1・2次並行学習

【みんなが知りたい並行学習】直撃EBA~基礎理論重視への備え

舌鋒鋭い「ネットの噂」氏。そのモデルでは? いやまんま本人じゃなくね? そして今年話題の「1・2次並行学習」の出元はどうも、そう評されるEBA江口先生らしい。
初学者は早く「2次」のスタートを、経験者は改めて「1次」基礎理論の重視に備えよ。「並行学習」がなぜ今注目なのか、では自分に役立つか。直撃取材で教わります。

【みんなが知りたい並行学習】直撃EBA~基礎理論重視への備え

1⃣「2次」解答は、「1次」知識の範囲で書く

EBAのえぐちです。1次試験の学習で学んだ理論が2次試験で出題されることは周知の事実となっています。平成30年試験では事例Ⅰで「チーム理論」「内発的動機づけ」、事例Ⅲでは「マン・マシン・チャート」「現品管理」「前方・後方垂直統合」が出題されましたが、いずれも平成30年度の1次試験(企業経営理論と運営管理)において出題されています。

このような傾向はすでに5年以上前から続いており、2次筆記試験要綱に明記されている、診断士試験における「中小企業診断士としての応用能力」を具体的に求める例と解釈することができます。

ただ、このことだけをフォーカスすると「その年の1次試験問題を2次対策として準備しておけばよい」となるわけですが、ことはそう単純ではないと考えています。

2⃣1・2次並行パラレル(⇔直列シリアル)の有利さ

もちろん、個別の知識が2次筆記試験に直接役に立つことは事実です。EBAでも、昨年の直前期の演習問題では上記理論のうち「チーム理論」以外はすべて出題しており、ほとんどの合格者が「既視感を持って落ち着いて解けた」と合格理由を振り返っています。ただ、私はこの「山が当たる」から1・2次を並行学習すべきだ考えているわけではありません。

私は、1・2次を並行学習することの意義は「確かな理論の定着」にこそあると考えています。これを説明するために、今回は事例Ⅳを使います。

3⃣開示得点分析~「事例Ⅳ」でのスコア差が決定打

昨年度の事例Ⅳ第2~3問における再現答案109名の合格者/不合格者得点率の比較

解説
昨年度の事例Ⅳは営業利益の計算の出来が合否に影響したといわれていますが、データで明らかなように、営業利益の計算は合格者/不合格者に差はありません。昨年度の事例Ⅳの合否を分けたのは、企業価値の問題であることが明らかです。設問構成上、WACCの計算を誤るとそれ以降の計算で失点するため、総得点に大きく影響しています。

得点開示(34名)による事例Ⅳの平均点は合格者が62点、不合格者は52点となり、10点の差がありました。そして合格者の平均点は249点(中央値246点)、不合格者の平均点は218点(同220点)です。約30点(26点)の差の3割強が、企業価値の問題による影響ということになります。

 それでは、今年の企業価値の計算問題は難問だったのかといえば、答えは「NO」です。WACCの計算も、要求CFの計算も、お作法通り・公式通りの計算で求めることができるテキストレベルです。

 それにもかかわらず、この問題で不合格者の方の多くが失点した理由は、いったいどこにあったのかといえば、それは計算能力ではなく、理論の理解力であるというのが私の見解です。

当スクールの財務会計の講義で使用しているスライドで確認しましょう。

1次講義では、企業価値は負債価値と株主価値を個別に求める方法と、フリーCFをWACCで割り引く方法があり、どちらの手法でも計算結果は変わらないと説明しています。この基礎理論は試験委員でもある齋藤正章先生の著書にも明記されています。

しかしながら、企業価値の問題は、1次試験対策においても、「どちらで計算すべきかで迷う」受験生が多数存在しています。これは上記の基礎理論を理解していないことが原因だと考えられます。

当サイト注:H30「Ⅳ」は、毎年頻出のNPV(意思決定会計)の代わりに企業価値(ファイナンス)の出題でした。ただしこの「上記の基礎理論の理解、使い分け」を受験者に求めるのは酷。それは「教える側がわかってない」から。

そこで怪しげなスクールが大好きなイケカコ偏重や、過去問ノウハウ解説本による「過去問の解き方の暗記」を競わせるのでなく、「基礎理論の理解度」で10点の差をつけた。当問は「Ⅳ」の指導方針を根こそぎ変える、歴史的な良問です。

4⃣例題H30「Ⅳ」第2問~企業価値 の理解と解き方

(設問1) 要求CFの計算 (F社増加資産÷D社WACC)

まず最初に、 このH30第2問は(設問1)でD社のWACCを計算させることから、「企業価値=フリーCF÷WACC」の式を使わせる企業価値の問題であると明らかに判断できます。

すると設問の「②“吸収合併により増加した資産”に対して“要求されるキャッシュフロー”」から、 企業価値の公式(増加資産=要求CF÷WACC)の企業価値の定義を思い出せば即答。そして(設問2)(設問3)へと続きます。

【失点させる仕掛けはこう】
ところが、与件データには、被買収企業F社の負債データ(差し引けば純資産データも)があり、これがいわゆるダミーデータです。
つまり企業価値の基礎理論が理解できていない受験生に、このようなデータを与え、①F社の財務データを使用してWACCの計算をしたり、②負債価値や株主価値を計算するミスを狙ってきます。さらにこの(設問1)WACCを間違えると、(設問2~3)まで総崩れに。

当サイト注:ここは実際に問題を解いて「体得する」をまず先に。理屈で先追いすると余計に混乱します。
そしてテキストレベルの企業価値(H30第2問設問2)を不合格者の6割が失点した理由は、「企業価値の計算式を知らない」ではなく、「過去問形式で使い方を手取り足取り教えてもらわないと、テキストレベルの知識も使えない」です。早い話、受験技術や過去問研究ばかり先行する風潮への警告と考えられ、このような「どっきり」出題は今後も続くでしょう。

(設問2) 実際CFの計算=ここはいつもの税引後CIF

※当サイト注:当問は企業価値=ファイナンスの出題ですが、ここで求めるFCFはNPVで使い慣れた税引後CIFボックスを使えばOK。

(設問3) 企業価値(定率成長モデル) 正答率1%未満の没問。一旦無視で。

※当サイト注:(設問3)の解説はこちらでどうぞ

事例Ⅳで高得点を得るために必要な能力は“計算能力”ではなく“設問設計を解釈する能力”であり、この能力は基礎理論の正しい理解とこれを応用する1次試験の学習により伸ばすことができます。

もちろん、単なるマークの暗記試験と割り切って「1次」をやっては並行学習の効果は得られません。「2次においては、1次で学ぶ基礎理論の応用が期待されると意識して学習することが、2次試験対策に直結した実力の養成に貢献し、並行学習による相乗効果を生み出します。

逆に2次試験を中心に学習する方は、「2次試験における出題実績のある問題」を中心に“計算能力”や“パターンによる記述能力”を養う傾向が強まり、1次試験で学習する理論に触れる機会が少なくなる弱みに気を付けてください。

5⃣まとめ

 今回は開示スコア差が開いてわかりやすい「Ⅳ」で説明しましたが、基礎理論は事例Ⅰ~Ⅲにおいて一層重視されます。以下の理論が展開できない方は、1次理論の習得が十分とは言えません。


□シナジーと範囲の経済の違いが説明できますか
□ブランド・アンブレラ効果を説明できますか
□マルチ・チャネルコンフリクトの説明ができますか
□生産管理に生産性の向上が含まれていない理由を説明できますか
□企業価値の算定において、正味現在価値法が内部収益率法よりも優れている理由を説明できますか

1次試験の問題は毎年進化しています。その進化に合わせて、2次試験も進化しています。「2次だけにリソースを集中する」ことが、必ずしも選択と集中効果をもたらすとは限りません。

一見不合理に見える1・2次並行学習ですが、そこにはこの試験の本質が隠れているのかもしれません。一考する価値はありそうですね。

EBAえぐち

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