャンス。

診断士とは合格したらおめでとう!ではなく、そこが士業としてのスタートラインに。近年は「たまたま」「まぐれ」先輩を差し置き、確実合格の実績をひっさげて活躍する方が鎬を削る世界ですから、果報を待ってフテ寝しているヒマなどありません。

そこで上の4つの噂はどれほど確か? 1つずつ見ていきます。

1⃣合格手応えと噂の検証

①受験校採点サービスは正直当たらない。

噂:受験校採点サービスで合否が当たるのは、「確実に受かる方」「確実に落ちる方」の2つだけ。大半の方の合否ヒット率は30~50%。

例えばスクール2校の「事例Ⅰ~Ⅲ」採点結果は、だいたいこうなります。

甲さん乙さん
スクール1ABAAAB
スクール2AABAAB

甲さんの評価がスクール1⇔2で逆になるのは、スクール採点はそれぞれ自校の模範解答をベースにするためで、そこからズレるとB評価を返します。

逆に2校ともA評価になる乙さんの「事例Ⅱ」とは、「そのスクールの解答とは異なるが」、診断士としての「回答」になっているケースです。

甲さんのケースでは、協会のホンモノ採点基準がどちらに行くかで合否が変わる「たまたま」。乙さんの様に2校のAAが揃うケースは「実力通りの確実合格」を自負できます。

②採点基準は毎回変わり、出題側の専権事項。

噂:各スクールは、模範解答の公表後はなぜだんまり?

「事例Ⅲ」は各校判で押した様なコピペ答案で瓜二つ。でもなぜ「わが校の解答こそ正!」と宣伝する行為は自粛されるか。

A:本採点中に余計なコトを他言すると、採点基準が変わるから。

国家試験の出題側は「採点基準に寄せて書く」行為を嫌うので、狙い撃たれないよう黙っているのがスクール側のセオリーです。不思議な相関係数まで持ち出して「ボク達の採点基準こそ・・」を後出しで自慢するのは、どこかのサークル1つで十分ですね。

③但し「Ⅳ」は素点ではなく、下駄を履く。

噂:「Ⅳ」の計算問題が全滅でも、足切りDは心配不要。

年明けに得点開示請求の結果が返ってくると、「Ⅳ」の素点⇔開示得点のギャップが必ず話題になります。この有力な原因(というかまず事実)は、

上位20%=240点ピタリにする調整には、「Ⅳ」が一番使いやすい為です。

H30「事例Ⅳ」の表面上の配点は、①経営分析24点 ②計算問題41点 ③記述35点ですが、合格ボーダー前後の方なら①で満点、②で10点=34点にしかならず、60点に届かせるには③記述の採点が相当甘くなります。

でもそこを甘くするより、上位20%=240点の調整用に後から傾斜させる方がラク。従い下駄を履くため、経営分析全滅+記述が白紙でない限り、D評価の心配は不要でしょう。

④「2次」は5,000人全員に合格チャンス。

噂:勝負は下駄を履くまで分からない。

確実に合格と思った方が案外落とされ、合否半々と思うと本当に半々。中には「なぜ合格したか分からない!」なんて体験記に書いて周囲の不興を買う方も。なぜそうなるかの理由は明確で、

  • 受験側が推定できるのは、昨年までの採点基準。
  • 今年の採点基準は出題側の専権事項で、4つ重なると予測不能。

従い、再現精度が怪しげな240点答案を240枚集めても、来年の答えなんて見えません。そこで再現答案や採点基準の世界を離れ、今年の勝負がどんな下駄を履くか。そこを数値を使って示します。

2⃣スコアの正規分布~平均点は220、合格ラインは偏差値59

協会開示得点の平均は220点位では?

先日こちらのグラフを描いた後、複数の方にそう教えていただきました。そして正規分布を前提に条件を追加していくと、出題側の開示がなくてもスコアごとの順位や偏差値を推定できます。

平均220点、標準偏差23、240点(偏差値59)で合格上位20%とした時の、順位対応表
スコア 順位 偏差値
290 1 80
285 7 78
280 19 76
275 39 74
270 73 72
265 127 70
260 209 67
255 329 65
250 494 63
249 533 63
248 574 62
247 618 62
246 663 61
245 711 61
244 762 60
243 814 60
242 869 60
241 926 59
240 986 59
239 1,047 58
238 1,111 58
237 1,177 57
236 1,245 57
235 1,316 57
234 1,388 56
233 1,461 56
232 1,537 55
231 1,615 55
230 1,693 54
225 2,107 52
220 2,538 50
215 2,967 48
210 3,375 46
205 3,744 43
200 4,063 41
195 4,326 39
190 4,533 37
185 4,688 35
180 4,799 33
175 4,875 30
170 4,924 28
165 4,955 26
160 4,973 24
155 4,984 22

判明している条件
・5,000人が受験、上位20%が合格。
・上位20%の半数500人が240点台。→250点以上で上位半数。
・4事例計の最高点は280点前後。
・4事例計の平均点を220点(事例あたり55点)と仮定する。
・正規分布の仮定より偏差値60=上位15.87%

得られる推論
①平均点220、標準偏差23と置くと、240点=上位20%(偏差値59)ピタリに。
②この時、250点で上位10%(偏差値63)に。
③220~239点の1001位~2500位に1,500人が分布
④総合B評価(200~239点)には3,000人が分布
⑤以上の仮定を正とすると、自分の協会開示得点からおよその順位(+偏差値)が決まる。

今日のまとめ

もう「たまたま合格」なんて言わせない。

→合格ボーダーの±10点の範囲に1,150人が入り、うち500人が合格。確かに1点の「たまたま」に見えますが、試験の上位20%とは「実力で勝ち取る」以外にありません。

「なぜ合格したかわからない!」とも言わせない。

→再現答案が周囲とズレても、逆にテクニカルな答案に飽きた採点者が、「これは見所あり」と高得点を付けることがある。そんな噂が根強くあります。ただ1事例だけラッキーでも240点は越えませんから、「自分の答案は複数の採点者に気に入られる内容だった」。遠慮などせず、自信を持って。

この推定が正とは限らず、出題側は平均点をいくらでも上下できます。でもファイナンスと初歩の統計知識を使えば、この推定の「確からしさ」は自分の手で確認できる。

そう、診断士「2次」の合否はもう「たまたま」ではない。だから果報を待ってフテ寝している場合じゃありません。

■■ここからテンプレ■■

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