第2問、第3問とも論点こそ簿記の基本ですが、設問条件の解釈が難しく、解答が割れやすい問題でした。特に第3問については、火曜日の受験校解答を待ち、修正含みとしてご覧ください。
※2017/12月時点の最新解答に更新済
第2問
(設問1)予想PL 単位:百万円
売上高 売上原価 売上総利益 販管費 営業利益 |
3,879 3,310 569 270 299 |
(設問2)
予想営業利益 △244百万円 ※上期試運転分の変動費60を含む。
(設問3)
予想営業利益 250百万円
損失に陥る売電単価 27円未満
第3問
(設問1) 単位:百万円
X1年度末差額CF | 各年度末差額CF | ||
項目 | 金額 | 項目 | 金額 |
税引前利益の差額 税金支出の差額 税引後利益の差額 非現金支出項目の差額 |
40 (※1) 6 46 30 |
X1期首 X1年度末 X2年度末 X3年度末 X4年度末 X5年度末 |
△210 (※1) 58+18=76 58 58 58 (※2) 58 |
X1年度末の差額CF | 76 |
※1 旧機械の除却損△50+処分費用△10=△60で計算した場合。別解可能性あり。
※2 新旧機械のX5年度末除却損は、同額原価のため考慮しない。
第3問(設問1)は正直難しいです。
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(設問2)
安全性・・受験校解答待ち(回収期間法?)
収益性・・NPV +44.63 ※別解可能性あり
NPVがプラスのため、設備更新案を採用する。
- ただそこで立ち止まらず、躊躇せず。
- CVPやNPVの計算は鉄板ワンパターン。速報値でまず示す。
- 条件見落とし、単位違いは、読み手の指摘をいただきすぐ修正。
当「速報」は、エクセルで解いてみた速報値であり、残念ながら「正解」とは限りません。計算ミス・見落とし・別解など、ご意見・ご指摘をお待ちしております。
※火曜日には受験校正解が発表されますが・・。
計算が 当たらなくても 合格点
H29「事例Ⅳ」は難しい。昨日、再現答案や簡易自己採点をし、「事例Ⅳ」計算問題のワケわかならなさぶりにがっかりした方に朗報です。
「事例Ⅳ」も、絶対評価ではなく相対評価。
詳しくは明日火曜日以降の受験校正解待ちですが。
第2問 直接原価計算PL、CVP Dランク ←予想PLが当たればボーナス
第3問 NPV、回収期間法 Dランク ←部分点が当たればボーナス
第4問 知識問題ポエム Cランク ←何か書けばOK
第1問は普通の経営分析、第4問は何か書けば加点されるポエムなので一安心。第2~3問の計算結果が当たらず落胆した方が多いのですが、
計算問題が難しすぎる年は、その中で点差をつけるため、
部分点や複数正解で幅広く加点されるのがセオリー。
そのため数字の当てる当てないより、昨日の解法エクセルで示した
- 第2問 直接原価計算PLを描けたか
- 第3問 取替投資(差額CF)のタイムテーブルを描けたか
つまり、やや簿記に偏った「正しい解き方」を使えた所から加点される。そう捉える方が正しいでしょう。
H29「事例Ⅳ」 難易度D 合格点の目安
第1問 経営分析 Bランク
○ここを取る
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△計算が合わなくてOK
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第2問 直接原価計算PL Dランク
○ここを取る
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△計算は合わなくてOK
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第3問 取替投資 Dランク
○ここを取る
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△計算は合わなくてOK
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第4問 知識問題 Cランク
○ここを取る 一見、連結会計の知識を問う様に見えますが、実際そこまで深い話でなく、通り一編の記述ができていれば加点。
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合格スタイルに加え、正解さえ多様化?
「事例Ⅳ」ショックと言われた日曜から2晩が明けて。「あれ、オレもしかしてイケてる?」そう前向きに捉え直した方に、さらに朗報。
H29「Ⅳ」第2、3問の計算問題には別解を認め、
極端には別解と正解が同点になる可能性。
例えば第2問(設問3)には、①27円未満説 ②20円未満説の2つがあります。仮に①が正解としても、②にも部分点または①と同じ点が与えられる可能性が十分あります。
- 計算条件を文章で与える以上、解釈が割れるのは止むなし。
- 従来は、「出題者と異なる解釈をする方が悪い」とされた。
- ただそれが何年も放置され、むしろ悪用するような出題も。
H29で言えば、①第2問変動費(試運転⇔商用)の扱い ②第3問 X1年旧機械除却損の扱いは、読み方により含める⇔含めないどちらにも解釈できます。
第2問、第3問のこの「制約の甘さ」には意図的な臭いを感じます。
そういえば当試験における「2択」とは、
△:どちらか一方が間違いというより、
○:どちらも正しく、自分がより正しいと思う方を選べばOK
でしたっけ。このとき、
A:計算結果を当てることに血眼 →ボクの答えこそ正しいのでちゅ!=いつまでもお子ちゃま。 |
B:計算過程が合えば別解OK →解釈次第で計算結果が異なって良い=オトナの割り切り。 |
そして第2問、第3問の題意を思い起こす。
第2問→問いたいのは、 変動費の処理<直接原価計算+CVPを扱えるか。 |
第3問→問いたいのは、 除却損の処理<取替投資を差額CFで扱えるか。 |
そこで計算結果への配点より、「問いたい所を押さえているか」の部分点のウェイトを上げる。そんなオトナの採点基準に期待したいですね。